第一話 冒険のはじまり
-とある場所-
???「急げ、急げ・・・じゃ。ヤツらに見つかる前に・・・」
フードコートの人A「カウス・・・教授だな。」
カウス「くっ!お前たちいつの間に!」
フードコートの人B「我々から逃げようなどと無意味なことを・・・分かっているな?」
フードコートの人C「さぁ、例のモノどこに隠した?」
カウス「例のモノだと?はて、何のことかのぉ?」
フードコートの人A「なるほどね。ここまできてしらばっくれるつもり?」
カウス教授の身体に拳が突き刺さる・・・
カウス「ぐはぁっ!こんなことをしても無駄だぞぉ・・・」
フードコートの人A「そうか、分かったよ。残念だが消えて貰おう。」
一筋の光弾がカウス教授の身に降りかかり・・・
そして跡形もなく・・・消えた。
フードコートの人C「いいかっ!徹底的に探せ!」
-明楽高校2-C教室-
高校二年生になった春・・・。勉強しか取り柄のない僕は勉学に明け暮れていた。
あっ、僕?僕は明智カケル。
カケル「そうそう、今日は放課後親友の翔君と約束をしているんだっけ。」
彼は自称ゲーマー。絵を描くのが趣味で将来イラストレータを目指している。最近ではオリジナルの剣や盾なんかを描いているらしく、力作の“伝説の剣”を描いたから見て欲しいって。ゲームを作ろうとかそういうのは全然考えてないし、僕が見てもって感じなんだけどね。
あっ、そうこうしているうちに予鈴が鳴ったよ。校門前で待ち合わせているんだ。
校門前に行くと既に翔君の姿が見えていた。
カケル「翔君、待った?」
翔「ううん、僕も今来たところだよ。」
あれ?もう一人?
???「よっ、カケル!」
今日は彰君も一緒のようだ。翔君の家に行く前に校舎の裏庭に用があるという。翔君の家は近々引っ越しをするってことで家の片づけをしていたら、おじいさんが残したと思われる宝の地図?が見つかったそうだ。
宝の地図って言っても一ヶ所に×印が書いてあるくらいの簡単な地図。その場所がどうやら校舎の裏庭を示しているようなんだ。
僕は後を付いていくと、
彰「ん?この辺か?」
って用意していたショベルで彰君が地面を掘り出した。ずいぶん準備いいことで~っておぃ、勝手に掘ったりなんかしていいのか?
彰「まぁ、あとで元通り埋めときゃわかんないって」
みるみるうちに彰君の姿が穴に隠れるくらい深くなっていく。この状況で先生に見つかったら確実にヤバイよね。ショベルのコツンっていう音と共に
彰「あっ!何だこれ?」という彰君の声。
何か見つかったらしい。すると何かを手に穴から出てきた。
彰「何だか怪しげな本が出て来たが?」
一冊の本だ!恐る恐るページをめくると・・・あれっ?全部白紙だ。
カケル「なんでこんな地中深くに?しかも思いのほか奇麗だし・・・」
翔「あの~、それイラスト帳に貰ってもいいかな?」
彰「イラスト帳?ま、何も書いてないしいいんじゃないか?なぁ?」
カケル「う~ん、いいかどうかは判断難しいけど・・・」
彰「よし!いいだろう!さ、好きに使え!」
カケル「いいかげんだなぁ~」
翌朝・・・
昨日僕たちと別れた後、翔君は裏庭で見つけた白紙の本に今まで描いたイラストの写し描きをしたそうだ。スケッチブックより携帯性がいいからって言っていたけどよくやるよなぁ。でも、昨日見せて貰ったオリジナルの“伝説の剣”。物凄いリアルだったよ。ああいうイラストは翔君にしか描けないなって。
教室のみんなはそれぞれの時間を過ごしていた。
衛「昨日の試合見た?原沢のサヨナラHRすごかったなぁ!」
景彰「・・・」
灯「ねぇねぇ昨日のドラマ見たぁ?ちょー爆笑♪」
蓮「昨日のケーキ屋さん美味しかったね!また行こうよ!」
大地「これ旅行のお土産。たいしたもんじゃないけどね。」
一限目開始のチャイムが鳴り響く。
畑先生「あ~、みんな席に着け。授業始めるぞ~!」
彰「たくっ、いっつも時間ピッタリなんだよなぁ。」
翔「アキラ君、しぃぃー!」
すると突然、比較的大きな揺れを感じていた。
彰「なんだ?誰かの貧乏ゆすりか?(笑)」
カケル「地震だね・・・っていや、これは大きいぞ!」
震度4?5?
今までに感じたことのない大きな揺れ・・・
マジでヤバいって思ったことは初めてだった。
畑先生「みんな、机の下に隠れるんだっ!」
揺れはおさまることなく、だんだん強くなっていき先生の指示で咄嗟に机の下に潜り込
む。だが、揺れはおさまらない!とその時!パリーンっっ!!
一同「キャァーーーーー!!!」
まるで超能力でグラスを割ったかのように、窓ガラスが粉々に割れた。
パニックになる教室、机の下で震えながら激しい揺れに耐え・・・そして意識は遠のいていった。
意識が戻り、目を開けると天を空に向けていた。
カケル「・・・ん、んん・・・こ、ここは?」
起き上がろうと試みると・・・身体中に激痛が走る。
カケル「ぐぁぁっ!!!」
まるで骨でも折れているかのようだった。やっとの思いで起き上がると、目の前にはま
るで何もないくらい荒野が広がっていた。信じられない光景。
夢?そして信じられないモノが目の前にいた。二本の角の生えた悪魔のような顔をし、一際大きな羽が二枚、人間のように二本足で立っている化け物みたいなヤツが。どこかで見たことあるぞ?
カケル「ガーゴイル?まさか!!」
すると、一瞬目が合いこちらに気づいたのか素早い動きで向かってくる。
カケル「ヤバい、逃げよう!!」
でも、相手が本当にガーゴイルだったのなら。逃げられるはずもなく。まして身体中が痛くて動くこともままならない。
あっという間に僕の目の前に立ちはだかった。
ガーゴイル「グヘヘ、今のオレサマはとっても腹が減ってんだぁ」
何か、何かないのか・・・あっ、お鍋のふた?
これで!ってこんなじゃダメだ!
そうこうしていると鋭い爪で攻撃をしかけてきた。僕は必至に転がりながら避けたが、あまりの激痛に悶えていた。次来たらもう終わり!必至の思いで頭の上を手探りで探していると・・・何かを掴んだ!
カケル「くそっ、もうどうにでもなれっ!!」
とそいつを目の前のガーゴイル目がけて振りかざした。
カケル「終わった・・・のか?」
薄っすら目を開けると、一本の剣がガーゴイルの身体を貫いていた。状況が呑み込めず薄れていく意識の中で、通りがかった男の人が僕に声をかけていた。