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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第1章 魔女の洗礼

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第21話 未来予知なんて普通です (2)

「詩織は本来は、空間操作魔法の使い手なんだ」


 今度はルイス先輩が説明する。


「具体的にはこの世界の3軸以外の軸を使った高速移動魔法、同じ方法を使った遠方から物を取り寄せる魔法、同じく遠方の景色等を見る魔法等だ。微妙に原理は違うらしいが、瞬間移動を使えると思えばまあ、現象的に間違いない」


「瞬間移動とは違うのです。あくまで数次元まとめれば微分可能な移動なのです」


 その説明である程度の理解は出来た。

 つまり空間を操作する魔法で時空間の先を見る事が出来る、という事だろう。

 未来予知と大差無い気がするけれど、まあ言いたい事は理解した。


「まあそれは別にいいですけれどね。僕も納得してここに入ったんですから」


「そう言ってくれると大変助かる。それでも申し訳ない」


 そう言ってルイス先輩は軽く僕に頭を下げる。

 ひょっとしたらルイス先輩、僕達が学生会室に連れてこられた時にはもうこの事がわかったのかもしれない。

 知っていたというのでは無いにしろ、少なくとも感づいてはいたのだろう。

 だからこそ学生会でのあの会話だと思うと何となくしっくりくる。

 まあルイス先輩お疲れ様とも思うのだけれども。


「ところで詩織先輩は、魔法でどれくらい遠方まで行けるんですか?」


 典明がさらっとそんな事を聞く。


「道具を使えば地上なら何処でもですよ」


 えっ? 何処でもって?

 ルイス先輩が苦笑いしている。


「一応部外秘というか、とんでもなさ過ぎて他には言えないけれどさ。詩織の魔力といつも使っている杖を使用すれば地球の反対側だろうと移動可能だ。確かここからリオデジャネイロまで、7分少々かかったかな」


 それっていくら何でも……そんな魔法がありならもう、何でもありじゃ無いかって気がする。

 ん、待てよ……。

 その証拠らしき物を僕は見た気がする。

 それも、つい先程。


「まさか冷蔵庫の生鮮食材って、ひょっとして……」


 詩織ちゃん先輩が頷いた。 


「よく気がついたのですね。あれは私か風遊美先輩が買い出してくるのですよ」


「今日はいないけれど、元学生会で今は大学4年の風遊美さんって先輩がいるんだ。その人も専用の杖を使えば香港程度は行き来できる。まあ余りに常識外過ぎてこの部屋以外ではオフレコだけどさ。その辺は宜しく頼むよ」


 それでやっと僕は、典明が昼に言った話を真に理解する事が出来た。

 確かにそれは人間と比較出来ない存在だ。

 つまりゼットン。それも3匹分。


 そしてそこまででは無いにせよ、ここには人間が絶対相手に出来ないような仮面ライダー以上がごろごろしている。

 つまりはまあ、本当にそういう処に来てしまったという訳だ。


「しかし朗人、不満がひとつあるのです。今日のおかずは微妙に少ないのです」


「えっ、大目に見て1.5倍、20人分は仕込んだつもりだったのですが……」


 でも確かにトムヤムクンの鍋は既に空だし、刺身や肉は勿論サラダすら既に大皿は空で取り皿で個人が取っているのが若干残っている程度。

 またルイス先輩が苦笑している。


「ここの人間は大食いが多いんだ。奈津希さんは2倍仕込んでトントンだとか言っていたな。言っていなかった、すまない」


 奈津希さんとは誰かは知らないが、まあ言っている事はわかった。


「まあ美味しかったから許すのです」


 そう言って詩織ちゃん先輩はトムヤムクンの中のエビごとスープを飲んでいる。

 よく考えると詩織ちゃん先輩、トムヤムクン何杯目だろう。

 確か5杯はおかわりしていたよな。


「あと詩織、お前は少しセーブしろ」


「魔力の分だけカロリーを喰うのですよ」


 この2人はいつもこういう感じなのだろうか?

 仲が良さそうだけれど、何か気になる。

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