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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第8章 魔女と魔法と新学期

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第166話 普通ではない魔女一同

 とりあえず愛希先輩は勿論、沙知先輩も無事らしい。

 何故ああなったかも、大体は愛希先輩と風遊美先輩から聞いた。


 まず沙知先輩が杖無しで空間移動の魔法を起動。

 そして3回目の逃走で、魔法のコントロールに失敗。

 海上に移動してしまうとともに、魔力を使い果たして気絶してしまった。


 沙知先輩が海に落ちたと同時に、愛希先輩が追いついた。

 とっさに両手で沙知先輩を抱えて救助。

 その時に杖を両方とも落としてしまったらしい。


 愛希先輩は沙知先輩を抱えたまま、杖無しで空間移動魔法を発動。

 何とか海上に出た瞬間に、冷却魔法で海上に足場を確保。

 魔法で服を乾かすとともに、冷却魔法を追加でかけて船状の氷を作成。

 物を移動させる魔法を使用して、島に向けてじりじり移動していたらしい。


 なお沙知先輩は意識は取り戻したものの、魔力欠乏からくる疲労もあって睡眠魔法で寝かしつけたそうだ。

 愛希先輩も疲労と魔法消耗が激しかったそうだけれど、どうしても僕が起きるまでついていると離れなかったとのこと。

 なお今は愛希先輩、僕がさっきまで寝ていた布団で熟睡中。


「愛希さんの場合は単なる疲労ですね、このまま寝せておいて問題ありません」


 これは風遊美先輩による説明だ。


「朗人さんが意識を失ったのは単なる魔力欠乏です。沙知さんと違って元々の魔力がそれほど大きくないので、もう問題無いと思います」


「そう言えばあの魔法ブロックは?」


 気を失ったとはいえ、あのおかげで愛希先輩の事も気づけた。

 それにあのブロックを使った瞬間、明らかに世界が広がって見えた。

 あれが魔法使いの本来の感覚だったのだろうか。


「あの魔道具については修さんと詩織さん、あと典明さんで調査中です。普通は杖を使うだけで魔力の暴走が起きる事は無いので」


 ならそっちも問題は無いか。

 風遊美先輩はパソコンや僕の腕に巻いていたバンド等を、小さい鞄に収納する。


「愛希さんは単に普通に寝ているのと同じですから、心配しなくていいですよ。気が向いたら修さん達の方も顔を出してあげて下さい。適合する魔力を使える人がいなくて苦労しているみたいですから」


 そう言って風遊美先輩は立ち上がり、部屋を出て行った。

 僕はもう一度愛希先輩の顔を見る。

 うん、ちょっとクマができちゃっているな。

 これくらいなら、ぐっすり寝ると治ると思うけれど。


 軽くキスしようかとも思ったけれど、一応保養所内だしやめておく。

 そのかわり愛希先輩の布団をきちんと調えて、そして立ち上がる。

 照明をを常夜灯にして。


「ありがとう、愛希先輩」


 小さく声をかけて部屋を出る。


 ◇◇◇


 部屋を出ると声をかけられた。


「もう大丈夫?後遺症なんかは感じない?」


 理奈先輩だ。

 何故かキッチンにいる。


「大丈夫です。ただ愛希先輩が代わりに疲れて寝ちゃいましたけれど」


「ずっと愛希、くっついていましたしね」


「沙知先輩の方は大丈夫ですか」


 理奈先輩が苦笑する。


「使った事がない空間移動魔法を、その場で組成して使ったみたいですしね。いい薬ってところですわ。私も人の事は言えませんけれど」


「その場で魔法組成なんて出来るんですか」


 はじめて聞いた。

 でも理奈先輩、そして美雨先輩も頷く。


「ある程度人が使用しているのを確認して、原理がわかっていれば可能です。勿論適性によっては使いにくい魔法もありますけれど。それでも私は使用経験がない魔法は試してからにしています」


 あ、ルイス先輩が苦笑している。


「そんな事出来るのは理奈と美雨と沙知とエイダ、あとは風遊美先輩くらいだな。朱里先輩もやりそうだけれど。普通はそんな事出来ないし、考えもしないから」


 つまりいま出てきたような魔女は普通じゃない訳だ。

 僕も重々わかっているけれど。

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