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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第7章 いつか未来で笑い合おう

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第144話 僕、さらにパワーアップ!

 まず戻ってきたのは修先輩。

 木製の棒状のものを2本持っている。

 ひとつはルイス先輩用の刀の鞘、そしてもうひとつは金属製の杖らしき何かだ。


 杖らしき何かというのは、形が今までの魔法杖と大分異なる形をしているから。

 ボートのオールをぐっと短くしたような形、もしくは卓球のラケットを長くしたような形だ。


「まずはこっちがルイス用。確認頼む」


 そう言って鞘をルイス先輩に渡す。

 ルイス先輩は鞘を左手に持つと、すっと刀を納める。

 その動きがいかにも慣れていて格好いい。


「さすがです。ちょうどいい」


「本来は白木の鞘や柄は保存用なんだけれどさ。グリップも考えて太さをあわせたし、木材も脱水圧縮加工をして幾分軽くしておいたから」


 たかが30分程度の作業でそこまでやるとは、やはり工作魔法持ち。

 まあ修先輩の工作魔法は他と比べて、かなりチートな部類に入るらしいけれど。


 最近はそれも大分わかってきた。

 何せ僕の周囲で工作魔法を使用するのは典明、ロビー先輩、修先輩、そして田奈先生とオスカー先輩。

 工作魔法の使い手として、修先輩以降の3人は島内屈指レベルの実力者らしい。

 ロビー先輩も、特に金属製品を扱わせれば学内でも上位レベルとの事だ。


 そして修先輩はもう1本の、杖らしきものを僕に渡す。


「これは魔法の発動原理を研究する過程で試作した特殊魔法杖、通称モノセロスと呼んでいる。厳密にはオリジナルのコピーだけど性能は本家と同じ。使用者と使用魔法を極端に選ぶ杖だけれど、朗人にはきっと適合すると思う。ちょっと試してみてくれないか」


 一角獣(モノセロス)というには不格好だな杖だな、と思いつつ僕は握ってみる。

 瞬間、今までと明らかに違う感覚を感じた。


 杖のラケット部分は飾りでは無い。

 これは送受信共用のアンテナ。

 向けるとその方向の視界というか情報が一気に見える感じがする。


 今度は近くの木片にちょっと魔力を当ててみる。

 木片は瞬時に炭化、僅かな灰を残して消え去った。


「とんでもない出力ですね、これは」


「朗人なら自在に出力を調整できる筈だな、きっと」


 なら、今度は別の木片を。

 木片の中心のごくごく狭い部分だけに熱を通す。

 お、あっさり穴が開いた。

 しかも木片の他の部分はそのままだ。


「確かに使いやすいですね、これ」


「ただこの杖、普通の魔法使いだと使えないんだ。特殊すぎてさ」


「ちょっと借りてみてもいいのですか」


 あ、詩織先輩がやってきたぞ。


「いいけれど、詩織の魔法は分化済みだから、杖の機能を使えないと思うな」


 僕は詩織先輩に杖を渡す。

 詩織先輩は杖を構えて、そして顔をしかめる。


「確かに、魔力が流れないです。動きがわからないのです。これは本当に魔法杖なのですか」


「借りてみていいですか」


 香緒里先輩も試してみるようだ。

 色々な持ち方で持ってみている。


「魔力が流れないという事はないですけれど、やはり動きがよくわからないです」


 修先輩は頷く。


「それが普通なんだ。既に使える魔法が分化済みの魔法使いには、この杖は使えない」


 杖が僕の所に戻ってきた。


「そういう訳で杖としては失敗作、実用品にはなれなかった。だからお蔵入りになっていたんだけれどさ。でも適合者が使えば、理論性能はプログレス以上の筈だよ」


「修兄、それって完全に禁制品の限度を超えてますよね」


 香緒里先輩が軽く修先輩の事を睨む。

 修先輩は苦笑して肩をすくめた。


「使える人が多ければ、禁制品を通り越して第1種情報制限品扱いになったんだろうけれどね。現状では制限はかかっていない。まあ魔力を魔力のまま放出する魔法使いなんてまずいないし、いても普通の環境では発見できないからね」

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