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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第6章 魔女と旅行 ~恋人は魔女?~

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第113話 機関車、廃線に

 駐車場は割と空いていた。


「ここから出雲大社までは1キロちょっとあります。せっかくですから歩いて街の雰囲気を楽しみながら行きましょう。それでは1時半まで自由時間です。例によって遅刻者は強制転送しますので宜しくお願い致します」


 おい、随分遠い駐車場だな。

 そう思ったら典明が僕に声をかけてくる。


「ちょうどここで見たい物があるんだ。付き合って貰っていいか」


 典明がそんな事を言うとは珍しい。

 何があるんだろう。


「いいよ」


 という事で一緒に出ようとしたところ、いきなり声をかけられた。


「どうせなら一緒にいきませんか」


 理奈先輩だ。


「見に行くのは国鉄旧大社駅ですよね、きっと」


「わかりますか」


「美雨も行きたいみたいだし、一緒に行きましょう」


 いきなり6人体制になる。

 僕と典明の他は、愛希先輩、理奈先輩、美雨先輩、沙知先輩だ。

 何でこうなった、と毎回ながら思うけれどしょうが無い。


「それで目的の建物は?」


 バスを出てすぐ、僕は典明に聞いてみる。


「そこだ。この駐車場は旧大社駅の駐車場だから」


 目の前に見えている木造の建物がそうらしい。

 白壁に木の柱に立派な瓦葺き。

 いかにもまあ、古くて立派な日本の建物、って感じだ。

 ただかなり新しく見える。


「何か映画のセットのようだね。新しく見えるし」


「基本的には明治に建てられた建物だ。ただ徹底的な解体修理をしたらしい」


 そんな事を言いながら、受付で入場料を払い、中へ。


 中は外から見た以上に何というか、浪漫を感じさせる作りだった。

 高い天井。

 木製の見事な格子状の造りの待合室。

 切符販売窓口が右側に並んでいる。

 ガラスが磨かれていて上に時計もあって運賃案内表までかけてある。

 今にも人が現れて動き出しそうだ。

 廃線という雰囲気が無い位に明るい。

 人がいないだけで。


「当時そのまま、って感じですね」


「ああ。廃止から40年近く経っているけれど」


 お、確かに美雨先輩と典明、いい雰囲気かもな。


「お、ホームに蒸気機関車がある」


 愛希先輩がとっとっととそっちに歩いて行くので、僕も後を追う。

 自動改札ばかりの現代では珍しい中に人が入る形式の改札。

 そこを抜けるとホームがそのまま残っていた。

 線路もまだ残っている。

 そして向こう側のホームに、確かに蒸気機関車が止まっていた。


 愛希先輩の後を追ってホームを降り、線路を渡って向かいのホームへ。

 その先に蒸気機関車が停車している。

 ただ、ちょっと残念なのが。


「大分傷んでいるね」


 愛希先輩がちょっとがっかりしたように言う。

 そう、工作系の魔法を使わない愛希先輩でもわかるくらいに、傷んでいる。

 表面は何度か塗り直しているようだけれど、ちょっと細かい部分を見ればすぐ『もう走れない』とわかるくらいに。


 修先輩なら、魔法で稼働状態まで直せるかもしれない。

 でもそれをやったら騒ぎになるだろうけれど。

 D51774と番号を記載されたプレートがある。

 これがこの蒸気機関車の名前なのだろうか。


「でもこれが昔走っていて、そして線路もずっと続いていたんだね」


 愛希先輩がそう言ってホームの先を見る。

 線路はそこで途切れているけれど、かつてはこの先ずっと続いていたのだろう。

 そして大勢の観光客を乗せてやってきたのだろう。

 典明の言う通りなら、40年近い昔の話だろうけれども。

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