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2人の捨てられ異世界生活日記  作者: チャールスJ


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世界に化物が産まれた瞬間

どもです。前に書いた作品を続けたいなぁ。と思いつつ新作を書きたくなってしまい書いてみました。

いつまで続くか判りませんが、楽しんで頂けたら幸いです。

 これは、ある世界の。ある国の。ある都市の。ある夜の話し。


 その季節としては珍しい大嵐がある辺境都市に直撃。その嵐は凄まじく、人々は家の扉を固く閉ざし、嵐が過ぎ去るのをじっとしながら待っている。

 そんな家の一つ。そこで1人の女は普段住み慣れた家におり、たった今壊された壁から降り注ぐ雨に打たれながら『これは現実ではない。』と呟き続けていた。


 その女は美しく、人々から『この都市で一番の美人だ。』と噂される女であった。その女は艶やかな漆黒の髪はまるで夜空の煌めきを思わせ、緑色の翡翠の如く輝く瞳や豊満なスタイルから女に言い寄る男は数知れなかった。

だが、その女に手を出す者は在らず、公然の秘密としてこの都市の貴族の嫡男に見染められている女であったからだ。

その女は男の口車に乗せられ未来の公爵夫人を夢見ながら夜を幾重にも共にし、子供を身籠る事となった。

 その嫡男には婚約者がいたが、平民の女に入れ込み、子供が産まれる事を理由に第二夫人の確約を家族とするのであった。

しかし、その女は平民の中でも強かな女であり、第二夫人という地位を嫌悪し、『先に子供を産んでしまえば』未来の公爵家の後継に。と考えていた。


 しかし、季節外れの嵐の中で産気づいてしまい動けなくなる女。そして大嵐の為か誰も訪れず一晩をかけ女は一人で出産を迎える。

 だが女の望んだ赤子は男児であり、産まれたのは女児であった。


 一部の望みをかけて女は赤子の額に指を当てて『ステータス』と唱える。それは家族にのみ許された行為であり、子供を正しく備える為に神が与えたスキル確認。

【私の役に立つスキルを持っていて頂戴。】と望みながら赤子のステータスを見るが、そこには読めない文字や意味のない羅列が書かれていた。


 つまり女にとって【使えない子供】であった。


 女は出産後の出血が続く中、朦朧とする頭で考えた。

【この子供が居たら、私は公爵家のに迎えられる事はない。こんな訳の分からないスキルを産んだ女は用無しとばかり捨てられるであろう。】と。


 それならばいっそ、産まれてきた時に赤子は死んでしまったと伝えた方がいい。きっと彼は同情してくれるだろう。そしてその同情は次の赤子へ向けられる事となる。次こそは男児を産めば良いのだ。


 その女は朦朧とした意識の中、産まれたばかりの赤児を殺す為、自分の使っていた枕を強く握り締めた。


「私は悪くない。これは仕方がない事なのよ。貴方が女に産まれてこなければ。もっと有用なスキルを持っていないのがいけないのよ。」


 赤子を自分で取り上げた為に血だらけになった指先は枕を血塗れにしながら、震える手で枕を持ち上げる女の表情は悪鬼の様であり、言葉を呟きながら。女の持った枕が赤子の顔に近づいたその時。女の腕に痛みが走る。


 紅く。鋭い指先が女の腕を掴み、赤子の命を救う。


 紅い指先は赤児の目の前から浮かんでおり、少しずつ腕や肩が現れ始める。手首を掴まれたままの女は持ち上げられる様に立ち上がり、そして宙に浮かぶ事となる。

 女は恐怖の前に叫ぶ事は叶わず、怯えた表情を浮かべたまま片腕で持ち上げられる事となる。


 明らかに人ではない異形な形をした全身鎧で出来た紅の騎士。それが赤子に対し方膝をつきながら女から赤子の命を護ったのである。


 釣り上げられた女はその異形な形の顔を覗き込む事となる。その顔は鬼の様に勇ましい顔つきをしており、素顔や眼の光は見えないが、明らかに赤子をただ見下ろしていた。


 その姿は人よりも大きく、片膝をついているにも関わらず、女の住んでいる家の天井に兜飾りが突き刺さっている。


 そして異形な姿の騎士は腕を掴んでいる女をそのままゴミを捨てるかの様に放り投げると、大きな音を立て木製の壁に叩き付けられる事となる。


 女が気がついた時には、異形な姿の騎士は赤子を宝物の様に優しく両手で抱き抱えており、顔の近くまで持ち上げる。


 そして。


【口が裂け、赤子を丸呑みにした。】


 異形の紅い騎士は静かに口を閉じると、立ち上がり天井を破壊。そして壁に近寄ると腕を振りかぶり壁を殴り付けて破壊する。

 その音は嵐の音に掻き消えており、女の絶叫も轟音で掻き消える事となる。


 これは夢だ。女はそう考えるが嵐の雨粒が容赦なく頬に叩き付けられ現実だと教え続ける。


 異形の【化物】は、巨体にも関わらず家や外の石道を砕きながら女の目で追うのも難しい速度で走り出す。そして飛び上がると空に落ちる一筋の流星の光に包まれ、雷雲轟く嵐の雲の中へと突き刺さり、消えて行った。

 残された女は一筋の流星を呆然と眺めながら雨に全身を叩き付けられつつ、現実と夢想の間を彷徨う事となる。

読んでくださりありがとうございます。

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