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第6話 レッド・バイソン討伐を受注

 冒険者の活動とは、クエストをこなすか、近くのダンジョンから資源を持ち帰るか。概ねその二つに分けられる。


 ちなみに『ダンジョン』は、『そのエリア内だけですべてが完結する構造』となっており、モンスターも生態系ではなく、『仕様』として出てくる。

 言い換えると、どれだけ中で暴れても、生態系に影響を与えることはない。


 クエストとは、ダンジョンの外で何をするのかに関係することが多い。

 ただし、『クエストの内容から外れることは可能な限りしない』という暗黙の了解がある。

 生態系に影響が与えるほどモンスターを倒すと、それはそれで不利益があるからだ。


 それを踏まえて、依頼が張られたところを見て……。


「むー……これって、多いんですか? 少ないんですか?」


 掲示板に張られているクエストシートだが、およそ30枚程度。


 ハルカゼは文字の読み書きができないため、内容はわからない。

 ただ、直感として、『これはどういう数なんだ?』と疑問に思った様子。


「正直に言って少ないですわね。確かにコッコルは産業が発展してませんわ。ただ、それを考えても、この数はあまりにも……」

「発展してない? 確かに、みんな元気がありませんね。というより、海があんなに近いのに、魚が全く露店に並んでないんですよ。ちょっと楽しみにしてましたが、なんだかここまでくると不思議ですね」

「ふむ……確かに、ただ、『希少食材』と呼ばれる『紅玉の海老(ルビー・ロブスター)』が、年に数回はいたはず。その影響で漁業は技術があるはずですわ。ただ、実際にやっている様子がないのは……」

「む!? レッド・ロブスター!? なんですかそれは!?」

「甘くてプリプリの身が特徴的な海老ですわ。王都の高級レストランに出ても文句なしの食材でもありますわね」

「ということは美味しいんですね!」

「その通り。ただ、最近は発見報告すらなさそうですわね」

「むぐぐ、残念ですぅ……」


 ハルカゼがいた島は海が荒れているので、魚介類は希少である。


 それゆえに楽しみにしていたということだと思われるが、漁に関しては、やってないものは仕方がない。


「お、このチラシ、なんか思ったより派手ですね。どういう意味ですか?」


 気持ちの切り替えが早い。

 依頼ではないが、一枚の紙を指さす。


「魔石の買い取り額が少し上がってますわ。ダンジョンに行って取ってこいということですわね」

「何で買い取り額が上がるんですか?」

「それは、まぁ、需要があるから……といってわかりますの?」


 何度も言うが、シリウスから見て、ハルカゼはチグハグだ。


 道徳というか倫理に関しては、胸と食べ物に執着しているように見えるが、それはそれとして『良い子』である。


 ただ、社会性という点になると、途端に『なんじゃこの子』となる。


 需要と供給って、わかるのだろうか。


「需要って何ですか?」

「そうですわねぇ……例えば、ハルカゼは普段、銅貨3枚で串焼きを1本買うとします」

「ふむふむ」

「ただある時、串焼きを欲しいという人が増えたり、串焼きを作る材料が確保できず数が少なかったりすると、『欲しいと思っている人』に対して、串焼きが足らなくなりますわ」

「むんむん」

「その結果、『串焼きは希少なもの』になりますわ。これで値段が動いて、銅貨5枚になることもありますわね」

「なるほど!」

「ふぅ……」

「おっぱいは大きいほうがいいんですね!」

「本当に話聞いてたんかお前」


 口調が崩れるシリウスだが、こればかりは仕方がない。


「要するに、今は、魔石を集めると、串焼きがたくさん買えるということですね!」

「……」


 魔石の買い取り額が上がっているのだから、そりゃそうなのだが、凄くモヤモヤするのはなぜだろうか。

 シリウスは内心で頬が引きつっていたが……。


「で、なんか美味しい感じのクエストってありますかね?」

「そうですわねぇ……『狼退治』、『薬草採集』、『護衛依頼』。この辺りはいいとして……」


 シリウスはクエストを見比べている。 


「『レッドバイソン』という牛のモンスターの討伐依頼がありますわね。クエスト達成条件は『ツノの納品』ですし、肉を手に入れたらハルカゼの物ですわ」

「ならそのクエストにします!」


 結局のところ、どんなクエストが良いのかとなれば、それは『美味しいかどうか』である。


 そういう意味で、どのクエストにするのかがすんなり決まるのは良いことだ。


 良いのだが……こう、欲望に忠実な部分ばかりサクサク話が進むとなると、シリウスとしては単純すぎて呆れるほかないのである。

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