戦いの後に - side 青年達 -
「終わった‥のか?」
「ああ。そのようだな。」
「皆、無事か?!」
「これも全て、この力を授けて下さった聖女様のおかげだな…!」
「そうか、良かった。本当に良かった。」
国民の皆が、闇が消え去った事を大いに喜んだ。
人々が聖女を讃え取り囲み感謝を伝えているところに、戦いを終えた8人の青年達が帰還すると皆が自然と道を開け、聖女と青年を囲んだ。
青年達は聖女の前に跪き
「聖女様、我々、9人は貴方様のおかげで素晴らしい力を授かりました。
どうかこの力、貴方様の為にお使いください。」
「‥‥では、再び皆が平和に暮らせる国を作る為、協力してくれませんか?」
「もちろんです!」
「ありがとうございます。」
聖女が微笑む姿は女神のように美しく、それを見た人々は自然と手を組み敬愛の念を抱いた。
「では建国をするにあたってまずはリーダーとなる王を決めようと思うが、それはもう決まっているな。
─── 聖女様、どうか貴方様にお願いしたい。」
そう言ったのは9人の中の1人赤い髪を授かった者だった。
だが、聖女にはそのつもりはないらしく首を横に振った。
「‥‥いいえ。私は元々神に仕える身。
神殿に入る際、この身は生涯神の為に捧げると決めています。ですので、お引き受けすることはできないのです。」
「そうなのですね…。」
「‥‥新たな国を築くのならば、私は貴方の様な方が王に相応しいと思います。」
聖女の言葉に驚き、暫し視線を外せないまま先の言葉を脳内で反芻してしていると、どうやら他の皆は聖女と同意見の様で頷いていた。
そこで状況を見かねたもう1人の赤い髪の者が皆の思いを代表するように口を開いた。
「‥聖女様もこう仰っていますし、王は貴方の他に居ませんよ。兄上。」
「その通りだ。お前以上に相応しい者はいないよ。この戦いでも、誰よりも勇敢に闇に立ち向かって行くお前の姿を皆が知っている。」
「異論ない。」
そう言うのは青い髪の者と、緑の髪の者。
他の者達も、
「よろしくお願いします。」
「貴方についていきます。」
「貴方の他に居ませんよ。」
などと、口々に賛成の言葉を伝える。
‘ 私達は、貴方についていきます ’
そう言われ、それならば、と兄は一つ大きく息を吸い、そして決意を固めた表情で周囲を見渡すようにゆっくりと視線を巡らせた。
「では、これからは、私がこの国の王となり、皆を平和に導ける様、努力していく。
まだまだ昔の様に暮らせるまでには時間も掛かるだろうが、どうか皆、私に協力してほしい。
共にこの国をより良くしていこう。
そして、聖女様、どうか叶うならば貴方様を守る騎士として我々をお側に居させてください。」
聖女に跪き忠誠を誓う。
新たに誕生した王に皆が力強く頷き、倣うように聖女へと跪いた。
「ありがとうございます。皆さん。
私も、皆さんの力になれるよう精一杯頑張ります。
こんなにも素晴らしい皆様がこれからも力を奮ってくださるのなら、こんなに幸せなことはないです。
これからも、どうかよろしくお願いします。」
『 はいっ!!!! 』
その日、国民は聖女と新しい王の誕生
そして、騎士達の誕生を大いに喜び、盛大にお祝いをした。