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序章

昔むかし、神殿で働く一人の女性がいました。

彼女はとても熱心な働き者で心が美しいと評判でした。

人々は平和に暮らしていましたが、そんな日々は突然終わりをむかえてしまいます。

闇の王が目覚め、この国を闇の魔力で暗く閉ざしてしまったのです。


花は枯れ、大地は荒れ果て、魔物が街を襲い、恐怖に怯えた人々は必死に逃げました。

そんななか、勇気ある九人の青年たちが闇の王に立ち向い戦いましたが、なんの力も持たないただの人間では、闇の魔力の前に為す術もなくただ消耗の一途を辿りつつありました。


人々が恐怖で逃げ惑うなか、神殿で働くその女性は、一人残りみんなを助けたいという強い想いで来る日も来る日も神に祈りを捧げ続けました。

信心深い彼女の姿に胸を打たれた神は、彼女の想いに応え世界を救う特別な力を授けることにしました。

力を賜った彼女の髪は白く色を変え美しく輝きだし、その身から溢れだした力は空に闇を払う大輪の白薔薇を咲かせ、薔薇から光の粒が街中に降り注ぎました。

光の粒に触れた魔物は浄化され消滅していき、九人の勇敢な青年たちにはそれぞれの色と力を与えました。


火の力を授かった者の髪は赤く

水の力を授かった者の髪は青く

風の力を授かった者の髪は緑に

地の力を授かった者の髪は黄に

身体強化の力を授かった者の髪は(だいだい)

養成(ようせい)の力を授かった者の髪は灰に

研鑽(けんさん)の力を授かった者の髪は桃に

催眠の力を授かった者の髪は紫に


まばゆく輝く白い力と八色の力は、共に闇の王を打ち払い、荒廃(こうはい)した世界を蘇らせました。


人々は彼女に感謝の想いを込め白薔薇聖女と呼び、共に戦った勇敢な青年たちを聖女を護る騎士と(した)いました。

白薔薇から色をさずかった九人は、白薔薇聖女に仕える騎士となり、その力を奮い新たに国を起こしたのが、ロドン帝国の始まりです。


──────────────


「───────…おしまい。」


いつもの様にお祖父様(おじいさま)が話して聞かせてくれる大好きな建国史のお話を聞き終え、私はこの日も目を輝かせながら聞いていた。


「ねぇねぇ、おじいさま。聖女さまってほんとにいるのかな?」


私の言葉を聞いたお祖父様(おじいさま)は、顎髭を撫でながらやさしく微笑んだ。


「さあねぇ、もしかしたら居るかもしれないね。」


すると、横で刺繍をしながら聞いていたお祖母様(おばあさま)が呆れた様子で口を開いた。


「…いるわけないじゃないですか、そんなものは絵本の中のお話です。それに聖女様は白薔薇と言われる様に白い髪をお持ちだったそうですよ。この国には白い髪の者など生まれませんし、光魔法を使う者なんて見たこともありません。」

「聖者様はいるよ。きっとどこかに!私、いつか絶対聖女様になる!こんな風に皆んなを助けてあげるんだから!」

「赤の家の女子として生まれたからには然るべく所へ嫁ぐ事が決まっています。いつまでも夢を見ていてはいけませんよ。」


お祖母様(おばあさま)は厳しく言うとそのまま部屋を後にしてしまった。

部屋に残ったお祖父様(おじいさま)は、少し悲しく落ち込んでいた私に優しく語りかけた。


お祖母様(おばあさま)は厳しい所もあるが、本当はお前の事を心配してああ言っているのだよ。

でも、お祖父様(おじいさま)はそんなローザの清らかな心を神様はきっと見ていてくれていると思うよ。どうかその気持ちを忘れないで困っている人がいたら助けてやりなさい。」

「はい!お祖父様(おじいさま)。」


ローザの顔にはいつもの輝く笑顔が戻り、お祖父様(おじいさま)は安心した様子でまるで大切なものに触れる様に優しく私の頭を撫でてくれた。

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