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とある日の昼下がり - side 黄薔薇家 -


とある日の昼下がりそれは起こった──


いつものように家族が一同に集い、午後のティータイムを楽しんでいるところへ一通の便りが届いた。


「お嬢様、ローザ様からお手紙が届いております。」


「─!!ありがとうハンナっ!」


侍女の言葉にカナリアは喜色満面に手紙を受け取ると、至極大切そうに、然し待ちきれないとばかりに手早く封を切り、便箋を丁寧に開く。

黙々と読み進めていたその表情は、とある一節に差し掛かった時一変した。


「…な、なんてことなの…。」


カナリアの大きな目は衝撃に丸く見開かれ、唇は戦慄いているようだ。

そんなカナリアを見た僕と父は何事かと傍らに駆け寄った。


「カナリア…?一体どうしたんだ?」


「……。」


逸る気持ちをなんとか堪えながら問い掛けた僕は、なにも返事を返さないカナリアの顔を覗き込む。

すると、そこにあったのは此方の予想に反したキラキラと煌く双眸で。

驚きに思わずポカンとしている周囲には目もくれず、カナリアは握っていた手紙を僕の胸にぎゅっと押し付けるとばっと父を見つめて言った。


「お父様!お母様!わたくし今すぐ王都の邸に移りますわ。

よろしいかしら?」


「…あぁ、それは構わないが…一体…」


「あらあら」


カナリアの突然の申し出に驚いた様子の父と、落ち着いた様子でにこにこと微笑みながら見守っている母と、気圧される僕。

カナリアは父からの返答を取り付けた途端その場からすっと立ち上がった。

(嗚呼…こうなったカナリアはもう誰にも止められない。)

そこで僕はこれからの行く末を悟った。


「こうしちゃいられないわ、今すぐ荷物をまとめないと!

お父様、お兄様、わたくし大っっ切な急用がございますのでこれにて失礼いたします。」


普段は聞き分けの良いカナリアだが、ローザの事となると話は別だ。

話もそこそこに慌ただしく部屋を出ていく背を見送る父と僕。

あっけにとられていた顔を互いに見合わせると、カナリアから渡された手紙を確認した。


するとそこにはこう書かれていた。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

親愛なるカナリア。

(中略)

この度、お兄様と共に帝都へと移る事にいたしました。

なかなか会う事が出来なくなってしまうのは寂しいですが、入学式で会える事を楽しみに待っています。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


それを見た僕と父は揃ってひと息はいた。


「はぁ…なるほど、そう言う事か。」


父は片眉をくいっとあげるとひとつ頷き、少し悪戯そうな笑みを浮かべると愉快そうに僕の肩をぽんっと叩く。


「つまり、そう言う事だ。ミモザ、よろしく頼んだよ。」


「……。」


「ふふ、カナリアは今日も楽しそうねぇ〜。」


「………………はぁ。」


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