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男子高校生の青春  作者: 次原明人
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第5話 近藤迎えに行って来い

 第5話 近藤迎えに行って来い


今日、たまに話をする近藤が休んだ。

「なんだろう、風邪かな?」

「じゃねー?」

と藤野と話していた。

次の日

またも近藤が休んだ。

「体調悪いんだろ、きっと」

「だなー」

それから近藤は一週間休んだ。

「これはさすがにヤバイんじゃないのー?」

「病気じゃないだろ、病気だったら先生が言うし」

「まさか、ズル休みー?」

「そのまさかじゃねえか?」

終わりのホームルーム後、担任の秋山先生に近藤の事を尋ねてみた。

「あいつか~、あいつな~、…休むって普通は連絡あるんだけど、あいつ一回も電話してこないんだよな」

「じゃあ、病気じゃないってことですね?」

「病気だったら連絡来るしな」

「じゃあ、結果的に不登校ということに?」

「そうなるな」

「人の選択は勝手だけど、でも、せっかく高校に受かったんだし、高校くらい卒業しないともったいないよな」

「別に悪い事として謹慎しているわけでもないから、学校側としてもな」

「どうするー?」

「どうするか…?」

「…………」

「もしよかったらなんだが、お前ら近藤の事を迎えに行ってくれないか?」

「迎えですか?」

「ああ、このままだとあいつはずっと来ない可能性があるし、ずるずる休んで言ったらもっと行きづらくなるからな」

「俺らが迎えに行って、別に俺達が来ても学校はいつもと変わらないよ、みたいなカンジで接すれば来るかなー?」

俺の経験上迎えに来られて行くのは五分五分だが、やってみるだけの価値はある、実際、俺は家に来られて一緒に行こうぜって言われて少し嬉しかったし、まあ、行かなかったけど。

来るのが迷惑と思う奴もいるがでもやってみなきゃ分からない。

「よし、じゃあ、行くか!」

「そうだな」

「行こうっ!」

「近藤迎えに行くの?じゃあ俺もいくわ」

と赤羽というチャラ男が会話に入ってきた。

先生は「じゃあ、お前ら、明日、近藤を迎えに行って来てくれ」

「「「わかりました!」」」

「ちなみに家の場所は個人情報だから教えられないけど」

「「「え!?」」」

帰り

「赤羽って、近藤の家の場所知ってる?」

「わかんねえ」

この口の悪い下品な喋り方をする奴が赤羽だ。

「俺もー」

「近藤の家に行ったことがある奴を探してみるか」

 ~

何とか見つけて、家の場所を教えてもらった。

学校から自転車で20分ぐらいの所だ。


明日七時半に集合場所、学校の前だと決めた。

往復で40分、あと説得の時間を合わせれば学校開始は8:55分だから充分だろ。

「じゃあ、明日、よろしく」

「おう」

「おー」

次の日、

それ、藤野、赤羽は時間通りに集合した。

「俺は貰ったから買わなくていいやー」

「お前、さっきから何を持っているんだ」

「え?これって言ったから」

藤野はコンドームを持っていた。

「昨日、母親に相談したらこれを、って言われてこれを持たされたんだけどー」

「何やってんの?、先生は近藤(こんどう)、迎え(むかえ)に行って(いって)()いって言ったんだぞ!、コンドーム(こんどーむ)買い(かい)に行って(いって)来い(こい)とは言ってねえぞ!」

「えー?」

「え?」

ハハハハハハハハ

「何がおかしいんだよ長谷川ー」

「藤野、お前親子揃って天然か!」

「俺も買ってきたんだけどよ、コンドーム」

と赤羽もコンドームを出した。

ハハハハハハハハ!,

俺は大笑いしてしまった。

まず教師が生徒にコンドームを買ってこいなんて言うこと自体がおかしいし、それを聞き間違いだと疑わず受け入れ、それを母親に言うことや、言われた母親がその事を疑いもせず家で使っているコンドームを息子に手渡すことがあり得ない、デリケートな時期の息子にそれを、家でのあんまり知りたくないことであるものをすんなり渡すことがおかしいし。

「おめえ、何笑ってんだよ」

と赤羽が突っかかってきた。

「いや、面白いなと思って」

「これは笑い事じゃねえぞ」

「笑い事だよ!お前ら、昨日、何を聞いていた!?」

藤野に加えて赤羽まで間違えて認識していた。

こいつら…藤野と赤羽、面白すぎる。

「近藤の連絡先は?」

「分かっから、前に教えてもらった」

赤羽が知っていた。

近藤の家に行く道の途中で、

赤羽が近藤に電話する。

「近藤学校行こうぜ!」

プツッ、ツーツーツー

切られた。

「あの野郎!」

近藤の家の前

もう1度近藤に電話する。

『また、何?』

「俺ら三人でお前を迎えに来たんだ、何で学校来ないのとか訊かねえからよ!」

『本当?』

「ああ!マジ」

おずおずと近藤がパジャマ姿で家から出てきた。

「おう、おはよう」

赤羽が近藤に挨拶した。

「おはよ…」

近藤は眠そうだ。

「学校行こうよー」

「ええ…」

行くのを渋る派か。

まあ、こう言うもんだ、来てもらったのが有難迷惑みたいなタイプもいる。

「行きたくない…」

ここで、俺達がわざわざ来たんだぜ、とかは言っちゃダメだ、追いつめてしまうから。

「おい、俺達がわざわざ来たんだぞ」

赤羽は言ってしまった。

「それを言うなああああ!!」

「いや、違うよ、ついでに来ただけだよ」

「何のついで…?」

「…………」

ヤバイどうしよう、それを突かれたら迎えに来たのがばれる、それは奴にとっては重荷だ、苦しめてしまうから行ってはダメだどうするか。

「それは、あの、アレだよ」

「アレ?」

「あの―」

ここで赤羽が俺の前に手を出して制止するような仕草をした、俺を助けてくれるのか、でも理由なんて…。

「コンドームを買うついでだわ」

「それだあああああああああ!!」

「そうだったー!」

「そんな理由ある…?」

「まあ、いいじゃん、行こう、大丈夫だから」

「制服着るの…面倒」

「そんなの面倒のうちに入んねえよ」

「ネクタイが…」

「俺が結んでやっから着替えて持って来てみろ」

「でも」

「いいから」

「う、うん…」

「まず制服を着る所から始めよう」

そこが大事だ、制服を着ればなんとなくいけるような気がしてくるんだ、俺は着ても行かなかったがな。

近藤が制服に着替えて赤羽が近藤のネクタイを結び、自転車に乗って10分くらい学校に向かってこいでた時、赤信号で止まった。

そこであかばねはこんどうん訊いた

「で、何で学校に来なかったんだよ?」

「訊いちゃったよ!訊かないって言ったのに!!」

「ええっとぉ…」

元不登校の俺から言えばこの質問は結構困る。

「学校って休むとずるずる休んじゃうじゃん…」

「分かる!」

「そうなのかよ?」

「一日休むとズルズル行けなくなって結局行けなくなったことがある」

不登校にはパターンが結構あるが俺は嫌な思いしたくないし、嫌いな奴に会いたくない、等の嫌なことから逃げる形で学校を休みずるずると休んでいけなくなるパターンだった。

こいつは

「学校行くの…面倒くさいよね」

こいつは行くのがたるいから行かないタイプか!。

「実は中学校もそんなに行ったことがなくて…」

「おめえ、よくそれでこの学校受かったな!?」

うちの高校はレベルが低いとは言え中学校の勉強全くしてないといくらなんでも落ちるぞ。

「少しくらいは勉強したから…」

「自主勉強か」

俺はそんなこと全くしなかったな…、国語は元々できたが、理科社会、はまったく勉強せず、入試直前で家庭教師についてもらい、英語と数学の基礎は学んだ。

それで何とかこの学校に受かったという寸法だ。

「家で勉強した方が効率はいいしね…それに中学の勉強なんてそんなに難しくないよ…」

しかもコイツ、天才型か!

「お前、5教科何点で受かった?」

「400点くらいかな…」

「完全に頭いいじゃん!」

うちの学校でその点数で受かる奴いねえぞ。

「俺なんか170点だったのにー…」

「俺は200点くれえだったけな」

「長谷川はっ?」

「俺は227点だった」

ちなみに内訳はというと、国語87、社会41、理科39、英語40、数学20点…俺は家庭教師について教えてもらったのに、その教えてもらった英語と数学はそんなによくなかった、数学に至っては論外、教わってこれか?教わった意味があるのか?と思ってしまったが、でもまあ、教えてもらっていなかったら英語と数学は0点だっただろうな、試験はマークシートだったけど。

「それから見ればこいつ天才じゃん!」

「すげえな!おめえ!」

「奥州学園の星だよー!」

「そ、そんな…」

褒めまくって学校に来てもらう作戦だ。でもこれは本心だが。

学校の前で近藤がもじもじし始めた。

「ちょっと…怖い」

「大丈夫だっつーの、誰もお前の事気にしねえから」

「意外に他人に興味ってないものだよ」

「大丈夫、大丈夫ー!」

「そ、そうかなあ…」

俺らで教室に入った。

だが、別に誰も近藤が来たことに対して反応しなかった。

「な」

「そうだね…」

「でも、日直で名前が呼ばれる時注目されるのが…」

あーたしかに。

「誰も気にしねえよ、『あ、来てたんだ』ぐらいのレベルだぞ」

「そうかな…」

「そうだって、とりあえずみんなが来ても気付いてないんだから、誰も気にしてないよ」

先生に近藤が来たことを伝えた、そして「近藤来たのか」とか言わないで下さいと言っておいた。

そう言われるのは不登校にとってはつらいことだから。俺は言われてキレそうになったことがある。

先生は言った通り近藤については特別何も気にしないようにしてくれた。

出席を取る時

「近藤武蔵」

「ハイ…」

近藤が返事をしたことに対して、誰も反応しなかった。

と、いうか、近藤が来てなかったこと自体あまりよく分かってなかったようだった。

「な、大丈夫だったろ」

「うん…」

他の先生もあまり気にしていなかったようだから近藤はほっとしているようだった。

高校は意外とドライで、クラスメイトが久しぶりに来たってことぐらいでは全然騒がなかった。こういう雰囲気いいよな、小中学校だと、伝説の人物が来たみたいな騒ぎかたするし、「何で来たの?」などというKYなカスいるからよくない、だが高校は自分のグループ外の事はどうでもいい、誰が何をしたってあまり興味を持たない、そんな雰囲気は大事だと思う。

体育の授業の時、体育の先生が言った。

「あれ?近藤、お前、来たのか?」

「え…」

「先生がそれを言っちゃあだめええええええ!!」

体育の先生はKYだった。

「なんでこな―」

「先生!」

先生を大きな声で呼び耳元に近付いて小さな声で助言した。

「そういう事言われるととても辛いことがありますので、いつもと同じように気にしないようにして普段誰ともと同じように接してください、お願いします」俺は遠回しに気を使えと体育の先生に言った。

「そ、そうか」

サッカーで

近藤のいるチームは弱かったので何点も取られるは近藤がゴールキーパーで一回もゴール止められなくては、なんで止められないんだと責められるわ、近藤は責められた。

「学校来るのやめようかな…」

「キーパーしなきゃいいんだよ、適当にディフェンスしてれば怒られないから」

「俺、運動音痴だし…」

「体育なんて適当にすればいいんだよ、ディフェンダーなら抜かれて当然って感じだよ」

キーパーとディフェンダーを阿帰ってもらった近藤だったが

その日近藤は体育で散々だった。

腹に思いっきりボールが当たるわ、見方がクリアしたボールが頭に当たるわしまいには相手のシュートが顔面に直撃するわ、もうめちゃくちゃだった。

その日、帰りまで近藤はずっと不機嫌だった。

近藤は今日のことでむしゃくしゃしてその日の深夜シャッターに落書きしているのを警察に捕まって停学を受けた」

「近藤ってヤバイ奴だったんだ…」

この事を知った次の日、秋山先生は「近藤が停学明けてももう、近藤を迎えに行かなくていいから」と言った。

「そりゃそうですよね!」

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