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男子高校生の青春  作者: 次原明人
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第37話 私服OK

英語講座のあと、田口君と赤羽とだべっていたら田口君が切り出してきた。


「知っているか?、この学校はほんの少し前まで私服登校OKだったんだぜっ」


「そうだったの!?」


「入試の時は制服制って書いてあったけどなあ」


「俺、まあお前らが入ってきた時に制服制になったっ」


「タイミングわりいな!」


「けど私服制っていい事無かったぜっ、服毎日替えないといけないし、変な私服だと怒られるし」


「でもいいじゃねえか、制服より」


「けど、私服OKって言われてんのに私服で来ると怒られるんだよなっ」


「なんで?」


「基準服を着ろて言ってたなっ」


「基準服って何?」


「制服の事だっ」


「じゃあ制服制じゃん」


「そうだぜっ」


続けて


「中学の時の学ランを着てきた奴が先生三人くらいに捕まって連れて行かれたりもしたなっ」


「意味わかんねえ」


「普通に私服で着た奴は知らない先輩に話しかけられて言われてたぜっ」


「なんて?」


「『お前、調子に乗るなよ』ってっ」


「怖!」


「私服の意味ねえじゃねえか!」


「何で私服ダメになっちゃったの?」


「一個下のバカな奴らがやらかしてダメになったんだっ、あいつらのせいだ」


「例えばどんな事?」


「他校のブレザーを着て登校してくる女子とか、中学の制服で来たりっ」


「それ馬鹿だろ!」


「まあ、俺らもいろいろやってきたしな水色のラインが入ったYシャツ着てきたり、他校のズボン穿いてきたり、スーツのパンツ穿いてきたり、そんなかんじだなっ」


「ズボンは普通灰色なのに、真っ黒なスーツのパンツはいてきたから浮いていたな、アロハシャツにサンダルできた時はマジで怒られたな」


「それはバカだろ!」


「バカにすんな、あれがかっこいいと思った時期が俺にもあったんだぜっ」


「それ田口だったのかよ!」


「上下迷彩できた時は入り口で止められた奴いたなっ」


「そりゃそうでしょ!学校ジャックしに来た過激派にしか見えないでしょ!」


「そのうちどんな服では入れるか競うゲームみたいになって楽しんだな、SAGAWAで入った時は大丈夫だったなっ」


「なんでSAGAWAの制服持ってんだよ!、むしろそっちが原因なんじゃ…」


「あと校則と言えばバイク・車登校禁止なんだけどなっ」


「ああ生徒手帳に書いてあったね」


「バイクは近くの駐輪場やコンビニの前に置けばバレないぜ、近所の駐輪場のバイクの大半はうちの生徒のバイクだし朝早くならばれないぜっ」


「そんな朝早く来たってやることねえだろ」


「そうなんだよ、やることないんだよ、だから教室で寝てるんだぜっ」


「そう言えばフル電動自転車ってバイクと扱い同じだよね」


「電動自転車使ってくる奴って何なんだろうなマジで?」


「女子かっ?」


「男子」


「親過保護かっ!?」


「坂の上に住んでんじゃね?」


「家遠いんだろっ」


「いや、距離的に俺と同じで3キロくらいで坂道は1か所しかない、俺だっていつも坂登ったり下ったりしてるよ」


「男は黙って『直足』!」


俺はそういう主義だ。


「男だった楽なんかしないで一番ギア重くして坂登れや」


何気なく生徒手帳を見ていたら車通学禁止と書いてあったのを見つけた。


「車通学駄目なの!?、雨の日は親に車で送ってもらうことあるんだけど」


「いや、自分で運転してくるまで学校に来るのが禁止なんだっ」


「それ3年じゃん」


「帰るときが大変なんだ、夜遅くないと車で出られないっ」


「バカじゃん!、初めから車で登校しなきゃいいのに!」


「警備が緩い時に出るのが難しいんだぜっ」


「自転車通学でヘルメットなしの時は見た目よかったよな、今は学校義務だからなっ」


「あれはダサいヘルメットだと恥ずかしい、中学生が使っているようななっ」


「高校生にもなって中学生ヘルメットだったら歩いて通うつーの」


「眩しいからってババアが使うでかいサンバイザー付けてきたら怒られたなっ」


「なんて?」


「サンバイザーじゃ頭守れないだろ、ババアかよってっ」


「サングラス駄目なんだからってヒートアップしていって、スキーのゴーグル付けて行ったら『お前はどこの山から来たんだ?』っ言われたぜ、最終的にはぱっと見メガネにしか見えないサングラスで落ち着いたなっ」


「制服制になったときちょっと制服をどこまで着崩していいか試してみたんだけど、一挙にまとめるぜっ」


シャツ出てる→シャツインさせられた。


ネクタイぐちゃぐちゃ→結びなおされた。


制服のボタンしてない→付けさせられた。


股間のチャックが開いていた→閉めた。


「最後の関係なくない!?」


下駄で登校したらカランカランうるさいと怒られた。


「いや下駄はそういう問題じゃないだろ!」


「先生に『今日祭りか?』言われた『下駄で登校しちゃ駄目なんて校則に書いていないでしょうがっ!』と屁理屈を言ったら職員室で絞られたぜっ」


「厳重注意ではなくただ怒られただけで済んだから良かったけど、今日は仕方ないからいいけどもう下駄穿いて来るなよと言われて、教室でもカランカランうるさいと言われてたぜっ」


「それで自転車乗って来たの…?」


「すごい漕ぎ辛かったぜっ」


「それはそうだ!」


「明日は面白い靴はいて来るぜっ、楽しみにしててな」


次の日


「なんかカランカラン音がするけど!?」


「まさか下駄で来たのか!?」


「おっはー!」


懐かしいあいさつをして登校してきた田口君。


田口君が穿いてきたのは…雪駄だった。


登下校に下駄は不便だとうすうす気づいていた田口君は雪駄で登校してきたのであった。


「これ下駄よりチャリ漕ぎやすいんだっ」


「いや、そういう問題じゃないと思う」


「昨日は足が寒かったけど今日は少しあったかいんだっ」


「足袋だからね!」


「靴なんか言われなかったのかよ?」


「気付かれなかったっ」


だが廊下を歩いている時にカランカラン音していて先生が見ていてバレて、今日も教師に怒られ教室ではカランカランうるせえと言われて今日も散々だった田口君であった。


「雪駄だったのにっ…」


「だからそれが問題だったんだって!」

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