第23話 高校野球応援
第23話 高校野球応援
高校野球春の宮城県大会決勝。
うちの高校は宮城県では常に甲子園を争う2強の一つだ。
決勝の相手がそのもう一つの高校仙台栄華学園高校
うちの学校の近所だ。
応援の時同じタイミングでぞろぞろと球場に向かって生徒が歩き出すから近くをにいた人からは何事だと思われる。
後ろの奴に俺のケツを触られた?。
田口がいたがポケットに手を入れているから違う。
ん?
また触られた触感。
後ろ向いたら田口君がポケットに手を入れるところだった。
居合拳の要領で俺のケツに触って痴漢しているのか?。
少しでも触れた触感があったらすぐ後ろ向くぞ。
触られた触感があり後ろを向いたら横にいた藤野が俺のケツを叩いてた。
「お前かよ!」
「いやー、今のは俺だけど、田口にそそのかされてー、1回目と2回目は田口だよ」
「なんで言うんだよっ!」
「やっぱり田口が痴漢じゃないか!なんでケツ触るの!?」
「条件反射だ、前に友達のケツがあったら触らないと失礼っ」
「触る方が失礼だよ!」
俺は内野席中列に座った。左隣が左藤との席になったが何故か目線が同じだ
「あれ?左藤って座高高くない?」
「普通だよ」
「俺の方が7センチ高いのに目線が同じなんだけど」
左藤は160センチ、俺は167センチ。
「お前、俺と腰骨の位置全然違いすぎるだろ!」
「長谷川の足が長すぎるんだよ!」
「え?そうなの?」
左藤の隣にいた藤野に訊いた。
「藤野の腰骨の位置は…俺より下?」
「だねー」
「赤羽は?」
俺が立って、右隣に座っていた赤羽に立ってもらった。
「腰骨の位置、俺と同じくらい、赤羽身長何センチくらいだっけ?」
「175センチだ」
「俺、赤羽と腰骨の位置同じなの!?8センチも違うのに!?」
俺の足が長いことに今初めて気づいた。
そんなこんなしていたら野球の試合が始まった。
高校野球の応援で野次が多い
「打てー!柴山!」
「打たなきゃ殺すぞゴラァ!」
「あの秘密ばらすぞーこら!」
部活動紹介の野次より酷い。
0-0のまま3回
「8番 工藤君」
「あいつ俺の中学の同級生だわ」
赤羽がそう言った。
「そうなの!?すごいじゃん、1年なのにもうスタメンなんて」
「うちの中学の軟式野球部とシニアリーグ兼任して、シニアの練習の無い日は野球部で練習してたけどよ」
凡フライ
「あーダメだった」
「工藤アレばらすぞゴラァ!」
赤羽が野次った。
「あれって何?」
「秘密だ」
そのあと工藤は6回も凡退した。
「何してんだ工藤ゴラァ!」
赤羽がまた野次った
9回裏になって0-1で負けている。
ヒットもあったが併殺を繰り返して、打者が24人で抑えられていた。
工藤の前の7番がヒットで出塁した。
「工藤今度こそ打てー!」
ツーアウトノーボールツーストライクになった。
「あーダメだこりゃ」
内野席前列、フェンス近くの席の木戸Uが同じ中学工藤に野次を飛ばした。
「工藤!、打たないとお前が童貞ってばらすぞぉ!」
「工藤って奴は童貞なの?」
「そうだ、それでいじられっと怒る」
「もうばらしてんじゃねえか!ざけんなこの野郎!」
「クドウテイー!打てぇ!」
「中学のあだ名で呼ぶのやめろや!」
木戸Uが工藤の恥ずかしいかしい秘密をばらした
怒った打者、工藤は怒りのフルスイングをした。
バットにボールに当たった、打球が伸びる伸びる、フェンス際、ジャンプした、かすったが入った、サヨナラホームラン。
童貞がバレたのと引き換えに勝利をもたらした。
野球部の仲間にイジられた工藤。
「良かったぞぉ童貞!」
「いいぞ童貞!」
「もう童貞って言うのやめてくださいよ!」
「これだけのことをしたんだから童貞って言うのはも申し訳ないな、童顔の道と帝王の帝で童帝と呼ぶことにしよう」
「漢字は違うけど読み方どっちも同じだろ!」
奥州学園高校は春の県大会、優勝した。
次の日
「昨日よかったなクドウテイ」
赤羽が昨日のヒーロー工藤に廊下で話かけた
「だからそのあだ名で呼ぶのやめろ!」。
それからそいつのあだ名はクドウテイになった。
あとそいつの本名は工藤帝だったのであながち間違っていなくかった。
童貞とイジるとホームランを打つことが分かり重要な場面に童貞をイジるのが恒例になった。
夏の県予選の決勝の時、スタメンに工藤が二人いてアナウンスでクドウテイ君と一度間違われて大爆笑が起きて。その日工藤は3本ホームランを打って優勝したのはまた別の話。