第19話 チャラ男の言い訳
第19話 チャラ男の言い訳
え基礎英語講座が追わった後出された課題と予習復習をするようにと自主勉強するようになったので、英語講座をやっていた視聴覚室にみんな残って勉強していたら木戸Uが勉強中に話を切り出してきた。
「俺ぇ、チャラ男って言われるのマジショックなんだけどぉ俺のどこがチャラいのマジ意味わかんねぇ」
「髪の毛で片方の目隠すぐらい長いからだよ、鬼太郎かおめえは」
「鬼太郎じゃねえから俺ぇ、この髪形はいいでしょ、カッケーじゃん」
「カッコいいかはわかりかねるがあとしゃべり方かな、チャラいよ」
「おれぇの喋り方のぉ何処がぁチャラいん?」
「いちいちちっちゃい『ぇ』とか『ぉ』や『ぁ』ってつけるのがチャラい」
「それは、元々これだからしょうがねぇっしょ」
「いや、小学生のころは絶対こんなしゃべり方していなかった、俺が小学生でお前と同じクラスで話したら『裕也君の喋りかたへーん!』って絶対言ってたわ」
幼馴染に暴露された木戸U。
「俺ぇ今と同じそんなカンジだったろぉ」
「全然違え、もっと真面目だった、中学入ってから変わった」
「途中でチャラくなったからこんな口調になったんじゃない?」
「だから、チャラくねえしぃ」
「チャラ男は否定すればするほどチャラくなるんだよ」
「なんだよぉそれぇ」
「あと、そのズボン!」
「ズボンがどうしたんだよぉ?」
「腰パンでしょ、しかもすそめっちゃ切れてるじゃん、腰パンだから切れるんだろ、そこが決定的にチャラ男」
俺は続けて
「あとヘアピンするのも鬼太郎ヘアーだとだとチャラい、あと歩きにくい走りづらい靴がチャラい」
「バッシュも兼ねてるんだよぉ!」
元がバッシュの靴を履いている木戸U
「ネクタイ短めに結ぶのもチャラいぜっ」
「ラクダ色カーディガンもだよお」
「紺のベストとかー、他校のバッグ使っているところだよねー」
「あと裕也、おめえ、夏休みとか長い休みに入ったら髪の毛茶とかに染めるだろう、それだ、チャラくない奴は髪の毛染めないから、チャラさってのは体からにじみ出るものなんだ、雰囲気とかが出るんだチャラいって」
赤羽は木戸Uを裕也と呼ぶ。
「頭のいい進学校とかで茶髪OKのところあるけど、そこで茶髪にしている奴ってたいがい単なる茶髪なんだよな、チャラさが出てない、まあ多分イケてないからだと思うな、その中にもイケている奴はいるとは思うけど俺たちに比べればイケてない、まあ簡単にいえば俺たちが言うところの『もぞ』だ、イケてない奴が茶髪になったってイケてない茶髪になるだけだ、全然チャラくない、チャラ男ってイケてるじゃん、イケてる奴が茶髪になったらチャラ男になるじゃん、そういうことだよ、俺の中学の同級生が行った陸前第一高校の奴等がそんなカンジだよ」
「木戸U好きなスポーツ何だっ?」
「ストリートバスケ、スケボー、スノボー、BMX、パルクール、とか」
「全部そっち系じゃん!」
「好きなアニメは何ー?」
「ガンダムシリーズ」
「チャラくない!」
「硬派だなあ」
「ロボットアニメ好きなの?」
「ロボットアニメは基本全部見るけどガンダムはロボットアニメじゃなくてガンダムはガンダムだろぉ」
「ガノタじゃん!」
「修学旅行で一緒の部屋になったらガンダム上映会とかガンダム占いとか0080ポケットの中の戦争を熱く語ったり閃光のハサウェイを語りそうー」
「ガンダム3兄弟じゃねえわぁ!」
「お前の彼女の名前なんだっけ?」
「聖来」
「名前で選んだのか!?」
「こいつ彼女呼ぶとき聖来さんって呼ぶんだわ」
「アムロじゃないか」
「たぶん彼女の名前はガンダムじゃなくてセーラームーンから付けられたんじゃないかっ?」
「彼女の父親はガンダムファンだって聞いたわぁ」
「気が合いそうだな」
「スーパーロボット大戦ってどう思う~?」
「神ゲーだろぉ」
「チャラいオタクっ木戸U的にはどう思う?」
「わけわかんねぇ」
その意味わかんない状態になっている木戸U。
「今まで彼女って何人いた?」
「一人だよ裕也は今の彼女だけ」
「やっぱり硬派じゃないか!」
木戸Uは見た目と口調以外は意外と硬派だった。
「ちなみにマクロスは?」
「マクロスもマクロスだろ、ガンダムもマクロスもロボットアニメに一括りされるのが許せねぇ!」
「硬派だな」
木戸Uの株が上がり始めた。
「彼女とはどこまで行ってんのー?」
「処女喪失と童貞喪失したわぁ」
「もうヤったの!?」
「軟派だなあ」
「硬派だったら高校卒業までやらないぞお」
「それはそれでキツイ縛りプレイじゃないー?」
そんなゲームキツイ。
「生殺しはキツイぜっ」
付き合っても3年間手を出すな、それは高校生には無理。
「高校生で付き合ったら普通ヤるだろお、AVのインタビューでは大体中高生で処女喪失してるじゃないかあ」
「確かにっ」
「最近彼女といつヤった?」
「三日前、彼女の潮吹きのやり方覚えたわぁ」
「こいつ最低だあ!」
少し上がっていた木戸U株が底値に落ちた。
クズい…
彼が予想以上にクズだと分かるのはちょっと先の話。
「彼女の画像見せてよ」
「いいぜぇ、あまりの可愛さの驚くなよぉ」
木戸Uスマホの彼女の画像を見る俺ら。
見た。
…………
何と形容すればいいか、簡単言ってしまえば…普通だ。
よく目を凝らして見る。見た。
ブスとも可愛いとも言い難い普通の顔だ。
俺は言葉に詰まった、なんと言えばいいか分からない。
「どおだぁ、可愛いだろぉ」
可愛いといえば無難なんだろうけどなんか悔しいし、嘘はつきたくないし俺の美的センスが疑われることになるからどうしたらいいか分からない。
あと木戸Uの自信たっぷりの言葉がムカつく。殴りたい。
悩む、何て言えばいいのだろう。何を言えば最高のチョイスなんだ。
やっと第一声にジェイが口を開いた
「ブスじゃねえかあ!」
「えぇ!?」
「そうだな~、ブスだな~これ」
「はぁ!?」
「な、ブスだろ?」
「翼ぁ、いつもいつもブスって言うのやめろやぁ!」
「お前こんなブスと付き合うのかよ、ブス専だぜお前っ」
俺も口を開いた。
「うん、ブスだな」
これでいっか、みんなも言ってるし。
俺も一応空気を読んでブスだって言っておくことにした。
「何なんだよてめえらぁ、眼腐ってんじゃねえかぁ!?」
「目が腐ってんのはお前だ、好きになると映像補正されて可愛く見えてしまう現象にお前はかかっている、幻覚だっ」
「もういい!、帰るぅ!」
木戸Uは怒って帰ってしまった。
「赤羽、木戸Uの彼女の写真ある?」
「ああ、あいつとのLINEのやり取りで送られたのがあるけどよ」
「ちょっと藤野たちに見せたいんだけど見せてくれない?」
「ああ、いいけどよ」
藤野、左藤、山野っち、ナギ、山口君に見せた。
「この木戸Uの彼女の顔、美人、普通、ブスでどれだと思う?」
「普通だなー」
「普通だよ」
「普通でゴザル」
「普通ですよね」
「普通ではないか?」
「みんなは木戸の彼女ブスだと思う?」
「ああ~」
「おおっ」
「実際のところはどう?」
「普通だっつうの」
「それえ」
「普通だよなっ」
「超普通~」
「じゃあ何でブスって言ったの?」
「なんか悔しいじゃねえか自慢ウザいし」
「あいつこのままだと調子に乗りそうだったから釘を刺したくて~」
「負け惜しみって程ではないけどなんか彼女がいるって事だけでイラっと来たからっ」
やっぱりみんな俺と同じこと考えていたのかよ、よかった、俺、普通で。
「でも普通だけど俺はあの彼女の彼氏でもヤりたくねえ」
「俺も、キスなんか見たらもうヤダっ」
どっちにしても酷評だな、木戸が聞いてたら泣くぞコレ、
「俺、コイツとはヤりたくねえなぜっ」
「おめえは彼女自体出来ねえし、二十歳超えても童貞卒業できないから大丈夫」
「ざけんな赤羽!ゴラアっ!」
「えり好みしなければできるかもしれないけどブスとヤったら後悔すっぞ」
「何か説得力あるな」
「兄貴がいてな…後悔してた、俺も何であんなブスとヤったのって詰問したよ、そしたらコイツとならやれると思った瞬間なぜか可愛く見えてしまったと言っていた」
「我妻さんで言ってたあれか」
「本当にあるんだなあ…」
「やっぱ彼女は可愛くねえとな」
「あー、彼女欲しい!」
「誰でもいいから彼女欲しいな~」
「でも裕也の彼女みたいな女の子は?」
「「「「「やだ」」」」」
「だよな」
すげえ木戸Uと彼女がdisられている。
会った事もない女の子を見た目だけで判断するなよ…。
嫉妬で彼女をdisられ、真意を知らないまま帰ってしまった惜しい木戸であった。