第1話
初めに、これを読んでいる貴方は青春を送っただろうか、共学のクラスで女子と触れ合ったり、青春とは皆それぞれであるがこれは俺の男だらけでむさっ苦しいがとても楽しかった青春の高校生活3年間をつづった物語である。
この物語は高校1年の4月から始まる。
第1話
俺の名前は長谷川 明、『あきら』ではない『あき』だ。よく間違われる。小中学校は行ったりいかなかったりの元不登校で、この四月からこの私立奥州学園高等学校の一年生だ。
第一志望の私立高校に落っこちて一般入試でこの高校に入ったが、この学校は
思った以上にバカだった。
この学校は偏差値40らしいがどう考えてもそれ以下にしか見えない奴等ばっかだ(いい意味で)。
それにしても面白いヤツばかりだ。
だから俺はこの学校を辞めようと思っていない。
落ちた第一志望の高校に来年、入り直そうと思っていない、1学年高校で先輩なのは嫌だから。
高校くらいは卒業したいと思っているので、絶対にこの学校で3年間生き延びてみせる。
入学して分かった事がある。
この学校にはヤンキーと呼ばれるがほとんどいない、やんちゃなヤツ、イケてないヤツ、オタクとかが多い。
ヤンキーは入学試験の面接でほとんど落とされるみたいだ。
ヤンキーの巣窟とか言われているけどそれはデマだった。
実際は…バカの集まりだった。
愛すべきバカたちがいっぱい。
メジャー級のバカたちがいっぱい、入試の時からその片鱗を見せてたな。
各中学のトッププロスペクトのバカが入る高校らしい。 他の高校は学校側が指名回避、つまり落ちた。
こんな学校だった
授業中
遠くを見る俺。
授業中である。
「ィエ~、C・H・I・N・P・O、チンポ!」
「立つな、座れー」
授業中に大声でギャグを往ったり。
「壊れるほど愛しても 1/3も伝わらない~」
「伝わらな~ぁぁぁい!!」
ギャハハハハハハ!!
大声で歌を歌ったり。
後ろの席に奴らは、
「革命」
「革命返し」
トランプをやっている、大富豪のようだ。
授業中に立ち歩いている奴が普通にいる、それが普通、他人は学級崩壊というかもしれないがこれがこの学校の『普通』、頬杖をついてあきれる俺。
そもそも入学式からおかしかった。
入学式
学校の古い体育館で入学式は行われる、受付は並んで5つあるがそのうち4つが揉めていた。
受付で金髪のメッシュが入った新入生が教師と小競り合い、学校側が奴の入学式出席を不許可。
「俺はハーフだ!」
「ちょうどよく金髪のメッシュが入るハーフなんていねえよ!」教師のツッコミが入る。
「もっとも過ぎる…」
メッシュの部分を切って何とか入学式に出れるようにしていたアホがいた。
「田口、お前なんで居るんだ!?」
「新入生だよ俺は!名簿に名前書いてあるだろっ!」
「は?どういうことだ?」
「名簿見ろよっ、俺は新入生の一年だぜっ!」
「あ、書いてある…なん?」
「だからさっ…」
他の受付でもめてる奴がいた。
「俺は不良だあ!」
「ハイハイ、席、前から詰めてってね」
なんかちっちゃくて可愛いウルフカットの奴が叫んでた。
「お前、ハーフか?」
「純粋な日本人ですよお!」
「名前が…え?」
「え、じゃなくてえ!」
また揉めている。
俺は空いていたところでなんなく受付を終わりクラスの前の方に詰めて座った。
席割りは適当らしい、先に来た人から詰めていくらしい。
隣にさっき受付で揉めてた奴タッパがある何か大人びた顔をした田口とか言った奴が話しかけてきた。
「おうっ、お前も一年か?」
「入学式なんだから一年しかいないだろ…」
「俺っ、田口広孝、よろしこ」
なんで昔のチャラ男みたいな挨拶?
舐められてはいけない、俺は直感した。
普通に挨拶をしてはつまらない奴だと。
一応挨拶は返しておくか。
俺は真面目な声で答えた。
「よろぴく」
「古くさい挨拶だなっ」
「お互い様だよ!、というかそっちが先だよ!」
そしてだんだん人も詰まっていき、入学生の席がほとんど埋まり、入学式が始まった。
校長のありがたいどうでもいい話の途中、やんちゃな数人が騒いで校長がブチ切れた。
「黙れっ!」
「うるせーハゲ!」
「ハゲではない!、殺すぞ」
「今、生徒に『殺すぞ』って言ったぞあの校長」
「つまらねーんだよ!、話が!」
「黙れ!、私はお前らの先生じゃないんだぞ、校長先生だぞ!」
そうですね、もっともだよ、再認識させたいのか?。
隣の田口が話しかけてきた。
「知っているかっ、校長実はカツラなんだぜ」
「マジで!?、何で知ってんの!?持ってんの!?先輩とかから聞いたの?」
「そんなところだぜ、つうか校長マジでクズだからなっ、生徒のほとんどに嫌われているからな」
「そうなの?」
「余計なこと言うんだよっ、言わなきゃいいのに、沸点低いし、自分はWASEDAだといつも自慢するし、野球部のユニフォームWASEDAそっくりにするしで、ネットで笑いものにされてるぜ、そして校長が入学式でキレるのが伝統行事」
騒いでた奴がつまみ出され、場が落ち着いて校長の話が再開された。
「え~、ただ言えることは一つ」
「警察には捕まるな」
「は?」
俺は思わず声が出てしまった。
「まず、逃げろ、徹底的に逃げ続けろ、捕まるなそして犯罪はできる限りするな」
「出来る限りじゃなく絶対にだろ」
「もし警察に捕まってもうちの学校の名前は出すなよ、他校の生徒だとでも言えばいい」
「非道だな…」
「つまりは捕まってもいいけど、学校の名前は出すなってことか」
「あと、死ぬな、死んだらお終いだからな、死ぬくらいだったら逃げろ、言うのも変だが死ぬ気で逃げて生き延びろ」
「どこの国の話をしてんだよ、紛争地かここは?」
テロリストがそこらへん歩いている国かここは?
「以上、言えることはそれくらいだ、これで私の話は終わりにする」
「素晴らしくまったく役に立たない言葉を贈られたな」
そんな事するわけないだろ、俺には全く関係のない話だな。
生徒退場、そして、教室で一応教師から話があるらしい。一番左の列からと言ったの一斉に出口に行ったので出口は混雑した、人の話くらいは効けよ。
体育館を出るところで隣にいる田口が「校長はカツラっ!」と大きな声で言った。
そうしたら話を終えてリラックスしてズボンのポケットに手を突っ込んで立っていた態度が悪い校長がキレた。
「誰が言った今あああああああああ!!」
誰も誰が言ったか分からない言わない。名前がよく分かっていないから。
「今、言った奴出て来い!」
体育館を出て行く波に押されてみんな出されているからうやむやになった。
そうしたら、
タッパのあるチャラそうでデカい奴が校長のかつらを取って、逃げた。
「待て返せええええええええ!!」
校長や教頭?らしき人が追いかけるが出て行く人の波の中に紛れて逃げた。
「おい、待て!止まれ!」
皆出て行くから止まらなかった。
犯人は謎になった。
教室に40人ずつ詰められて、席に座り、教師から話があった。
「皆、今日は入学おめでとう、これから3年間頑張って卒業までよろしく」
それらしい挨拶から始まった。
教師は自己紹介をした。
「俺は英語の教師をしている秋山という、1年の担任になるからもしかしたらお前らのクラスの担任になるかもな、1年の英語も担当するからよろしく」
「「「よろしくお願いしまーす」」」
「校長が言ったように犯罪はしないでくれ、行内でも購買で万引き、立ちション、自転車泥棒、毎年出るからそういうことはやめておくように、停学になるので」
「外でも喧嘩、さっきも言ったが万引き、仙台駅東口のエスカレーターの壁に立ちション、バイクの無免許運転はマジですぐ停学になるから絶対にしないように」
仙台駅東口のエスカレーターのだけ具体的だったな。
「まあ、注意事項はこれくらいだから」
続けて
「あと、さっき教職員の間であぶり出すようにと言われたんだけど『校長はカツラ』と言った奴とカツラをパクって逃げた奴は名乗り出ろとお達しがありました」
「誰か分かる奴はいるかと言いたいところなんだけど―」
皆、無言で誰もチクらなかった、というより誰が言ったか顔も分かっていないから分からなかった、知っているのは俺だけ、同級生を売るようなことはしなかった。
ちなみにまた隣の席にいた田口は素知らぬ顔をしていた。
「―探しません、俺も他の教師も校長嫌いだから、あとカツラは暗黙の了解なので教師は皆知ってるんで」
続けて
「まあ言った奴は分かるけどな、でも言わないよ、大丈夫だ、適当に誤魔化すから」
と俺の隣に座っていた田口をちらっと見た、田口は首肯した。
良い先生だ。
帰り、両親と帰るときに落とし物置き場に帽子と書いてあるカツラが置いてあった。
「ハハハハハハハハ!!」
俺と両親は笑ってしまった。
校長のカツラを取った奴が停学になったのは後の話、大矢という奴が落し物と届けて、届けた人の名前欄に自分の名前をそのまま書いてそこで大矢という奴を呼び出したらカツラを取った奴だったから停学になったらしい、適当な名前を書けばいいのに抜けている奴だ。
備考で、親が二階の席から入学式を見ていたが入学生の席を全員分用意したの少し空いてたらしい、入学式をさぼった猛者もいたようだ。
何だこの高校は…えらい学校に入ってしまったと思った俺だった。
初登校日も異様だった
初登校日
初登校日、入学式から二日、入学式は日曜日だった。
ちょっと早めに家を出て歩いて登校した。遅刻して怒られるのも嫌なので。本当は自転車通学がしたいので自転車で行こうと思ったが、自転車置き場が分からないので、とりあえずは歩いてということで、帰りに自転車置き場は探そう。
校門を少し進んだ所にクラス分けの看板が立っていた。
俺は1組だった。
でも教室の場所が分からない。
クラス分けの看板の横にクラスの場所を書いてある看板が立ってあった。
でも分かりづらくてよく分からない。どこだこれ?1組はどこだよ。
そんな時案内係と思われる職員教師に話しかけられた。
「何組ですか?」
「えっあっ、一組です」
突然話しかけられたのできょどってしまった。
「一組はあちらから入って2階に上った所の一番奥の教室です」
「ありがとうございます」
何でこの看板めちゃくちゃ分かりづらいんだよ、口頭で言われた方が分かりやすいなんて…。看板の意味がない。バカには分からない看板なのかもしれない。
その教えられた建物の2階、1年1組の教室の前に着いた。
教室の前で、立ち止まって、深呼吸をする、ちょっと緊張してきた。
女子とかいるかな?、中学校の時みたいに嫌われたら嫌だな。
「すーはー、よし!」
俺は勇気を振り絞り意を決して教室に入った。
「……」
見渡す限り男、男、男、むさくるしい男たち。
柄が悪い、見た目が怖い、坊主でガタイのいい、むさくるしい、男。
皆が険しい目で直視してきた。
そこには男子しかいなかった。
「…………」
俺はそっと閉めた。
男の巣窟だった…。
新手の地獄かな…?
嘘だろ、ここ共学だぞ…。
なんか奇妙な光景を見たような気がしたのだが気のせいかな…
なんか全く華がない、汗臭いであろう、どんよりとしたそんな空気。
「よし!」
勇気を振り絞りもう一度扉を開けた。
何回扉を開いても同じだった、そこには男子しかいなかった。
男子クラスかよおおお!!クソが!
そして教室に入るなり同じようなリアクションをとる奴らがいた。
「男子クラスかよお!、クソがあ…!!」
悔しさで地面を握った手で何度も叩く奴がいた。
「また…男子クラスだなんてっ…チクショウ…ッ!」
入学式の時隣にいた田口とか言う奴が叫んでいた。またってなんだろう。
「クソ……ッ!、チクショウっ…!」
まだ悔しがっている。
自己紹介もおかしかった。
自己紹介
各々黒板に張ってある席表を見て自分の席に座って、8:55分チャイムが鳴りホームルームが始まるのだが誰も教師が来ない、9:00になった所で教師が来た。
「あー、ごめんごめん、腕時計5分遅れてた」
悪びれもしないで教師は言った。
アレ、この先生は、
「私がこの1年1組のクラスの担任の秋山ですよろしく」
一応皆で拍手をした。
「えー、今日は授業はなくて施設見学とかいろいろあるけどとりあえずレクリエーションとして自己紹介をしよう」
入学して初めての自己紹介
まず、担任の先生が学校生活ではお互いの事を知るのが大事だという学校生活の始まりによくある事を言ってまずは自己紹介をすることになった。
席順はあいうえお順なのでまずは教室の左端の一番前の奴から自己紹介で出身中学校、中学の時の所属部活、趣味か特技、好きな俳優を言うことになった。
ちなみに俺の席は『は行』なのに一番右端の前からの席だ、何故だ?。俺の出席番号何番だよ?。
「出席番号1番の、えー、赤羽から」
見た目が少しチャラそうなやつだ。
「赤羽翼、長町南中出身、趣味は洋楽を聴くこと、好きな俳優は窪塚洋介、特技は女の胸を触ればカップ数とセンチを当てることができるっす」
先生は「触れば多少は分かるだろ、お前、彼女以外にやったことあるのか?」突っ込んだ。
「ないっすよ」
「よかった、じゃなかったら事案だからな」
しょっぱなからヤバイこと言う奴出た。
進んで
次、ハーフみたいな顔立ちの奴だ。
「衛藤純です」
「「「えっ!?」」」
皆が驚いた。
「なんだよお?」
秋山先生は衛藤に訊ねた。
「お前、ハーフなのに名前日本人なの?」
「俺は純粋な日本人ですよお」
「うそぉ!」
「完全にクリスティアーノみたいな名前が似合いそうな顔してんじゃん!お前、その名前偽名だろ!」
「本名っすよお!」
教師が生徒に『お前、偽名だろ』って言う場面初めて見たよ。
自己紹介の続きイイっすかあ?」
「あ、ああ…続けて」
「中柵中出身中学の時はバスケ部、趣味はAV鑑賞でえ、特技は服の上から乳首の位置を当てることお―」
「それ女相手にか?」
「男です」
「なぜ男なんだ?」
「事案だからですよお」
モテないからだろ。
彼女でもない女の当てたら問題だよ。
「で、好きな女優は原紗央莉でえす」
「それは違う女優だろうがァァァァァ!!」
ギャハハハハハハハハ!!
クラスに笑い声が響き渡った。
「女優っつたよな?」
「女優ですよお」
「いいんだけどさ…」
いいんだ!?。
なんかこれ以上問いただしても何もでてこないと察した先生は次の奴の自己紹介に戻って続けた。
「陸前第三中の太田大志です、軟式テニス部出身で、趣味はボーリング、好きな女優は羽生アリサです」
ギャハハハハ!!
次の奴も好きな女優をAV女優の名前を言った。
え?なに?これはそういうことを言う流れなの?。
なんで学校の自己紹介で好きなAV女優の名前を言わなければならないんだ…?(絶望)
何故こうなった?
「次」
またチャラ男だ。
「木戸裕也でぇす、長町南中学出身、趣味はストリートバスケ、好きな女優は三上悠亜でぇす」
「王道、三上悠亜いいよな引退が惜しい!」先生の感想だ。
ギャハハハハハ!!
生徒が言って先生がツッコむってパターンなんだな。
「次」
「はい」
声、男にしては高いな。
グレーの布マスクをして髪が長くポニーテールにして小柄な奴だ。
「昇華中学校出身草彅薫です茶道部出身です趣味は少女マンガを読むこと、特技は料理です―
「乙男かよ!」
古い作品だよ知ってる奴少ないよ。
「―好きな女優はいませんが好きな声優は川澄綾子さんです」
「セイバー!」
後ろの方の席のデブのオタクが興奮した。
「違うだろ、『藍より青し』の葵ちゃんだろ」
「それ古すぎますよ!」
俺が先生についツッコんでしまった、『藍より青し』、好きです。
AV女優言わなくていいんだ。
次の奴に移った。
「陸前第二中出身近藤武蔵です、剣道部出身、特技は目がいい事、好きな女優は紗倉まなです」
ギャハハハハハハハハ!!
完全に次の奴から好きな女優はAV女優を言う流れになってしまった。
「佐藤善次郎です、八本松中出身、ハンドボール部出身、首位は読書、好きな女優はJULIAです」
そこから縦一列全員佐藤好きなAV女優を言う流れになった、誰か打破してくれ!
「左藤友希です―」
凄い普通の名前、前髪で顔が見えないのにメガネしてる、もぞっぽい見た目してんな。田舎出身か?。我ながらひどい偏見だ。
「幸町東中学校出身で趣味は読書と動画を見ることで、特技は妄想です」
「それ趣味じゃないか?」
ギャハハハハハハ!!
「好きな声優は大亀あすかです」
「合法ロリかよ!」
ギャハハハハハハ!!!
こいつはちょっと危ないかもしれない。もしかしてロリコーンか?。
「滝川大翔っす!、愛宕山中出身、野球部でした、趣味は暴走で特技は特攻です!!一つ言っておきます、俺は不良だあ!!」
ハハハハハハハハ!!
腰パンにしてヤンキーぽいウルフカットの奴だが、
身長160センチくらいの奴が『俺は不良だあ!』なんて言っているからかわいく思える。なんか微笑ましい。
「かわいいな」
ちびやんきーという名にふさわしいフォルムだ。
「かわいいってなんすか!!?」
「ちょっと背伸びしている所が」
「おれ背伸びしてないすよ!、ほら、ちゃんとかかと地についてますよ!!」
「そういう意味じゃねえよ!」
ギャハハハハハ!!
こいつは比喩の表現というものが分からないらしい、今も『ん?』と首をひねっている。
「で、好きなA…、女優は?」
今、完全にAV女優って言いそうなったでしょこの教師!
「菜々緒っす!!」
「それもうAV女優じゃないし、お前に身長的に不釣り合いだろ!、タカノリ・メイクス・レボリューションみたいに!」
ギャハハハハハ!!
「次!」
大柄なスポーツマンみたいな男、入学式の時に隣にいた奴だ、田口だっけ。
「えーと、田口広孝…ん?田口広孝?」
「はいっ!」
「えっ、お前なんで!?」
「あとで話しましょう、今は自己紹介したいんですけどっ!」
「そうか、まあいいんだけど」
田口区の自己紹介が始まった。
「どうも~、入口出口田口で~すっ」
「…………」
盛り上がってざわざわとしていた教室が一気に静かになった。
……すべっている。だだ(・・)すべりだ。
違う意味での ざわ…ざわ… になっている。
場の空気が凍った、大怪我と呼べるスベリ方だからだ、そして教室が静寂に包んだ。そのせいか分からないが、外から雀の鳴き声がよく聞こえる。
この空気を打開するように先生が口を開いた。
「お前、それ古いし、今の奴で分かる奴すくねーよ…」
「そうですかっ?」
「出身中、趣味、特技、好きな女優は?」
「長町中央中出身、陸上ホッケー部出身、趣味は、ビデオ鑑賞
「お前それ何のビデオ?」」
「アダルトなビデオっ」
ギャハハハハハハ!!
ビデオ鑑賞(大人の)
「好きな女優は?」
「ロンモチっ、織田真子」
「ベテランの熟女系女優じゃねえか!!」
ハハハハハハハハ!!
そして、とうとう俺の出番が来てしまった。
俺は席を立ちあがって話し始めた。
「え~、後場中学校出身、長谷川明です―」
「え?『アキ』なの?、『アキラ」じゃないのか?」
「よく間違われます、あの、続きいいですか?」
「ああ」
そう、俺はよく名前を間違われる。アキラではなくアキだ。何故あきという読みになったかはよく分からないが。
「美術部出身趣味は読書、特技は―」
俺は何の気なしにためて言った。
「一輪車です」
「ええええええマジかよ乗れんのかよ!すげーな、かっけー!」
かっこいいのか、一輪車に乗れる事が?、初めて言われたぞ、すごいのかコレ、普通じゃないか?
まあ、確かにうちの小学校で一輪車に乗れた男は女子とばっか話す男と俺の二人だけだったな。
「好きな女優は…」
あっ、ヤバい女優つっちゃった、この場合はAV女優を言わないといけない流れに入ってる、やばい、AV女優の名前なんてあんまり覚えてないぞ、被ったらまずそうだし、言われいないAV女優から言わないと、どうしよう。
ん、たしか兄ちゃんAV持ってたなあれ誰だっけ、たしか…。
「麻美ゆまです…」
「「「???」」」
「「「誰だっけ?」」」
皆がそれ誰だ?と思いざわついた。
やばい、古い人だったか、それとも名前知られてない人だったか。
先生が俺に近付いてきた。
そして先生が俺の肩に手をポンと置き、言葉を発した。
「お前、わかってんな」
「はあ」
先生は教壇に戻りながら話をする。
「麻美ゆまは伝説のAV女優だ、皆、覚えておくように」
「「「おおおおおお~」」」
「あと、これテストに出るからな」
「出んの!?」
「嘘だよ!バカ」
教師が生徒に嘘つくなよ。バカって言うなよ。
自分の自己紹介が終わり席に着いたところで隣の席の田口が俺に話しかけてきた。
「俺は分かるぜ、麻美ゆま」
「俺は分からないよ…」
後ろの席のちょっと女顔のけだるげな奴。
「藤野静でーす―」
「静!?、男なのに?」
「だぁあああ!、それやめてくださいっよー!、男なのに静とかもう百万回は言われてる事ですよー!」
「すまん、つい」
俺と被ってるじゃないか。
「趣味はゲーム、特技はモノマネ―」
「何かモノマネしてくれよ」
「やってくれよっ!」
田口があおってする羽目になった。
拍手が起こりモノマネをやらざる負えない状況になった。
「この学校の校長」
「『私はお前たちの先生ではない!、校長先生だぞ!』」
ギャハハハハハ!!
ああ、なんかそんな意味分らないこと言ってたな。
「一番得意なのは?」
「これです、じゃー、Fate/ZEROより、青ひげの旦那」
「『おぉ、ジャンヌ、自らの名をお忘れか?』」
オタク層には受けているというか半分以上の奴には受けている、結構オタク多いんだなこのクラス。特に見た目がイケていない奴から、あ、でも少しの人数、見た目がイケてる奴も笑ってる、分かっているのか?この元となったアニメを。特に草彅ってオトメンがすごい笑っている。
ウケた。ウケたがウケているのはFate/ZEROを見たことのある奴かオタクだけだ、先生は分からないだろう。
「お前、うまいな~」
先生知ってんの!?
「あと、好きな女優は宇都宮しをんとRIONと安齋ららでーす」
「それ全部同一人物!」
ギャハハハハハ!!
分かんない…
「次」
真面目メガネ君だ。
「青葉第一中出身山口進です、趣味は勉強、特技は漢字ならほとんど読めます、好きな女優は特にいません、よろしくお願いします」
あ、これ好きな女優言わなくてもいいんだ、もっと早く言って欲しかったす。
次
デブオタクの番だ。
「宮城野原中出身、山野秀夫であります、特技はありません、趣味は読書、アニメ鑑賞、ゲームです、嫁はセイバーです」
「嫁は桜だろ!」
「先生、深すぎでゴザル!」
ゴザルが語尾なのかこのデブオタクは。
「これで最後か」
「『や』の次だからこいつの名字は渡辺あたりかな?」
「西華中出身、大嶋です―」
「「はあ!?」」
皆がそいつを見た。
これあいうえお順だろ?何で『や』の次に『お』が来るんだ!?
先生が言った。
「あれ、大嶋?お前なんでここにいるんだ?、あれ、もしかしてりゅ―」
「先生!、……察してください」
「あっ、…そういうことか…」
察したようだ。多分、留年したんだろうな。でも、先生がそれをつついてしまうとは。
「自己紹介の途中だったな、趣味はオナニー、特技は3分やってもイかない、好きな女優は三浦恵理子です、よろしくお願いします」
想像以上にやばい奴だった。
「三浦恵理子って50歳過ぎてるAV女優だろ!」
ざわ…ざわ…
熟女好き…?
「間違えました、三浦理恵子です」
「それは美人な女優だけどアラフィフだよ、やっぱり熟女好きじゃねえか!」
ギャハハハハハハ!!
先生「ようし、全員終わったようだな、ちなみに俺は吉根ゆりあが好きだ、よろしく」
「「「おおお―――――!」」」
皆が共感した。
何がおお――――!なのか分からない。
「ちょっといいっすか?」
「お、お前は赤羽だったな、なんだ?」
「俺の好きな女優は佐々木あきっす」
「そんな場を止めてまで言うことじゃねえ!」
先生まで乗って話すしな。
というか俺って出席番号36番なの!?、名字『は』から始まるから中学校までだったら25番付近だったのになんで!?
このクラスだけで佐藤/左藤が合計7人いて、しかも縦一列全員佐藤、鈴木も6人いた、サ行で名字バランスが大クラッシュを起こしている、そういうことか。合点がいった。
このクラスは41人クラス、なんかバランス悪いと思ったら留年か。後ろの席は藤野、山口、山田、山野 大嶋
パッと大嶋の方向を見たら
話を聞かないで頭を抱えている大嶋。
先生に不可抗力で留年していることがばらされた大嶋先輩であった。
自己紹介が終わって。
「施設案内まで時間あるな」
秋山先生がそう言って唐突に、
「みんな、昨日ジャンプ読んだ?」
「へ?」
「ワンピース燃えたよな、あとヒーローアカデミアもよかった」
「はあ」
「お前らジャンプで何の漫画好き?、昔のでもいいから」
出席番号順に言っていくことになった。
出席番号一番赤羽は
「俺はI''sっすね」
「お前、分かってんな!」
お前、何歳だよ…
次の太田は
「こち亀」
「王道だよな」
どんどん回っていき衛藤は
「To LOVEる」
「あれぞ男の漫画」
恥ずかしげもなく言いやがった。あれは言うのは少し恥ずかしいでしょ…
「少しエッチでいいよな」
「そこがいいんですよお!」
AVの話した後エッチだとか言うのもなんか変な話だ。
木戸とか言うチャラ男は
「D・N・A2」
知ってんのかよ!?
「知ってんのかよ!?」
先生と同じ意見だった。
草彅は
「ええと…ストップ!!ひばりくんですかね」
「よくそれ知ってんな!?」
「父が持ってたので」
前髪で顔見えないメガネの左藤は
「ゆらぎ荘の幽奈さん」
「あれ好き」
滝川は
「ブラッククローバー」
「あれアニメ長かったよな」
田口は
「電影少女」
「古いよ!」
「お前ら桂正和先生好きか!」
そして俺の番になった。
「お前は?」
「左門くんはサモナーですかね」
「あれ面白いよな!、左門君のカスムシっぷりが最高なんだよな!」
後ろの席の藤野は
「恋染紅葉」
「あれ好きだった!」
オタクのデブ山野は
「いちご100%」
「お前、To LOVEると言う恥ずかしさ変わんねえだろ!」
確かに。
メガネ君の山口は「ドラゴンボール」
「超王道、来た、子供の時何十回読んだか、完全版のラストもいいよな」
「GTとか見ていましたか?」
「言うな!、思い出させるな懐かしすぎて泣いちゃうだろ」
留年の大嶋は
「あねどきっ」
「あれは評価してほしい」
出席番号1番の赤羽が手を挙げて口を開いた。
「俺、ジャンプもいいですけどマガジンとかも好きなんすけど」
「よっしゃ、じゃあ、もう一回、今度は縛りなしで好きな漫画言おうぜ」
そして盛り上がった。
同級生の好きな漫画とかを知って、そして自分も好きな漫画を挙げた奴に話しかけて仲良くなった。
初めに漫画の話して、何だ?と思ったけどこう言うことか、好きなモノを発表して気が合う奴と打ちとけやすくしたのか、今、やっとあのやりとりの真意を理解したわ。
初めはバカ高校にいるダメ教師か?、と思ったがこれの意図に気付いて分かった、この先生、意外とできる人なんじゃないか、と。
ちなみに俺は縛りなしでは『はじめの一歩』と言いました。(今も続く超名作)
校舎案内
部室、選択教室、視聴覚室、体育館、
購買
「綺麗なお姉さんはいねえからな、購買と言えばおばちゃんだ、綺麗なおばさんもいない、言ってみれば只のババアだ」
ギャハハハハハ!!
「よく通うとバレンタインデーにチョコもらえるぞ」
貰ったって嬉しくねえ…惨めになるだけだ。
食堂
「ここのラーメンは麺がしょっぱいから気をつけろよ~」
スープじゃなくて麺がしょっぱいって大問題なんじゃ!?
保健室
「言っておくが保健室の先生はエッチなお姉さんって言うのは都市伝説だからな、そんな想像してたら漫画やアニメの見過ぎだからな、夢見るなよ」
俺は中学校の時も保健室の先生はババアだったからそんな夢は見ていない、大丈夫。
「え!?いないの!?クソがあ!」
絶望してしゃがんで床に拳を打ちつけて悔しがる奴がいた。衛藤だ。そこまでのことか!?
ギャハハハハハ!!
何を期待してんだこいつは?。ああ、ナニを期待しているんだな。
友人に夢精する時に見たのが裸に白衣の保健室のババアだったから、まともに保健室のババアを見れなくなったと言っていたな、可哀想に。
保健室に入ったがいたのは先生の言った通り普通のババアだった。
「「「ハア…」」」
ため息だけをついてすぐに出て行った。
それくらい残念な保険の先生だった。
ごめんね青春のどんまい先生以上にどんまいだった。
職員室
「エロ本を没収されたら職員室の棚に保管されるが、パクろうとは思うなよ、下手すりゃあ退学になるから」
「怖!」
「綺麗な先生とか期待すんなよ…今んとこいねえから」
「残念だぜっ」
「今年もいいのが入らなかった、来年に期待」
ギャハハハハハ!!
「非常勤講師の席はすみの方な」
窓際じゃん
事務局
「学割とかバイトの許可証とかを貰う所な、許可なしにバイトしたら厳重注意、ヘタすると停学があるから気をつけろよ、バイトしたいなら許可は絶対に取っておけ、あとバイト先によっては停学ウケることもあるからな」
「停学になるのはどんなパターンすか?」
赤羽が聞いた。
「居酒屋とか、酒を扱う料理店とかだとダメ」
「コンビニは酒扱ってるけどいいんすか?」
「コンビニはいいよ、ただ、この学校の教師が来たとかそういう話はすんなよ、耳に入ったら怒られるから」
「なんで言っちゃダメなんすか?」
「あの先生来たけど立ち読みしただけで帰りやがったとか言って、その先生の耳に入ってキレられて平常点無くなった奴がいたからな」
「それ横暴じゃないすか?」
「教師も人間だし、そういう奴はいるよ、俺は違うけどね」
さりげなく自分を立てた!。
図書館
「テンパの美少女と隠れて彼女のへそを舐めるようなことはすんなよ!」
ギャハハハハハハ!!
分かる奴には分かるネタだ、分からない奴はキョトンとしている。
パソコン室
「昔はネットに繋いでたんだが、エロサイトに入ってウイルス侵入された初期化する羽目になったから今はネットに繋いでないんだ」
チラッとこちらの後ろ側を向いた後ろには田口がいたが、田口もつられて後ろを向いた。
先生は何かツッコミったがったが、「まあ、いいや」と言って次に進んだ。
トイレ
「トイレを清掃してんのは大概ババアだから、期待すんなよ」
「何の期待っすか?」
「綺麗な人だったらションベンが出ずらくなっちまう」
ギャハハハハハ!!
下ネタをバンバン言う教師っているんだな。
「ちなみに一階のトイレが地味で分かりづらくてデカイヤツするならベスポジだ、他の階は和式だが、ここは洋式だ、まあ、この歳になってトイレで大をする奴をウンコマンて呼ぶ奴なんていないだろうがな」
ハハハハハハハ!!
そんなことするのは中学校で卒業したよ。
「昔は男子トイレで変な絶叫が聞こえると言う七不思議があったけど、共学になってからは無くなったな」
「どんな絶叫っすか?」
「アーッ、だとかンアーッだとか、発声できないような声だな」
男子校だったからそれはホモがたくさんいたんだろう(断定)、きっとそれはノンケだったけどあまりにも飢えて(女っぽい)男に欲情して野獣と化した先輩だろう。いたんならそれが起こっても仕方ないね。それ一番言われてるから。共学になってよかったな、男子クラスだけど。
部室 色んな部活の部室
「部活に仮入部とか入部希望の奴は部室の前に集まれば参加できるぞ」
「部室がないと部は活動できないんですか?」
「まあ、な」
「逆に言えば部室があれば部活はできるんですね?」
「人数と顧問が揃えばな」
視聴覚室
「この部屋は許可を貰えば借りる事ができる、防音設備もあるしな」
「文化祭前とかはバンドの練習とかで使ってる」
「隣の放送室も同じように使っていたな」
体育館
「入学式で入ったな、天井にバスケットボールが挟まってるけどあれ、取れた奴は―」
俺は訊いた
「取れた奴は…?」
「…褒めるぞ」
「褒められただけじゃ取る気にもならねえよ!」
赤羽が思わず突っ込んだ。
溜めに溜めて、それかよ!
体育館倉庫
「隣のクラスの双子の姉の委員長と閉じ込められるなんてイベントはねえからな」
ギャハハハハ!!
「女子と閉じ込められることなんてねえからな、よくて男数人、だが男数人で閉じ込められたことがあったけど地獄だったぞ」
「例えば?」
「男4人で体育倉庫に閉じ込められる想像をしてみた、男四人で閉じ込められて、熱くて汗かいて、トイレどうしよう…?、知るか!、腹減った、そう…、鍵かけた奴明日殺す、同意!、男四人でマットで寝る、嫌だ、ひぎぃ!、重苦しい空気を嫌って、一人で創造…ホナニーするやつが出現、こんな時にシコんな!、朝起きたらお前ら何やってんだ?、助かった!。…クソだった。地獄だ」
そんなことがあったのか。
そして、一日目の登校日のレクリエーション(が終わった。
「そして最後教室に戻ってなんか質問あるか?と言ったので赤羽が質問した
「男女共学じゃないんですか!?」
「うちは共学だよ?」
「男女別学なんすか!?」
「5、6組は共学だよ」
「なんで俺は1組なんだよおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
発言した男、田口が机を叩いて涙目叫んだ。
高校生にもなってマジ泣き?。
男子高校生の悲しい慟哭が響いた。
その男の真意を知るのは2か月後だった。