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男子高校生の青春  作者: 次原明人
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2年、第2話


 2年、第2話 新任の先生超かわいい


二年の初めの授業日。

朝のホームルームの後の休み時間

俺は聞いた

「次の授業ってなんだ?」

聞かれた湊は自身の席の目の前の黒板のはじに貼り出されている時間割に目を向けた。

「え~現代文だな、これ、新しい先生かな~?」

時間割のコマで、現代文と書かれた文字の下の場所に担当教諭の名前が表記してある、そこに『国友なつみ』と書いてあった。

「どんな人かなあ~」

「女教師に期待しないほうがいいぜっ、大抵ブス」

「高校ピー年生の説得と言ったらよ」

「言うのマジでやめろ!、気にしてんだぜっ!」

「言っておくけけど俺、巨乳以外認めねえかんな」

などと雑談をしていたら

授業開始に切り替わるチャイムが鳴ったのでみんな席に着いたが先生がまだ来ないので各々だべっている。

先生がまだ来ないので俺は現代文の教科書を読んでいたら、教室に誰かが入ってきたのが気配で分かった。

「は~いちゅうも~く!」

と可愛い声が聞こえた。

ピタッっと皆が固まった。そして俺も固まった。

俺らは今の可愛い声の主を見て、驚いた。

なんだこの可愛いお姉さんは?。

超絶、見たら誰もが一目で恋に落ちそうな可愛いお姉さんが教壇に立っている。

一瞬にして目と心を奪われた。その可愛い姿に。黒髪の上の上のお姉さん。

そして一瞬で教室がシンと静まりかえった。

皆は注目した、何故こんな可愛いお姉さんがこの教室に入って来たのか分からずに。

「今年から奥州学園高校で現代文を教えることになりました、国友なつみです、みんなよろしくね。このクラスで現代文を一年間教えます」

「…………?」

みんながその言葉を理解した瞬間大きな歓声が巻き起こり、クラスの約半数の奴らが一斉に立ち上がり天高くガッツポーズをした。

「うぉおおおおおおおおおおおおお!!!」

「よっしゃあああああああああああああああ!!!」

「フォ――――――――ウッ!!!」

「イエェェェェェェェェェイッ!」

皆がさも春の甲子園に出場が決まった(知らせを聞いた)高校の野球部員のように狂喜乱舞した。

俺も思わずガッツポーズをしてしまった。

そしてこの先生に少しでも良い印象を与えようとすかさずシャツのボタンを全部閉め、ネクタイを直した。 襟を正した。うしっ!

「この世界に女神が舞い降りた!!」

赤羽、それは言いすぎだろ、いや、言い過ぎってこともないか、どっちだよ。

「え~、私、みんなの事よく知りたいから自己紹介してくれる?」

「俺らの事知って知ってぇ!」

「お安い御用っすよぉ~何でも教えちゃいますよぉ、個人情報でも」

「何言ってんのお前!?」

赤羽「俺らに全てを知ってもらいたいです、そしてあなたの全てを知りたい」

「キザキャラ出たよわぁ!」

赤羽は女性を前にする時キザになる、今、通称『赤羽クレイジーモード』に入った。

「俺達は人に自分の事分かってもらうの大好きな人たちなんです!なあ、みんな」

「おう!」

「そうなの!?」

俺達は国友先生に自己紹介をする事になった。

「じゃあ、一番右の相田君から」

まずは出席番号1番の相田からだ。

「相田弘紀です―」

と相田から自己紹介が始まった。

自己紹介は自分の番が来るまで緊張するんだよなあ。

自己紹介が始まり早くも赤羽の番が来た。

「赤羽翼です、僕は好きな女性がいます」

「おっおっ?」

「それはあなたです、なつみさん、マイハニー!」

「ヘ――――――イ!」

「ははっ、面白いね赤羽君」

ギャハハハハハハ!!

軽く受け流された。

「赤羽振られてや~んの」

赤羽は国友なつみ先生への告白を外して、笑われた。

いきなり『あなたです!マイハニー!』って言われて惚れる奴いねえだろ。

軽くあしらわれた赤羽は小声で「俺、結構本気なんだけどな…」

赤羽は小さな声でボソッと言ったのが聞こえた。マジかよ…。

そして顔を両手で覆って落ち込んだ。

あれを言って本気でイケるって思った赤羽の頭は俺には測りしえない。

みんなの自己紹介が進み、ジェイの順番になった。

「衛藤純でえす―」

「ん?」

ここで俺は違和感を覚えた。

ジェイが自己紹介をする場合いつも赤羽が邪魔をするというのが恒例行事なのだが赤羽が今回はなんのアクションも起こさない。

それはおかしい。

俺は赤羽を見た。

赤羽は下をうつむいて独り言をぶつぶつ言っている。

先生に華麗に受け流されたのが相当キタようだ。

人をイジるのを生業としている赤羽がこんなになるとは相当ショックなのだろう。

「特技はバスケでえ―」

赤羽がハッと意識が戻ったようだ。

赤羽がようやく目を覚ましたようだ。

だが、もう遅い、ジェイは何て言ったかな?自分の日本語名を名乗ってしまった。

ジェイの自己紹介はまだ続いている。

「好きな女性のタイプは清楚でお淑やかな人でえす」

俺は後ろにいる藤野に話かけた。

「ジェイの好みのタイプって痴女じゃ無かったっけ?」

「Hなお姉さんだったようなー…」

「何だ?ジェイ、熱でもあるのかっ?」

「ジェイがまともな事を言うなんて…」

高一の時に初対面の女教師に遠回しに『先生の初体験いつですかあ?』と訊いたジェイとは思えない言葉が続いた。

そしてジェイの自己紹介の終盤、奴はハキハキした口調で言った。

「趣味はボランティア活動でえす!」

は?

「てめえボランティアなんてしたことねぇだろうがあああ!!」

「嘘つくなゴラァ!」

「したことあるわ!一回ブスと付き合ったことあるっつーのお!」

「そっちのボランティア活動かよ!」

説明しよう!こいつらが言うボランティア活動とはブスと付き合う行為のことである。

「オイオイジェイ~いつもの下ネタトークはどうした!?」

「うるせーなする訳ねえだろそんなもん!俺がいつもしてるみたいな言い方じゃんかあ」

「いつもしてるだろうが!」

「なつみ先生の前だからっていい顔するなジェイ!、お前の趣味はAV鑑賞だろうが!」

「うるせっこの!、ちげーよお!」

「ジェイ、お前の好きなAVのシチュエーションなんだっけ?」

次のお前はこう言う、『痴漢』と。

「痴漢!…ハッ、違あう!」

「栗山君、そうなの?」

なつみ先生がピュアな顔で尋ねた。

「ちっ違いますよお、ジョーダンですよジョーダン!、なあ?」

「…………」

ジェイは嘘をついているのでみんな空気を読み何も答えなかった。

「おいい!?」

「…………」

依然無視。

「なんでだよお―――――!?」

俄然無視。

嘘をつくからだよ、ジェイよ。お前の味方はいない。

痴漢のAV鑑賞が趣味のジェイ君の自己紹介が終わり、木戸Uの番だ。

「木戸裕也でぇす、俺ぇ、教師と付き合うことにぃ憧れてましたぁ」

「間違いなくお前とは付き合えねーよ!」

「ブスの彼女で我慢しろや!木戸U」

「はぁ?俺彼女いねーし」

「いんだろブスの奴!」

「別れたし、だから俺フリーだからぁ、あとブスって言うな殺すぞ」

別れたのになんでかばうんだよ?。

「たとえお前がフリーだとしても、おめーは先生とは付き合えねーよ!」

「んだとぉゴラァ!」

木戸Uが彼女がいるにしても、いないにしても先生と付き合える確率は100%ない。

、その後数名の自己紹介が終わり、田口君の出番となった。

「田口広孝です、僕は婿養子でも大丈夫ですっ!」

「何の宣言だよ!」

「先生っ、名字を田口に変えませんか?」

「キモッ!」

キモイこれはキモイ!なんつーかキモイ。この台詞がキモイ!。つーかそれ以前に初対面で自己紹介で冗談?か本気かよく分からないけどいきなり『名字を田口にしませんか?』なんてプロポーズなんて言われたら俺がなつみ先生だったら絶対確実に引く。これマジで。多分みんなもそう思っているだろう。こりゃ田口君やっちまったか?。

さて先生はこれに対してどんなリアクションをするか?

「え~そういうのは田口君が学校卒業したら考えてもいいかな」

天使!なんて天使!

「なんて天使な対応ー」

「はいっ!待ってます!今すぐ退学して結婚もOKですっ!」

「お前、それ秘密だろうが!」

「やべっ!しまった」

また高校1年からやるつもりか?。

つうか婿養子OKって言った後、名字を変えませんかってどっちなんだよ?

俺は特に面白いことを言えなかったので割愛。 ちなみにまた長谷川 あきらと呼ばれた、ハセガワアキだけど。まあ、なつみ先生がそう言うんだったら俺はあきらなんだな、他の先生がやったら激怒するけど可愛いから許す!

「次、増田くん」

「はっ、はひっ↑」

この増田、先生が可愛いからかなり緊張しているようだ。

「えっ、ええっとぉ~」

「声震えてんじゃねえか」

「ま、増田耕二ですよ、よろしくおにが―」

「緊張しすぎて噛んでんじゃねえか!」

「ですよって何だよ!?」

この増田と言う男、可愛い女子と話すとテンパるらしいという事が今日この時発覚した。

「湊春で~す、先生、好きです結婚してください」

「帰れチャラ男!」

この湊、瞬発力が半端ない。

「ん~卒業したらね」

「だからなんて神対応」

「先生、あと俺、本気なんで~」

「お前が本気になったところなんて見たことねーよ!」

「俺の方が本気だぜっ!」

「おめーはもういいよ!」

みんな逸る気持ちを抑えきれていない。

自己紹介は終了した。

ちなみに||()っちゃんの|()っちゃんは()っていたので終始中腰の前かがみで話していた。

可愛い人見るだけで()つなんてやはりこいつ本物か…。

俺達の自己紹介が終わった後。

「じゃあ、君たちの自己紹介が終わったから私の自己紹介をするね」

「紹介してぇしてぇ~!」

ハハハハハハ!!

大卒だから俺らより5つ以上歳上だが、1歳しか違わないように見える 、化粧を取って制服着たらを間違いなく同級生か後輩にも思えるような幼い顔。

その容姿は端麗で、綺麗系というよりは可愛い系、一度見れば大半の男性は好きになる程に美しくて、見とれてしまう女の子、いや、歳からして『女性』といた方が理にかなっているが、そんな彼女が教室に悠然と入ってきた時。立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花と言ったという言葉を思い出した。

美人ばかりを集めた国民的アイドルグループのエース級のそれか。

「私は仙台市出身で、高校は仙台中央高校、大学は仙台市立教育大学です」

「中学、高校、大学では水泳部に入ってました」

「先生、今度俺と一緒に泳ぎましょうよ!」

赤羽やめておけ。

「いや、僕とプール行きましょう~!」

「ざけんな!俺とに決まってんだろお!」

「何言ってんだバカ!俺とだぜっ」

「「「何だとゴラァ!」」」

田口君と赤羽とジェイと湊は立ち上がってもみ合いになった。

「落ち着いて、落ち着いて、喧嘩は良くないよ、仲良くしよーね~」

「でも、こいつっ!」

「先生喧嘩する人は嫌いだな~」

「俺ら仲良し!なっ!」

田口君が赤羽とジェイと湊に肩を組み、同意を求めた。

「ああ」

「おお」

「う~す」

二人は同意し、三人は仲良く肩を組んだ。

「喧嘩はしないでね」

「「「は―――い!」」」

純真無垢な少年がするそれのような素直な返答をした。

「先生、俺に泳ぎ方手取り足取り教えてくれませんか~?、1×1で」

「ざけんなチャラ男っ!」

「喧嘩?」

「まさか!、俺ら仲良し!」

田口君は湊と肩を組んだ。

「うっす」

「あのぉ、よかったら俺の48手、身体で―」

赤羽が何かヤバいことを口走っていた木戸Uの肩に手を回し口をふさいだ。

「どうかしたの?」

「いや、なんでもないです!」

「ムー!ムー!」

木戸Uが喋ろうとしているが、赤羽が喋らせない。

これ以上奴が口を開いたら何を言うか分からない。

「お前マジであと喋んな」と赤羽が小さい声で木戸Uにいい、腹パンした。

「ぐはぁっ」

「落ち着いたみたいです」

先生への質問タイムに入った。

「何か質問ある~?」

早速クラスの切り込み隊長、赤羽が名乗りをあげた。

「はいはーい!俺、質問先生彼氏いんの!?いやいますか!?」

「ん~、いないよ」

「「「よっしゃあああああ!!」」」

「うしっ!」

思わずガッツポーズが出た俺。

「年下って好きですか?」

「嫌いじゃないよ」

「「「しゃあああああ!!」」」

「うしうしっ!」

またガッツポーズが出てしまった俺だった。

年下が嫌いじゃないという事は詰まり俺達にも可能性があるという事だ、まあ、可能性が無くても俺達は諦めないが。

「先生好きな男のタイプってどんな感じですか?」

「スポーツができて、かっこいい人かな」

「俺じゃんかあ!」

「「「お前じゃねえ!」」」

ハハハハハハ!!

ジェイが何か寝言を言ったのをみんなは聞き逃さなかった。

「他にはありますか?」

「頭の回転が速くて、責任感のある人かな」

「俺じゃんっ!」

「「「お前じゃねえよ!」」」

ハハハハハハ!!

田口君が寝言をほざいたのを俺らはまた聞き逃さなかった。

「好きなスポーツ選手は誰ですか?」

「楽天の伊藤裕季也選手かな」

皆なつみ先生の好みに興味津津だ。実際俺も興味ある。

「伊藤裕季也選手っすかいいっすねえ」

「西川選手はどうですか~?」

「西川選手もかっこいいよね~!」

イケメンスポーツ選手が好きらしい。

「先生!、俺らの担任の飯島って人知ってますっ?」

田口君が話を振った。

「ん~、わからない」

「あの人変態なんであんまり近付かない方がいいですよ」

ギャハハハハハ!!

「そうなの?」

なつみ先生は一番近くにいた俺に顔を近づけて訊いてきた。

やっベ俺訊かれちゃったよ、近くで見ると顔めっちゃ可愛い。

やっべ何か返答しないと。

「え~と、まあ、はい、そうですね、変態です」

ハハハハハハ!!

ちなみに俺はあの先生の事ほとんど何も知らない。

ガヤガヤガヤガヤ

みんなが一斉に周りの奴らと話しだして騒がしくなった。

「ちょっと~、みんな、落ち着いて、授業中だよ~、静かにしようね~」

「「「「「は――――――い!」」」」」」

みんなは手を挙げて小学生のように素直な返事をした。

「俺にするのー!?何を?」

藤野はキョロキョロと左右に首を回した。

バカ、藤野静しずか、お前じゃない。

授業が楽しい。

とても楽しい。

こんなに授業が楽しいのは初めてだ。

天使すぎる先生最高!。

「じゃあ、今日の授業は終わります。起立!」

ガタガタッと一斉に背筋をピンとし起立した、ムスコが()ちあがっていて中腰の()っちゃん以外は。

「礼!」

「「「ありがとうございました!!」」」

誰も合図もしていないのにみんなが言った。

通常、礼の後は何も言わないのだが。

授業終了後。

休み時間。

「田口、嘘つきやがっておめえ、長男で兄弟他に妹一人しかいないから結果お前しか家継げねえだろ!」

「愛さえあれば俺はどこにでも行くぜっ!」

良い覚悟だ。まあなつみ先生に相手にされればの話だがな。

「それとジェイ、お前、本当のボランティアしたことねえだろ」

「ブスと付き合ったって本当かよ?」

「どうだったっけえ」

さっきあるって言ったろ、物忘れのレベルが政治家。

「あ、いや、あるなあ一回だけ」

「嘘だろ!」

「いや、本当だよお」

「でもお前童貞だろ、お前ともあろう奴がヤらずに別れたのかよ」

「顔が気持ち悪くて3時間で別れたんだよお」

「じゃあ、何で付き合ったんだよ~!?」

「罰ゲームだったんだよお!」

「最低だな!」

「ああ最低だった、つくづく思ったわあ、俺はボランティア活動には向いていないって」

説明しよう! 割愛

続けて言ったジェイ。

「やっぱりHなお姉さんとか良いよなあ」

「さっき好みは清楚でお淑やかな人って言ってなかったっけ?」

「あれには続きがあるんだ。清楚でお淑やかだけど実は二人きりになるとHになるお姉さん!」

「細けえなあ!」

「それよりあの先生かわいいよなあ」

「だからぁ!」

「あの先生かわいいけど貧乳だよねー」

「バッカ、そこがいいんじゃねえかぁ」

「俺貧乳は嫌いじゃねえ」

「さっきと言ってる事違うだろ!?」

「可愛ければ胸の大きさなんて関係ねえ」

俺は言った。「良い、言葉だな」

「至言だなあ」

「だろ!」

「俺、なつみ先生が夢に出てきたら夢精するわあ」

「最低だ!」

「出てきた瞬間イクな」

()っちゃん授業終わってすぐトイレ入ってったけど何だろう?」

何か我慢してたものを出すのかな?

「女教師と付き合うって憧れるよな、俺、ぜってえあの先生と付き合うわ!」

無理無理。

「いいや、俺が付き合うわあ」

お前はもっと無理。

「先生と付き合うのは俺だぜっ、お前らは引っこんでろ!」

「「なんだとゴラァ!!」」

赤羽とジェイと田口君でさっきの授業の時よりひどいに取っ組み合いになった。

こいつら冗談で言ってるのかと思いきやマジで言ってやがる…ッ!。

「一週間後にはなつみ先生は俺の横で眠っているわ~」

「うるせえバカ!」

()っちゃんはトイレから戻るなり自分の席に座り、ふぅ…と息をついた。

その顔はこの世の真理を悟った賢者のような顔つきだった。

「オイ次の授業始まるぞ、とりあえず席に着こうぜっ」

「次の授業何ー?」

「家庭科だな~」

「先生誰?」

「次の授業の先生も聞いた事無い先生だな~新任かな~」

「名前なんてーの?」

「西園寺百合華って書いてあんな~」

「ぜってえ可愛い人じゃねえかそれ!」

「絶対清楚で綺麗な人だよお」

「俺が名前から想像するには、仲間由紀恵みたいな人だなっ」

「いや、戸田恵理香じゃねえ?」

「早く来ないかなぁ~」

「百合華…百合って響き何かエロくね?」

「だからぁ!」

「それはお前がいやらしい事を想像してるからだろ!」

「可愛い先生希望っ」

「同じく~」

ガララララッ

教室のドアが開いた。

「来た!」

入ってきたのは年は40歳くらいだろうか、見た目は太って顔はヒドイ形容するならば『凄く酷く残念な』おばさんが入って来た。

「…………」

は?なんだこれ。

清掃員のおばさんか?

赤羽が声をかけた。

「あれ?今日この部屋清掃っすか?」

「はい?」

「この部屋清掃に来たんじゃないんすか?」

「いえ、私は教師です」

「あっ教室間違えてますよ、次の授業は西園寺って先生が来る予定だから先生教室間違えてるっすよ」

「いえ、私が西園寺です」

「……は?」

皆の顔が険しくなった。

「え?」

「ん?」

「は?」

「あ?」

「あ゛あ゛?」

「何だ?幻覚か?」

藤野が目をこする。

お前、キマってるのかよ!?

「はぁ?」

みんな、『ア?』みたいな顔をしている。

みんなの『これじゃない感』が半端ない

「誰だよコイツ」

「………寝よ」

皆寝た。

「え~、皆起きてください、授業を始めます」

「出オチはいいから本当の家庭科の先生出してっ」

「私が家庭科の先生です」

「いや、だからぁ!笑わせようしなくていいんだって、本物の西園寺百合華先生を出して」

「私が(本物の)家庭科の先生の西園寺百合華です!」

「嘘だ!うそうそー!」

「だって見た目権俵太子じゃんかあ!」

『名前負け』という言葉がここまで完璧に具現化されたものを初めて見た…

その姿を見たものの気分を不快にする強烈のフォルムをした残念な見た目。汚い。くさそう。という言葉が出てきそうな、感想。

さっきと先生と対極に立つ。

「…はあ~、嘘だろ…」

全員寝た。

「起きてください」

「ウィース」

俺らは渋々起きた。

本当に渋々。

起立、注目、礼。

皆また寝た。

「起きてください」

「チッ、うるせえな…」

「面倒クセーな」

みんながあからさまに態度が悪くなった。

俺も締めてたネクタイを緩めてワイシャツの第一ボタンを外し首を楽にした。

いい印象なんて与えなくていい相手だと、直感した。

「今日から家庭科を教えます西園寺百合華と言います、みなさんよろしくおねがいします」

「はあ?」

「うそだろっ」

何だ?これは?新手の嫌がらせか?。

「チッ」

「…ウィース」

「一年間もこの人!?やだな~」

「ざけんなよお、あ゛!?」

「悪夢だ」

赤羽は頭を抱えて慟哭した。

「この世界に…神はいないのか…ッ!」

さっき女神が舞い降りたばかりだろうが。

つーかさっき女神が舞い降りたって言ったのコイツじゃね?。

「あれは広瀬すずだー、あれは広瀬すずだー、あれは広瀬すずだー」

藤野は自己暗示と言う名の自分を騙す呪文を唱えた。

「藤野、無理があるぞ!」

がやがやがやがや

「みんな静かにしてください」

「「「は?」」」

「気安く俺の名前呼ぶんじゃねえよー」

「誰もお前を呼んでねえよ」

「皆の名前と顔を知りたいので自己紹介してください、じゃあ、一番前の左端から」

「先生ぇ、面倒なんで自己紹介なんてしなくていいでしょ」

「え?」

「俺らは人に自分の事知られたくねえタチなんでそういうの分かってもらえます?」

「個人情報なんで~」

一時間前と言っていること矛盾してるぞ。

「えっ、でも、しないと顔と名前が覚えられないですし」

「覚えられたくねえし」

「今度からフィッシャーマンマスク付けてこようかな~」

フィッシャーマン強盗とかが付けるマスクである、雑貨店で買える。

「はぁ~」

木戸Uは大きくため息をついた。

「はあ、ハイハイ、やりゃいいんだろやりゃあ」

赤羽は女性?を前に『赤羽クレイジーモード』に入っていない。

どうやら並みの女性でないとそのモードに入らないようだ。こんな下の下じゃではダメだったようだ。

「赤羽翼です、好きな女性(人物)は佐々木あきです」

「誰ですかそれは?」

「ブッ!!」

俺らは思わず吹いた。

どう説明するんだ?

「女神です」

※AV女優です。

「衛藤純ですです、趣味はAV鑑賞です」

「やっぱりそうじゃねえか!」

「それは18超えないとだめなんじゃないの?」

「変態は15歳から見てもいいという法律(条例)があります」

「そんな法律ねーよ!」

つーか変態の自覚あったんだ…。

「木戸裕也でぇす、彼女持ちなんでぇあしからず」

「ウザッ!」

こいつ…やっぱり嘘ついていやがった。

「お前やっぱ彼女いんじゃねーか!」

「例のブスの彼女?」

「殺すぞゴラァ!」

「先生、木戸君が先生に一目惚れしたそうなんで是非結婚を前提に真剣な交際をしたいそうです」

「したくねえよ!」

「えっ?///」

西園寺が顔をに手を当てて顔を赤らめた。 ウウェ。

「なに顔赤くしてんだダルマがぁコラ!」

こんなババアが高校生にときめく姿って…気持ち悪い。 それ以外の感想が見当たらない。

「田口広孝です、尊敬する人物は加藤鷹です」

「誰ですかそれは?」

「テクニシャンです」

「次、長谷川 アキラ君」

「長谷川 ア・キです」

俺の名前は長谷川 (あき)だゴラァ!名前間違えるなんて許せねえ!

俺は一気に目つきが悪くなった。

「ごめんなさい」

ごめんなさいで済んだら警察いらねーんだよクソダルマ。

「長谷川明です、好きな事は美人を見る事、嫌いな事は人に名前を間違われる事です」

結果的に俺は嫌みを言ってしまった、少し反省。

その後皆のやる気が無い自己紹介が進んだ。

「次、増田くん」

「ああ…」

この増田、全然緊張していない。

「ええっと…増田耕二です」

やる気長さ過ぎてのどが開いていないんだな声に声量がない。

「声が小さいですね」

「殺すぞ」

ギャハハハハハハ!!

とてつもなく低いドスが利いた声が聞こえた。

「何か今言いましたか?」

「えっいや、挨拶を」

先生に初めてする挨拶が『殺すぞ』って…マジで喧嘩売ってんな。

「あ~湊です。」

「………」

「他に言う事無いんですか」

「ないっす~」

「終わりですか?」

「うっす~」

「先生に質問ある方は」

「…………」

「ないんですか?」

「ねえよ」

「あるわけねーだろ」

「え~無いようなので授業に入りたいと思います」

今日の夕ご飯何かな?俺はこの人より今日の夕飯を考える方が大切だと思った。

誰も質問はなかった。

「じゃあ、私の紹介をします」

「ええ~」

「しなくていいっつうの別に」

「みんなに私の事を知って欲しいんです」

誰も知りたくはねえよ。

「私は独身です」

「だろうな」

「そんなこと知りたくもねぇよ」

「誰も訊いてねえしい」

「ちなみに私が好きな芸能人は江口洋介です」

「誰も訊いてねえよ!そんなもん!」

誰もあんたの好みになんか興味ねえよ…。

ここで田口君が助言をした。

「先生、うちのクラスの担任で飯島って独身のナイスガイがいるんで話しかけたらいいと思いますよ、先生みたいな人がタイプだと思いますっ」

ギャハハハハハハハ!!

「そうですか、じゃあ授業が終わったら話をかけてみます」

クククククク

俺らはニヤリと笑った。

授業中

楽しくない…。

本当に楽しくない。

授業がこんなに楽しくない…こんなの初めてだ。

何を言ってんのか分からない授業より面白くない。

俺らの目つきの悪さは今までで最低レベルだ。

みんないつになく目が死んでいる。眼のハイライトが消えているというか。

誰も今の教師に興味を持たないし先生が可愛くないから授業がつまらない。

皆のヤル気は限り無くゼロだ。

早くこの授業終わってほしい。

みんな先生によって態度をあからさまに変える…俺達は人間だな。

可愛い先生とひでえババア落差ありすぎだろコレ。

天国と地獄って本当にあるんだな。

「うっ」

後ろから声が聞こえたかと思って後ろを振り向けば藤野がゴンと言う音とともに体の力が抜け、机に頭をぶつけた。

「大丈夫か藤野」

「ん…」

藤野が頭を上げた。机に額をぶつけた衝撃で赤くなっている。

「あれ、広瀬すずはー…?」

「いないよこんなところに!」

「広瀬アリスはー?」

「姉ちゃんの方もいないよ!」

余りのショックで現実逃避するものも出た。

そんなこんなで授業が終わるところだ。

「起立」

「チッ」

「はぁ~」

起立って言っただけなのに舌打ちにため息、本当酷いな、ため息ついた俺も含めて。

「注目、礼」

礼をしたがみんな3°くらいしか頭が傾いていない。

授業終了後。休み時間。

「こんなに授業が長く感じたのは初めてだ…」

「だからぁ!」

「俺もそう思ったぜっ!」

「あれ、俺は広瀬すずと一緒にいたはずなのにーなんだここは…?」

まだ現実逃避から抜け出さないでいる藤野。

()っちゃんさっきから股間弄ってるんだけど反応しないらしい~」

強いストレスでインポになってしまった男。

「先生の落差ありすぎだろうがこれ」

「何ー?この袈裟切りフォーク」

「田口なんであいつに『僕は婿養子でも大丈夫です』って言わねえんだよ!」

「いや、だって俺長男だから婿養子は無理だぜっ」

「おめえさっきと言ってる事矛盾してるぞ!」

「赤羽こそ、お前、なつみ先生の時みたいにアレ言えよ」

「できるかあんなこと、アレをあの先生が本気にしたら地獄だぞ」

「つうかジェイ、やっぱり趣味はAV鑑賞かよ、なにがボランティア活動だよ」

「俺、あの先生夢に出てきたら自殺するかもしんねえ」

「つーか湊!お前何で求婚しないんだよぉ?」

「えっ?それを教師にやるって人として終わってね~?」

「それお前の事だよぉ!」

「裕也がお前と別れたって嘘ついたってお前の彼女にLINEしといたから」

「翼ぁぁぁぁ!!」

「あの彼女に対して硬派な木戸Uですらあんなことになるなんてやっぱり可愛い子の魔力ってすごいな」

「ただクズなだけだよー」

「それをオブラートに包んで言ったのに!」

その頃

職員室

担任となつみ先生が話していた。

「飯島先生ですか」

「えっは―」

飯島Tは驚いた、誰もが見たら惚れる顔をした可愛いとしか形容しがたいピュアな女の子、国友なつみを、新採用の教師の紹介のとき顔を見たが遠くで見えなかったから近くで見て驚いた。

「えっと、あの、国友先生でしたっけ」

「はい、そうです、あの、1組の子たちの事なんですけど」

「あいつらが何か先生にまさか変な事でもしましたか!?」

「いえ、あのクラスいいですよね、みんな元気で素直で楽しいクラスですね」

「えっ?そうですか、あいつらが素直…ですか?」

「ええ、皆いいコたちでしたよ」

「はあ、そうですか」

「じゃあ、私、次の授業あるんで」

「えっ」

と、言って、そそくさと離れ逃げるように去って行った。

飯島Tが一歩近づこうとしたら国友先生が一歩後ずさるカンジの距離感。

飯島は思った、あれっ?俺なんかしたかな?、彼女の気に障るようなことしでかしたか。そんな変なことしたつもりは一切ないのだが。チャック開いてたかな、いや開いていない、何だろう…?。

なつみ先生は次の授業のために教室に向かった。

「あいつらが素直…ねえ…」

俺は2年の授業が始まって数日、授業やホームルームを経験したがあいつらに素直の『素』の字もない奴らだぞ、俺に対してタメ口だし、それががなぜ?、まあそれにしても国友先生可愛いな…。

イジまてゃ後ろから話をかけられた。

「飯島先生」

「はい?」と授業終わりの西園寺先生に話しかけられた。

「飯島先生独身ですよね、私も独身です」

「はぁ…?」

飯島は思った、何言ってんだコイツ、それがどうした!?と。

「あの1組のクラスなんか元気ないですね皆、なんかやる気が無いと言うか覇気がないというか」

「そうですか?」

さっきの話と違うな。

「授業始まるにもかかわらずみんな寝たり、自己紹介を面倒くさいからしなくていいでしょうとか言ってましたしね、私に対しても反抗的でしたしね」

「はあ、そうですか、すいません、あいつらによく言い聞かせときますんで」

「お願いしますよ」

「はい」

「あと、今度よかったら食事に行きませんか」

「はあ!?」

「どうですか?」

「えっ、あっ、うぇ、…考えときます」

考えるでもねーよ、行かねーよ、何言ってんだこのババア?、何だコイツ…ひでえな…俺、コイツに何か気に入られるようなことしたか?めんどくせーなぁ…。というか俺の授業やホームルームの時でもそこまでは酷くなかったぞ、どうなってんだ?

帰りのホームルーム

飯島Tが来ないからまだガヤガヤ話をしている。

「赤羽何であの先生に同じ事言わねーんだよ」

「お前ふざけんなよ、想像してみ?あの先生が俺言ったことを本気にした画を」

 ~

「『僕には好きな女の人がいます、それは君さ、マイハニー!』」

「えっ?ポッ/////」

男達が想像している。

最終的に ―――――「『アーッ!』」

 ~

「…………」

ガクガクブルブルガクガクブルブル

皆が一斉に震えだした。

ブサイクなババアがそれを本気にして惚れられて...その悪夢のような地獄絵図を想像して。

「…地獄だろうが」

「……ごめんっ…」

「やっぱりなつみ先生と付き合いてえなあ」

「おめえには無理だ、俺に任せろって」

「先生と付き合うのは俺だぜっ、勘違いすんな」

「「何だとゴラァ!!」」

赤羽とジェイがハモった。

とそんな話をしていると担任の飯島Tが教室に入って来た。

「お前ら、話すんなー、こっちに注目!」と担任の飯島Tが教卓に出席簿をバサッと置き、言った。

「お前らに訊きたいことあんだけど」

「なんすか?」

「お前、国友先生に俺について何か言った?」

「別に…」

沢尻エリカみたいな返答をしてしまった。

「じゃあ何で俺ちょっと避けられたのかな~」

ベツニセンセイニツイテダレモヘンタイダナンテイッテナイヨ。

「それと西園寺先生に俺について何か言った?」

「誰も独身のナイスガイと言ってないよなっ!」

「そうそう!、西園寺先生みたいな人がタイプなんて誰も言ってねえし!」

「てめえらそう言ったのかぁぁぁぁぁ!!」

「え?いやぁ…」

「何の事かさっぱりっ…」

「まあ、それは置いとくとして、国友先生が来た時どう思った?」

「最高だった」「女神が降臨したかと思いましたよ」「ヒャッホイってカンジでした」「俺の益荒男を抑えられなくなった」「俺のムスコも喜んでました」

「誰だ今最後に言った奴!?」

最後のは多分、()っちゃんだろう。

「そのあと西園寺先生が来てどう思った?」

「絶望しましたあ」

「地獄って、この世にもあるんだなって思いましたっ」

「俺のムスコが壊れてしまった」

さっき勃っちゃんが黒板消しに股間が反応したって言ってたな、完全に壊れている。

「やっぱりな、お前ら先生によって態度を変えるのやめろよな」

「何で知ってんすか?、見てたんすか?」

「俺、注意されたんだけど西園寺先生に」

「チッ、あのベトベターめっ」

「べトベターとか的確すぎんだろ」

「だってアレは無いでしょうが」

「いや、それは分かるけどさ、お前らの場合態度のそれの落差が激しすぎるんだよ」

「高低差ありすぎて耳がキーンとしますわぁ」

「まあな」

分かる分かるみたいな態度だ。それは分かるんだ。

「ちゃんとしろよ、もうすぐ大人になるんだからさ」

「えっ、それ、俺がなつみ先生に筆おろしをするって意味の大人ですか~?」

「ちがう!」

続けて飯島Tは

「それと、なつみ先生と付き合うのはこの俺だ、邪魔すんな」

「先生も狙ってるのかよ!」

さっきの話聞いてたのかよ。

「なつみ先生にセクハラしたらぶっ飛ばすからな」

その頃職員室

国友先生が同期の女性先生と話をしていた。

「飯島先生ってどう思う?」

「悪い人じゃないとは思うけど…」

「あの人と付き合える?」

「ちょっと苦手なタイプかな、あの人変態だって聞くし…」

 ~

教室

「西園寺先生にはいいけど、なつみ先生にはセクハラすんなよ」

「するわけねーだろ!」

何もしていないのに変態扱いされて見えない所で大きく株を落とされた飯島Tであった。

















これをさかのぼること1年前から物語は始まる。

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