アンチトラック転生スキル
世は一大転生時代。
国民はこぞってトラックに撥ねられ、異世界に転生してチーレムを謳歌していた。
もはや作業ゲーと化した魔王討伐。
事態を憂いたとある魔王は、チート転生野郎を返り討ちにするスキルを密かに開発したのだった。
「グハハハハハ、来たか勇者よ。いや、異世界からの転生者よ!!」
「魔王!! お前を倒して俺はハーレムを手に入れる!!」
「クックック、愚かな奴め。儂はお前の弱点を知っておるぞ」
「どういう事だ!? 俺のチートに弱点などない!!」
「貴様もトラックに撥ねられて転生したクチだろ?
普通、トラックに撥ねられるとどうなると思う?」
「転生するんだろ?」
「馬鹿かお前は!! それはファンタージの話だ!!」
「ファンタジー……、魔王がファンタジー……?」
「普通はトラックに撥ねられると119番通報される」
「119番通報……」
「そして救急車に載せられ、病院に運ばれる」
「救急車に載せられる……」
「適切な治療の結果、死ななければ転生できんだろ?」
「ハッ!! まさか……!?」
「そう!! 儂の『アンチトラック転生スキル』とは!! 救急車だーー!!」
「ぐわーーー!!」
魔王のスキルにより突然現れた救急車が、勇者を吹き飛ばし跡形もなく消し去る。
そして魔王領に秩序が戻った。
=== Fin ===
「戻って来たぞ魔王!! これが俺の『アンチトラック転生スキルアンチスキル』だ!!」
「な、何ッ!? 救急車に救急車をぶつけで再び事故を起こすだとッ!?」
つづかない(?)