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淡い希望の物語  作者: unknown
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2話 初戦



 「ん……!、はぁ……はぁ……。」

 俺は起きると、息を切らしていた……。

 どうやらまだあの時のことが頭から離れていないようだ。


 「気分を切り替えないと。」

 今日は先遣隊に入る日だ、こんなものでは何もできない。

 いち早く気分を切り替えることにした。


 「ディオス、お前は確か先遣隊だったよな。」

 一人の騎士が話しかけてくる。


 「あ、はい……そうです。」


 「なら先遣隊はあっちに集まってる、お前も行ったほうがいい。」


 「わかりました、ありがとうございます。」

 俺は、騎士が指さしたテントに向かった。


 「失礼します。」

 そうテントに入ると……。


 「よく来たな、さてこれで全員だな。」

 「作戦を説明する。」

 そう言って中心の騎士が説明をはじめた。


 「さて、この先遣隊の隊長を任された神撃騎士団副団長アルフォンスだよろしく頼む。」

 神撃騎士団・副団長:アルフォンス、騎士団の中で騎士団長に次ぐ実力者。

 彼自身魔法も扱える魔法騎士であり、王国でも強い部類に入るとされている。


 テントを見渡すとほかに数十人程、どれらも実力者だろう。


 「この先遣隊で面識ない者がいるかもしれないが、それら各自で頼みたい。」

 「さて、本題に戻ろう。」

 副団長の顔が真剣になる。


 「この先遣隊は偵察部隊の役目を任されている、この隊は選抜された精鋭で組まれている。」

 「先遣隊は少数のため、敵襲の可能性がありそれを対処するためでもある。」


 「隊長、それだけなら全員精鋭で組む必要はないんじゃないですか?」

 短髪の若そうな騎士が口を開き、そんなことを言う。


 「確かに一理あるかもしれない、だが今回の敵は統率のとれた魔物部隊だ。」

 「もちろん敵は武器を使う、そしていつ襲われるかもわからない。先遣隊は作戦を立てる上で大事な部隊だ……それを無にしないための精鋭だ。」

 「ふん、どうだ?納得したか?」


 「あ、は、はい。」

 若そうな騎士はほんの少し戸惑いながらも納得した返事をした。


 「作戦概要を説明する、我ら先遣隊の目的は砦の調査そして可能ならば無力だが……これは難しいだろう。」

 「まず、砦を見つけ戦力を確認したら団長に合図をし騎士団本部隊が出撃する、そのあと部隊合流し戦闘することになるだろう。」

 隊長はスラスラと作戦概要を言っていく。


 周りの騎士も納得したようで頷く。


「さて、最後に……今から行う戦いはこの戦争の一部の戦いでしかない。」

「しかし、この戦いの勝利が今後の戦争を勢いづける……それを忘れてはいけないすべては人類史を残すため、そして祖国のため、戦うのだ。」

 アルフォンスは決意に満ちた表情でそう語る、この戦いは負けてはいけない。

 騎士団の面目のためにも、そして戦争に勝つためにも。


 話を聞いていた騎士は拍手する、これから始まる戦いに決意を表すように。


 「……さて、三十分後出撃する。」

 「それまで、戦いに備えてくれ。」


 「はっ!」

 皆アルフォンスの言うことに従う。


 騎士たちはそれぞれ剣の手入れや戦いに備えるためテントから離れていく。


 「なぁ!」

 元気よく、短髪の若そうな騎士が話しかけてくる。


 「はい?どうしたんですか?」

 俺は疑問げにこたえる。


 「いや、なんだ……見た感じ歳近そうだからな。」

 「同じ先遣隊として会話したかっただけだ。」

 この騎士は笑顔で答える。


 「そうですか、俺はディオスです。」

 

 「ディオスか、なら俺も答えないとな。」

 「俺は、カインだ……よろしくな」

 

 「はい、よろしくお願います。」


 「……俺にはタメでいいぜ?、そんなかしこまるの嫌なんでな。」


 「あぁ、わかった。」

 

 このカインという騎士と出撃するまで話すことにした。


 「ディオス、この戦争は終わると思うか?」

 カインが不思議な質問を投げかけてくる。

 

 「終わる……?、魔王を倒せば……終わるんじゃ。」

 質問の意図が俺にはわからず少し戸惑いながら答える。


 「確かに、魔王を倒せば落ち着きはする。」

 「だが、それが本当の終わりなのか……そう思うんだ。」


 「…………。」

 言いたいことはわかる、だが誰もが魔王を倒して終わり、そう思っている……。

 魔王を倒して終わってほしいと……皆そう思っている。


 「……いや、すまないな。」

 「少しよくわからない質問してしまった。」


 「いや、そんなことは……。」


 「さっきのはなかったことにしてくれ。」

 「さて、そろそろ時間だ?行こうぜ。」

 

 「そうだね。」

 カインと共に集合場所に向かう。

 歩いてる途中にカインが話しかけてきた。


 「砦を守る魔物はほとんどが知能を持っている。」

 「気を抜くなよ。」

 

 「わかってますよ、そんなこと。」


 「あぁ、ならよかった。」

 少しカインの顔が曇ったように見えたが、気のせいだったようだ。



 「……時間通りだな、準備はできたか?」

 「進むぞ。」

 アルフォンスの掛け声と共に先遣隊全員が真剣な顔つきで動き出す。


 先遣隊は砦へと行くために、森の中を進んでいく。


 森は木が生い茂り、結構周りは見えにくい。

 

 森を進んで少しした頃……。


 「!、止まれ!」

 アルフォンスは何かを見つけたようで、指示を出す。

 

 よく凝視してみる、そこには弓を持ったゴブリンらしきものが数体いる。


 「敵はそんな多くない、弓矢を持っているやつはいるか?」


 「はい、私が。」

 

 「俺もやります。」

 

 二人の騎士が弓を構え、静かに敵を葬る。


 二人の弓の腕は素晴らしく、感づかれる前に見張りであっただろうゴブリンの急所を狙い綺麗に倒していた。


 先遣隊は見張りらしき敵を倒し、先に進む。


 その後もしばらく進むと廃墟ような場所が見えてくる。


 「あそこは……」

 

 「この町だった場所は魔物により滅んだ場所だ。」

 「砦はこの町の奥にある、周囲を警戒して進むぞ。」

 アルフォンスはどこか憎しみがある眼差しでそういった。


 廃墟の中は思ったより滅茶苦茶になっていた、建物は崩壊し所々の地面はえぐれていた。

 ここではかなりの激戦があったのだろう。

 

 そして……それ以外に魔物群れがウロチョロしていた。


 「総員戦闘準備。」

 アルフォンスの掛け声と共に戦闘態勢に入る。


 魔物が襲い掛かってくる、それを弓矢を持つ騎士二人が簡単に倒していく。


 ほかの騎士も出てくる魔物を倒していく。


 「ディオス、後ろだ!」

 

 「!」

 俺の後ろには斧を振り下ろすリザードマンがいた。

 それを俺は剣でどうにか受け止める。


 「はっ!」

 カインがリザードマンを斬り付け倒す。


 「すまない、助かった。」


 「あぁ、気をつけろよ。」


 小規模な敵襲とはいえ、かなり混戦となっている。


 「全員下がれ!」

 アルフォンスの言葉により全員が魔物から離れる。

 俺もそれに従い、副団長の後ろに下がる。


 「灼熱の烈火(インフェルノ・エグゼ)

 その掛け声とともに魔物の群れ一体に火柱が打ちあがり、魔物を燃やし尽くす。


 その強力な魔法で俺たちは少し唖然としていた……。


 アルフォンスの魔法で魔物たちはすでに全滅していた。


 「はぁ……はぁ……。」

 アルフォンスは今の魔法でかなり力を使ったように見える。


 「隊長、大丈夫ですか!」

 カインがアルフォンスに駆け寄り肩を組む。


 「あぁ……大丈夫だ……先に進むぞ。」

 少しふらつきながら進み、俺たちもそれについていく。


 進むと、ここの廃墟は始めのほうに比べて崩壊していた。

 そしてすぐ、砦らしきものが見え始める。


 「あそこが、砦だ……。」

 そこは丈夫な壁に囲まれていた、その周辺はさっきよりも強いであろう魔物が徘徊している。

 

 「……団長に合図する……。」

 アルフォンスは団長に合図するため魔法を発動させる。

 騎士たちは周囲を警戒し、来るものはいないか見渡す。

 

 「よし、団長に合図をした騎士団がもうすぐ来るはずだ。」

 アルフォンスの身体がほんの少し輝き、連絡魔法を終了する。


 「隊長、魔物動きが妙です。」

 一人の騎士がおかしなことを言い始める。


 魔物を少し見てみると、妙に慌ただしくなっている。

 先ほどの様子とは全く違う。


 「さっきの魔物を倒したのがバレたのか?」


 「いや、これは何か違う……。」


 「魔物が門の前に集まってるぞ。」

 一人の騎士が言う通り砦の門の前に一部の魔物を除いてだいぶ集まっていた。


 「まさか、騎士団の出撃がこんなに早く感知されたのか。」

 

 副団長の言う通り、この状況は先遣隊が気づかれたのではなく。

 騎士団の出撃が気づかれたのであれば、少しは納得いく。

 

 「隊長!、門が開きます!」


 砦の門が開き始める。


 「!、あれは!」

 アルフォンスは驚き、そのほかの騎士も驚き始める。


 「よく噂のようなものは聞いていたが、この威圧感は……やばい。」

 カインはそれが現れるとかなり驚いていた……。


 

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