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ネヴァースフィア  作者: 天城なぎさ
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4/17

#004

 一先ずの買い物は済ませ、賑やかな市場を一通り見て回ろう。


「さてと。回復薬だな」


 残金は500ゼニー。レベル1だとしても、回復薬は必須アイテムだ。

 道々、回復アイテムを手に入れるとしても、多少は必要になる。買うか迷うな。


「離して! イヤだ! 離してよ!」

「俺たちのパーティには、回復術師(ヒーラー)が必要なんだよ」

「そうだぜ、ネェちゃんのような、可愛い回復術師(ヒーラー)を探してたんだよ。こっちに来いよ」

「ちょっと、触らないで!」


 近くで女の子の悲鳴が聞こえる。これは、警視庁生活安全課として、何もしないわけにはいかない。


「見つけた」


 店と店の間の薄暗い路地。そこには、ハーフエルフと思われる女の子ひとりと、二人組の巨漢。見たところ、盗人(シーフ)か。


「嫌がってるだろ。手ぇ離せ」

「あぁん? 誰だテメェ」

「通りすがりの魔法使い(ウィザード)だ」

「痛い目に遭いたくなきゃ、とっとと失せな!」

「おいおい。レベル1だってよ。俺たちはレベル5だ。勝ち目はねぇぞ」

「レベルなんて、関係ないね」

「くたばれ!」


 殴りかかってきた盗人(シーフ)A。そんな無造作に殴って来たって、寧ろこっちのモノだろ。

 腕を掴み、引き寄せてから回り込んで、一気に投げる。


 ドーン! と響く衝撃音。近くを歩いていた通行人たちは、何事かとこちらを見ている。


「グァァァッ!」

「アニキ! アニキ! 大丈夫か!?」

「グゥゥゥ……」


 さてと、あとひとり。どうしてくれようか。ボコれるだけ、ボコることも出来る。


「おい、盗人(シーフ)B。かかって来いよ」

「ヒッ! い、お、覚えてろぉ! アニキ、立てるか!?」


 勝てないと分かった瞬間、逃げていく盗人(シーフ)二人組。もう少し遊んでやっても、良かったかもな。

 それより、女の子の安否を確認しなければならない。


「大丈夫だった?」

「助けて下さり、ありがとうございます! って、KOH(コウ)!?」

「え? あ、サーラ!? まだこの街にいたのか!?」

「冒険に出る前に、着替えようと思って。それで……」

「だからって、ホットパンツにパーカーはダメ!」

「ごめんなさい」

「取り敢えず、このローブ着てて」


 全く。こういう類は、現実世界でも異世界でも一緒かよ。


「サーラ。ちょっと良い?」

「何? KOH(コウ)のローブ、大きいね」

「パーティ探してるなら、俺と行く?」

「え? 良いの?」

「レベル1だし、回復術師(ヒーラー)がいれば、回復アイテムを買わなくても済む。それに」

「それに?」

「キミをひとりにしておくのは、危ないらしい。だから、俺がキミを守る」


 警察官として、守らなければならない時が、異世界でもやってくるとは。仕方ないけど、サーラをひとりにしていたら、また襲われるかもしれない。


「じゃ、じゃあ、改めて自己紹介。私はサーラ。ハーフエルフの回復術師(ヒーラー)

「俺はKOH(コウ)。ヒューマンで魔法使い(ウィザード)。よろしく、サーラ」


 ひとりで冒険する予定だったけど、誰かと冒険するのも悪くないか。


「冒険に出る前に、先ずは服を買いに行こう」

KOH(コウ)も着替えるの? そのままでも良さそうだけど」

「キミのローブを買う。そのままだと、また襲われかねない」

「ええと、もうお金無いよ」

「買ってあげるから。ブティックは何処?」

「ありがとう。ブティックなら、こっちだよ」

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