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ネヴァースフィア  作者: 天城なぎさ
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3/17

#003

 市場は賑わっている。見たことあるような果物や、何だこれ? と言いたくなるような物までが、売られているようだ。


「先ずはバッグと杖か。武器が手に入るのは、何処だ?」


 歩き回ること体感で10分。あらゆる売り場を見て回った俺は、遂に魔法道具の店を見つけた。


「いらっしゃいませ。何をご所望で?」


 何かの映画で見たような、燕尾服を着た長い白髪のおじいさんが、この店の店主らしい。

 待てよ。俺たちはプレイヤーだ。こういったお店の店主は、NPCなんじゃ? 会話の成立は、難しいんじゃないか?


「アイテムを入れるバッグと、魔法使い(ウィザード)用の杖を。この店には、ありますか?」


 すると店主は、店の壁に掛けられている、多くのバッグの中から、ベルトバッグのような小さなバッグを出してきた。

 おいおい。マジかよ。こんな小さいバッグじゃあ、入れたいアイテムなんて、入らないじゃないか。


「バッグでしたら、これは如何ですかな。見た目の割に、たくさんアイテムが入ります。バッファロンの丈夫な革を使っているので、どんな攻撃や衝撃を受けたとしても、破けることはありません」

「バッファロン? それ、何んですか?」

「二本角の、暴れ牛モンスターですよ。群れを成し、セーロン川の中流域に暮らしています」


 バッファローみたいなモンスターなんかな。いつか観てみたい。


「アイテムは、どんな物でも入る?」

「ええ。このバッグよりも大きい、魔鉱石ですら入りますよ。ご覧になりますか?」


 まさかの実演!? そもそも魔鉱石なんて、リアルで見たこと無いから、大きさがわからない。


「こちらが、魔鉱石になります」


 ガラスで出来ているように透明な、アメジストの原石のような結晶体を、何処から出してきたのか。手のひらサイズになっているこの結晶体を、ベルトバッグに入れてくれるらしい。


「よろしいですか? いきますよ」


 バッグのフラップを開けると、結晶体はバッグに吸い込まれるように、中へ入ってしまった。

 驚きのあまり、言葉が見つからない。


「え? 吸い込まれた?」

「この世界では、当たり前の事です。そのうち慣れますよ」

「へぇ。じゃあ、それをください」

「ありがとうございます。他は魔法使い(ウィザード)の杖でしたね。店の奥にあります。どうぞ、こちらへ」



 店の奥へと案内された俺は、目の前の光景に、圧倒されてしまった。店の奥は、細長い箱が天井まで積まれ、床も見えない程。


「貴方に合う杖を見つけましょう」


 そう言うと店主は、近くにあった箱から、杖を1本取り出した。

 手渡された俺は、杖の握り心地を確かめる。


「こちらの杖は、50年もののリンゴの木から作られた杖です。しなやかさが特徴ですよ」

「これは、握りやすい。太さも丁度良いです」

「杖を振ってごらんなさい。貴方に合っているなら、杖は貴方の言うことをきくのです」


 徐に杖を振ってみると、ガタガタと音を発てて、積んであった箱の山を崩してしまった。これは、俺には合っていないらしい。


「ごごご、ごめんなさいっ!」

「これまた、派手に崩れましたな。それでは、こちらは如何でしょう」


 次に渡されたのは、黒くてツルツルした手触りの杖。

 太さはさっきのと変わらないようだ。


「クチナシの木に、黒鳥獣(こくちょうじゅう)の尾羽を使用した杖です。硬く艶やかな杖なのです」

「クチナシ? あの、黄色い実の?」

「そうです。こちらの杖は、少々クセのある杖なのですが、どうでしょう」


 同じように振ってみると、なんと言うか、杖から俺に、歩み寄ってくれている。気持ちの良い風が吹いてきて、どんな魔法でも使えそうな、そんな感覚。


「これは……?」

「何人もの魔法使い(ウィザード)に杖を売りましたが、この杖が選んだのは、貴方だけです。杖は選んだ者を主とし、幾多の困難を乗り越えるという」


 杖が俺を選んだ。この先、どんなクエストがあるのか、進んでみなければ、何も分からない。

 しかし、今の俺は、この杖となら何処へでも行ける!


「この杖、買います。いくらですか?」

「1000ゼニーです。バッグと合わせて、1500ゼニーです」

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