手首を手折る
手首を手折るその希望、活けてその水がめに、大輪の花を咲かせて、夜空へ大きく手を開け。羽ばたく牢の羽は自由を求め飛び去った。その血を吸って背を伸ばしたそれは、勿論より高い所へ、高い所へ望むのだ。
高きへ、貴きへ、昂い所へ落っこちろ。轟轟と燃える太陽輝く夜空へ落下せよ。箱の中に猫なんてもういない、爬虫類は焼滅せよ。眼が焼けようとも関係が無い。見えているのだろう、松果体は開いているのだ。もう間違いなんて無い。
手首を手折るその希望、生けてその土の中、体輪の端を表して、真っ暗へ大きく手を開け。労で固めたそのものは自由を求め飛び去った。その値を吸って背を伸ばしたそれは、勿論より高い所へ、高い所へ望むのだ。
高所へ、光所へ、後悔なく落っこちろ。何もない、暗いそれは間違いなく太陽だ。船の時間は止まり、泥人形はもはや生じない。燃えて、燃えて、燃え尽きて。見えているのだろう、火葬場は開いているのだ。もう間違いなんて無い。
自制せよ、自制せよ、空虚にすくいなど無いのだ。
律せよ、律せよ、空虚を埋めるものなどないのだ。
光を失った外殻は、確かに太陽であった。燃え尽きたとして、白色矮星で会ったことに違いない。どこまで密度を上げたとしても、埋まる物なんて無いというのは解る筈。量子的に、輪の形をしているようなものなのだ。
だから、自制せよ、律せよ。少しは生け花でもして落ち着かせたらどうだろう。ほら、その手首を手折って、貴方の血で潤しなさい。