表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/66

閑話 その頃王女は


 豪華な馬車と、それを護衛する、数十人騎士兵士の一団が。王都を目指していた。そしてそれには、王女クシャーナと側近のリサーナの姿があった。


「姫様、もうすぐ王都に着きますよ」


「・・あぁ、そうだな」


「心ここに在らずですね」


「・・あぁ、そうだな」


「姫様は、ルド殿が大好きなのですね」


「・・あぁ、そう・・・・リサーナ!」


「ふふふ、引っかかりましたね姫様」


「お前はいつもいつも! 妾を揶揄って、そんなに楽しいか?」


「はい、楽しいです。殿下を揶揄うのは、私の数少ない楽しみです」


「趣味が悪いにも程があるぞ、リサーナ」


 妾の護衛であり側近のリサーナ。十歳の頃から一緒だが、何と言うか・・・・妾に遠慮が無い。妾、王女なのに! しかし、嫌いと言う訳では無い。それどころか、親友と思っている。意地悪だがな。


「姫様、王都が見えました」


「うむ、久しぶりの王都だな。リサーナ、城に着いたら、直ぐ父上に・・陛下に謁見する。連絡して置いてくれ」


「はっ、分かりました。誰か!」


「お呼びでしょうか?」


 馬車の小窓を開け、リサーナが人を呼ぶと、馬に乗った騎士が応える。


「姫様が城に到着次第、陛下に謁見をしたいとの事です。先ぶれとして向かい、謁見の取り継ぎを」


「はっ!」


 

「リサーナ・・・・」


「何でしょうか姫様?」


「ルド殿は、今どうしていると思う?」


「分かりません。ですがきっと、ルド殿なら何かの手掛かりを掴んでいるかと」


「・・・・うむ、そうだな。ルド殿ならきっと」


 私は、馬車の窓から見える空を見つめた。すると、それを見ていたリサーナが、笑いかけてきた。


「うふふふ」


「何だリサーナ?!」


「いえ、ルド殿を思い、空を見つめる姫様の姿が、恋する乙女で可愛らしいと思っただけです」


「りひゃーーーにゃ!!」


 ほんと、顔を真っ赤にされて、お可愛らしい事。うふふふ、これだから、姫様を揶揄うのはやめられないのです。




 *****



 王城謁見の間。



「クシャーナ、どうであった?」


 久しぶりの娘との対面。王と王女としての、謁見の間にての顔合わせのため、椅子に座り偉ぶってらいはいるが。内心では直ぐさま側に行き、帰りを喜びたい。けど我慢じゃ。大臣や、妻に叱られるからの。


「はい陛下。メルキオス迷宮についてはコチラを」


 メルキオス迷宮で起きた、今回の事件についてをまとめた書類を取り出す。それを一旦、文官に渡し、文官はそれを陛下の元へ運んだ。


「ふむふむ。何と!」


「陛下、どうしました!」


「クシャーナ、これは本当か?」


「はい。ルド殿以下、紅き三ツ星も確認しております」


「陛下、一体?」


「大臣も目を通して見よ」


 大臣は書類を手に取り、それに目を通していく。持っていた手がプルプルと震えだす。


「陛下! これは・・・・」


「うむ、何者かの陰謀の可能性がある」


「・・・・ですが、たまたまと言う可能性も」


「ない事もないでしょうが・・・・迷宮内にいたタルボロは明らかにおかしく、自然にとは考えられないでしょう」


 リサーナの説明より。ほぼ確実に、何か陰謀によって起きたと言わざるえないと、わしは確信した。


「一体何者の仕業か・・・・まさか隣国が? いや、それは無いか」


「陛下。他の迷宮にも、調査及び、警戒を通達しましょう」


「そうだな、大臣。じゃが、それだけではダメだ。他の国、迷宮がある国全てに警戒を呼びかけよ。我が国だけが狙われたとは限らぬ」


「はっ、直ちに取り掛かります。後ほど、他国への外交文書を作成して、お持ちいたします」


「うむ。所でクシャーナよ、ルド殿と一緒に帰って来たのでは無いのか?」


「はい。ルド殿は調査したいとの事で、迷宮に居た魔物の生息地、アウダマの森へ向かいました」


「うむ、そうか。ルド殿なら何か掴むであろう。それでだな・・・・クシャーナ・・・・えーと」


「何でしょうか陛下?」


「ゴホン! ルド殿との仲は進展したのか?」


「にゃ、にゃにを言ってるのでしゅかーー!!」


「陛下、どうやら」


「うむ、どうやら・・・」


 わしはボソボソと、大臣と話す。クシャーナの反応は、意外な程取り乱していたからだ。


「へ・い・か!」


「な、なんじゃ、ルシャペリーネか」


「なんじゃとは何ですか? 妻に向かって!」


「いや、そのう」


「クシャーナ、お帰りなさい」


「ただいま帰りました。母上」


 突然、美女が現れ、陛下達を諌めた。彼女は現国王の妻、ルシャペリーネであった。顔だちは、クシャーナに良く似ていて、胸のボリュームもそっくりだった。


「クシャーナ、お疲れ様です。どうでしたか、かの冒険者との旅は?」


「はい母上・・・・とても素晴らしい体験が出来ました。後でお話し致します」


「はい、楽しみしておきます」


「ならわしも・・・・」


「貴方は仕事終えてからね」


「・・・・はい」


 

 *****


 王女クシャーナの部屋。


「はあー、ルド殿・・・・」


 バルコニーで妾は、黄昏ていた。白の部屋着に着替え、沈む夕日を見つめていた。美しい光景ではあるが、とある者と一緒に見たい。そう思ってしまう。


「はあーー」


「黄昏てますね姫様」


「ひゃっ?? リサーナ?!」


 自分以外居ないはずの部屋で、リサーナが背後から話しかけて来た。驚くあまり、変な声をだしてしまった。


「リサーナ。前にま言って筈だ! 気配を消して忍び寄るな!」


「ノックはいたしましたよ。なのに。反応が無かったので致し方なく」


「致し方なくで忍び寄るな! ・・・・いつからそこに?」


「姫様が、ルド殿、お慕いしておりますと言ったあたりからです」


「そんにゃこといってにゃいぞ! リヒャーニャ!」


「うふふふふ。本当に姫様は可愛いらしい」


 まったく、リサーナの奴! ・・・・ルド殿。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ