閑話 リュリュさんぽ
「母上ー! ちょっと、さんぽしてくるのだー!」
「うむ。気をつけるのじゃぞ」
「分かったのだー!」
熊の着ぐるみ姿のリュリュティアは、元気に返事を返し。猛ダッシュで森の方へ出かけて行った。
「ふむ。我が子ながら変わった子じゃ」
無邪気に駆けていく、リュリュティアの後ろ姿を、クリュレミアは見送った。
「ふんふんふん♪ おっ! ロコの実なのだ! 甘酸っぱくておいしいのだ!」
森に入って直ぐ、うまそうな赤いロコの実を見つけたのだ。リュリュは凄いのだ。
「ガブガブムシャムシャ・・ゴックン。・・・・うむ、おいしいのだ! リュリュは満足なのだ!」
さて、今日は何をしよう? なのだ。そうなのだ! あそこに行くのだ!
リュリュは思いついたのだ! この前助けたクマの所に行ってみるのだ。
思いついたリュリュティアは、一直線に駆け出す。それはまさに、猪突猛進。
『ズダドドドドドドドドドド!! ズザァーーー!!』
土煙りをあげ、山野を駆け抜けるリュリュティア。クマ達を見つけると、急ブレーキをかけて止まった。
「リュリュが来たのだ!」
凄まじい勢いで現れたリュリュティアに、クマの親子は最初驚いたが。直ぐに、双子の子グマは、リュリュティアに近づいていった。
「「くま? くまー」」
「よしよしなのだ。元気してたか? なのだ」
近寄ってくる双子の子グマを、ナデナデしてあげるリュリュティア。母熊も驚いていたが、危険は無いと分かり、リュリュティアの元へ近づく。
「くすぐったいのだー」
熊の親子から、ペロペロと舐められて、くすぐったいリュリュティア。
「くすぐったいけど、嫌では無いのだー」
このペロペロは嫌いじゃ無いのだ。こら、お鼻がくすぐったいのだ。ほっぺもなのだ。うふふなのだ。
「「くまーくまー」」
「どうしたのだ? 遊びたい、のだ?」
「「くまくま」」
「うむ、遊ぶのだ!」
野原を、二匹の子熊と追いかけっこをして、駆け回るリュリュティア。
「楽しいのだー」
「「くまくまー」」
その頃、クリュレミアは・・・・。
「リュリュティアが生まれて数年。当初は驚いたものだが・・・・慣れるものだな」
クリュレミアは空を見つめ、生まれた時の事を思い出す。
数年前・・・・ルドに助けられてから数ヶ月後の事だった。
「ぐわっ! くっ、なんじゃ。体が・・・・」
突然、我の体に異変が起こった。お腹に力が収束したと思ったら、スポーンと・・・・いや、ドカーンと・・・・いや、ババーンとじゃ。
何と幼竜が産まれてのじゃ。
数百年生きたが、こんな事は初めてじゃ。さすがの我でも、パニックになりかけたのじゃ。
「ど、どうすれば!」と考えた結果、テュラミアーダの元へ向かったのじゃ。テュラミアーダは、子供がおったから、あ奴に聞こうとおもったのじゃ。じゃが、幼竜を連れて飛んでも心配だったのじゃ。結界を張り、気をつけて飛んだのじゃ。あれほど気を使って飛んだのは、初めてだったのじゃ。
テュラミアーダに、子育てを教わり育てた結果。元気に育っておるのじゃ。ただ、問題がらあるのじゃ。ルドにどう話せばよいものなのかじゃ。・・・・うむ、まあその内に話せばよいか。ルドもリュリュティアを気にいっておるのじゃ。それに、リュリュティアもルドを気にいっておるのじゃ。もしかしてリュリュティアは・・・・いや、今はまだよいのじゃ。
「ただいまなのだー母上!」
「うむ、おかえりなのじゃ。・・・・リュリュティア」
「ん? どうしたのしたのだ、母上?」
ルドと我の・・・・・・・なんじゃ、何故か顔が熱いのじゃ!
「母上?」
「何でも無いのじゃ。リュリュティア、散歩はどうだったのじゃ?」
「楽しかったのだー! でも・・・・ルドと遊ぶのは、もっと楽しいのだー!」
「うむ、そうか」
『グゴルルルルーーーギューーー!』
「はっ! 大変なのだ母上! お腹が減ったのだ!」
「ふはははは。そうか、ならメシにするのじゃ」
「メシなのだーー!!」
テュラミアーダが言っていたな。いずれ、母親としての愛情がわくと。どうやら、このポカポカがそうなのかもしれぬのじゃ。




