メルキオス迷宮 完
「よう、久しぶりだな。そして、相変わらずデケーな」
「グガガゴォーーーー!!!」
オッサンvs迷宮の主vsタルボロの闘いが始まろうとしていた。
その頃、マリーダ達とクロウは・・・・。
「あの、大丈夫でしょうか?!」
「んー、大丈夫だろ。ルドだし」
「ルドさんですぅ」
「ルドさんだもん」
それで片付けていいのか? と思うクロウだが、紅き三ツ星の平然とした様子に、言うのをやめた。
「ふぬぬんですぅ! ハァーー、ダメですぅ。取れないですぅ!」
「ぬががが、ハァーー。ダメだぁー、姐さんも手伝ってようー!」
フィオとリジーは触手に囚われた冒険者を引き抜こうとするが引き抜けず、マリーダとクロウに助けを求めた。
「さて、ルドはほっといて、コイツ等を助けるぞ」
「・・・・そ、そうですね」
「うわー!」
「どうしたリジー!」
「触手が!」
「なっ! 絡みついてくるですぅ!」
「まだ、生きてたのか!」
「リジーさん! フィオさん!」
本体から切り離された太い触手から、細い触手が無数に伸びて、フィオとリジーに絡みついていた。
「コイツ!・・・・って、あれ? 簡単に引き剥がせた」
「本当ですぅ。力弱いですぅ」
「まったく、心配させるなっ・・・・ひゃっ!!」
「ひゃう!!」「ふひゃ!! ですぅ」
「みなさん! きゃっあ!!」
「「「えっ?」」」
触手に絡まられたクロウから、可愛らしい声が出た。紅き三つ星の三人は思わず、クロウを見つめた。クロウはクロウで、両手で口を押さえて恥ずかしそうにモジモジしていた。
「ひゃっ、おい、ちょっと待て! 何処触って!」
「ひゃう! あっ、こら! ひゃっう!」
「ふひゃ! エッチな触手ですぅ! ふひゃー!」
「ん、あっ、んっ、待ってそこ・・」
オッサンのいない所で、まさかのサービスタイムが起きていようとは、オッサンも思わなかった。
「あっ、取れた。・・・・ルドが居なくて良かった」
「ルドさんに見られてたら、恥ずかしくて死んじゃうですぅ」
「そう? でも、うちら裸とか見られてるよね?」
「えっ! 紅き三ツ星とルド・ロー・アスはそう言う関係何ですか?!」
「「違う!」ですぅ!」
「ですが裸を」
「そりゃ、長い付き合いだし。冒険にでてれば、ハプニングくらいある!」
「はいですぅ! ただ、ハプニングはハプニングでも、そう言うハプニングでは無いですぅ!」
「・・・・はあー?」
よく分からないと、クロウは首を傾げる。
「はははっ、ルドさんが温泉見つけて、一緒に入ったりとか、砂漠のオアシスで一緒に水浴びしたっけ」
「「リジー!!」
「・・・・仲が良いんですね」
「まあ、ルドさんは大丈夫だし。安全だから」
「確かにルドは大丈夫だな。女として危機を感じた事は無いな?」
「はいですぅ、ルドさんは信頼できますぅ。でも・・・・」
「「「でも?」」」
「女としてそれはどうなのですぅ?」
「「「・・・・」」」
「そう言えば、ルドさんの女性関係の話って聞かないね」
「確かにですぅ」
「まあ、ルドも男だし。娼館くらい行くだろ?・・聞いた事無いけど。幾人か、付き合ってるんじゃないかって、噂になった奴もいるけど・・・・」
「えっ、そんな人いたんすか姐さん!」
「そうなのですぅ?」
「まあ、あくまで噂だけどな」
「あのー、話はそろそろ終わりにしてみんなを救出しませんか?」
「「「あっ!」」」
その頃、ラッキースケベになれなかったオッサンは・・。
迷宮の主、全長百メートル近い巨人と対峙していた。
「メルキオス迷宮の主、ヘルギガンテ。やっぱりコレ・・巨神○・・・・みたいだな」
「グオォォォォァァァァァァア!!!」
「うっさい・・・・」
あまりの雄叫びに、耳を塞いでしまう。
「ピギィィィィィィァ!!」
「あっ、タルボロが復活・・・・」
『グシャァァァ!!』
タルボロはヘルギガントに、踏まれてペッシャンコに。
おえっ・・・・タルボロの中身が出た。
「グオォォォォアァァァァァ!!」
「あっ、やばっ」
ヘルギガンテの口に、紅蓮の光が集まっていく。次の瞬間、口から解き放たれた光が!
『ドガーン! ボガーン! ドドドガーーーン!!』
凄まじい爆発により、オッサンが立っていた周辺一体を、強烈な爆風が焼き払った。
『ピューーーーーー、ボカッ!』吹っ飛ばされて、地面に頭から突き刺さるオッサン。
「ぷはっ! まったく、あんな至近距離から、普通ぶっ放すか?」
「グオォォォォァァァァァァア!!!」
「いちいちうっさい奴だな。前は、倒すのに半日かかったが、俺は前とは違うぞ」
「グオォォォォァァァァァァア!!!」
「ファルガスの爺さん直伝魔法!! ブラスト・レイ!!」
『ビュビュビュン・・ドゥガァーーーー!!!』
「はへっ?」
『ドガアァァァーーーーーーン!!!』
「うおっ、ルドの奴、かなり派手にやってるな」
凄まじい爆発音と、迷宮を揺らす程の振動が、最下層より上にいる、マリーダ達の階層まで伝わっていた。
「姐さーん、そっち持ってー!」
「クロウさん、コレをみんなに飲ませてですぅ」
「分かりましたフィオさん。それにしても・・・・大丈夫でしょうか?」
「心配無いだろ。ルドは五年前に一人で踏破してる訳だし」
「ですね。今はみんなを優先しましょう」
一方オッサンの方は・・・・。
「・・・・・・・・なんじゃこりゃあ!!」
オッサンは失念していた。メルキオスを踏破したのは五年前。それから、更に多くの怪物に立ち向かって来たオッサンは、更に強くなっていた。ここ、二、三年は本気を出すことすら無い程に・・。
故に、こんな事態になっている。久々に本気の魔法を放った結果、ヘルギガンテの上半身は丸ごと無くなり、迷宮の壁に大穴を開ける結果になっていた。
「・・・・・・・・コレじゃあマジで怪物やん」
無自覚オッサンは、ちょっとだけ自覚した。
あっ、ヘルギガンテが消えてく。何かドロップアイテム出るかな。おっ! コレは中々。金銀財宝に宝石、魔道具の類いと色々出た。
「さて、コレをどうやって・・。簡易マジックバックに入るかな?」
腰につけた革製のマジックポーチを開けて、ドロップアイテムが入るか思案するオッサン。
容量ギリギリかな? 入らない分はまあいいや。
「一番の問題は・・・・どう上がるか。扉から出たく無いしな」
最下層の扉の先は、三十階層の階層主が居る。それもどでかいゴキが! おっ? 俺の魔法で開けた穴から出れるかな?
☆☆☆
闘いが終わってから五時間経過。
「ルドさん遅いですぅ」
「あぁ、音がやんだから闘いは終わったと思うが・・」
「穴、もう塞がっちゃったし。大丈夫かなルドさん」
「さすがに皆さんも心配何ですね」
「「「いや、やられたとは思ってないよ」」ですぅ」
「「「ただ・・・・」」」
「ただ?」
「「「下にはゴキが・・・・」」」
「ゴキ? あぁ、ゴキヴリ「「「その名を口にしたらダメ」」」
「・・・・あっ、はい」
「クロウさんは平気ですぅ?」
「平気と言えば平気ですが、あくまで我慢出来ると言うだけです」
「「「よく我慢出来るなアレを」」ですぅ」
「まあ、気持ちは分かり「ただいま!」はひゃっ!」
「ん? どうかしたか?」
「そりゃあ、いきなり背後から声かけられたら、ビックリするだろ」
「それもそうだ。すまん、クロウ」
「いえ、ご無事で何よりです」
「冒険者達はどうだ?」
「意識を取り戻した者も居ますが、まだ動けないだろうな」
「そうか。暫くここでキャンプになりそうだな」
「だな。それで、どうだった?」
「何が?」
「また、迷宮の主を倒したんだろ?」
「あぁ、ドロップアイテムもたんまりとな。ただ・・・・」
「ただ?」
「予備の簡易マジックバックの、マジックポーチに入り切らなくてな。三分のニは置いて来た」
「「「勿体ない!!」」」
「しょうがないだろ」
抱えて持ってくる訳にもいかんし。
「あっ、そうそう。上がってくる時にゴキヴ「「「その名を口にするな!!」」」
・・・・えーと、すいません。




