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メルキオス迷宮 その6


 斬っても斬っても、次から次へと触手が伸びて襲ってくる。


「おいおい、一体何本あんだよ! マリーダ! 急いでくれよ」


「うるさいねぇ! 分かってる!」


「んもう、鬱陶しい! 姐さん! 左!」


「あぁ、分かってる! おりゃ!」『バシューーン』


 マリーダの一撃に触手が切断される。


「さすがは紅き三ツ星! 負けていられないな。はっ!」


『シュパッシュパッ、シュバッ!!』


 クロウの素早い剣捌きに、触手が輪切りにされていった。


「やるじゃないかクロウ」


「マリーダさんも」


 視線を合わせて、ふふふっと笑い合う二人。いや、そんなのいいから! さっさと取り込まれた冒険者を探せ!


「姐さん! あそこ!」


「「「!!」」」


 リジーの指差す場所に、戸愚呂を巻く太い触手があった。

 目をこらすと、その触手からは人の上半身が生えていた。


「あれか・・・・。ルド! あったぞ!」


「おっしゃー、なら作戦通りに!」


「「「「了解!!」」」」


「フィオ! あの触手の先端を狙え!」


「はいですぅ! ぬぬぬ・・・・串刺しの刑ですぅ! 

 ロックニードル!」


『ドガーン』と地面から、岩の筍みたいな物が触手の先端部分を貫いた。


「・・・・・・・・ピギィィィィィィィ!!!」


「うわっ、何コイツ・・他の触手は切断しても反応しなかったのに?」


「やかましい奴だね! でも、これで動けないだろ!」


「あっ! 触手がくるですぅ!」


「自分が行きます! はあぁぁっ!」


「おし、クロウに続くぞ! リジー! フィオ!」


「「はい「ですぅ」」


 ・・・・何か、いいなあっちは・・こっちは俺一人。


「・・・・ふん! おりゃ! うりゃ!」


 ふう、あぁーくそ! 触手がウザイ! 早く頼むぞ!


「ふん! とりゃ! うがっ? 『ガキィン』なっ!」


 急に触手が鋼のように硬くなった。


「なっ! 何だ? 急に! マリーダ! 気をつけろ!」


『ガキィン』「ちっ、急に! リジー! クロウ!」


『ガキィーン』『バキィーン』


「姐さん!」「な・・に、刃が通らない?!」


「ルド! どうなってんだい!」


「そんなの知るか! それより急げ!」


「やってるよ! それより、もっと援護しな!」


「無茶言うな!」


『ガキィン! バギィン! ドーン! ガキィーン!』


 硬化した数本の触手と、オッサンは鍔迫り合いを繰り広げる。大剣と触手がぶつかり合う度、火花が飛び交い、その激しさを物語った。


 

「ぐおぉぉぁぁ! おい! まだか!」


「うっさい! 急かすな! こっちも厄介なんだ!」


 マリーダ達の方では、丸太の様な太い触手では無く。細いムチの様な触手、数十本と戦っていた。


「コレも硬いぞ! 紅き三ツ星も気をつけろ!」


「あぁーもうー。何なんだコイツ! はっ! しまっ・・」


「リジー! エアカッター! ですぅ!」『シュパッ』


 風の刃が、リジーの足を絡め取った触手を切断した。


「ありがとうフィオ!」


「どうって事ないですぅ」


「厄介な! ルド! このままだと・・・・」


「あぁ!」ヤバイってんだろ。・・・・確かにこのままだとマジでヤバイ。どうする・・・・はっ! 冒険者が捕まってる触手は、既にフィオが魔法で動きを封じてる。だったら、いっその事一気に・・・・。


「マリーダ! 作戦変更だ!」


「はあ? どうすんだい!」


「冒険者を救出してから落とすつもりだったが、このまま落とす!」


「なっ! おい! ちょっと待て!」


「待ってくれ! まだ仲間が!」


 マリーダとクロウが、オッサンを止めようとする。一体どう言う事なのか分からず、軽くパニックに陥っていた。


「フィオ! 動きを封じた魔法が解け無いように集中しろ!

マリーダ達は、フィオを護衛してくれ」



「えっ、どう言う・・はっ! そう言う事ですぅ!」


「「成る程! そう言う事か」」


「えっ、何? どう言う事?」


 リジーは分かって無いな・・・・まあいいか。


「フィオ! 私達が守るから安心しな!」


「お願いしますですぅ!」


 

 ふうーーー。ちょっと本気で行く! 集中して魔力を高めていく。


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 オッサンの体を魔力が覆い、筋力を増幅させた。ただでさえムキムキの体が、更にムッキムッキに・・。


「姐さん・・・・アレなに?」


「さあ? ・・・・ルドだからとしか・・」


「ルドさんはやっぱり化け物ですぅ」


「あのぉー・・・・コレは化け物の一言で片付けるものでは無いのでは? 確かに化け物ですが」


 あっ、何かクロウの言葉。俺のガラスのハートを軽く抉った気がする。


 オッサンを覆っていた魔力は、大剣にも移り金色の光を放ち始めた。


「よっしゃー! 行くぞぉぉぁぁ!」


 オッサンは、大剣を地面に突き刺し、本来破壊の難しい迷宮の地面を切り裂いていった。


「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 円を描く様に、タルボロの周りの地面を切り裂く。その行為に何か感じとったのか。タルボロは、触手で攻撃して辞めさせようとしてきた。


 オッサンはそんな攻撃を躱しつつ、地面を更に切って行く。途中、冒険者を捕まえている触手があるが、攻撃を嫌がってか。タルボロが触手を浮かせて、オッサンの攻撃を躱した。


 ちっ、いっそここで切断出来たら良かったんだが。

 まあいい、行けぇぇぇ! そのまま一周して、元の場所に戻った。そしてオッサンは、大剣を一度引き抜き、両手で思いっきり差し込んだ。


「おらぁぁぁぁっ! 『ゴゴゴゴゴッ』 フィオ! 頼んだぞ!」


「はいですぅ!」


「落ちろ!!」そう叫んで俺は、切り裂いた円の内側を、地面に足がめり込む程に踏みしめた。


『ゴゴゴゴゴ・・・・ズドゴォォォォォーー』


「ピィギィぃィィィィィィ!!」


 オッサンが斬った地面が、音を立てて沈んでいく。


「マリーダ! クロウ! 触手が伸びきったら切断しろ!」


「あぁ! 分かってる!」


 ポッカリと円状に開いた穴に、タルボロは落ちいく。十秒程で姿は見えなくなり、冒険者達を捕まえている触手が、ピーンと張った。


「うぬぬぬですぅ!」


「耐えろフィオ! がんばれ!」


「マリーダさん!」


「あぁ、行くよクロウ! 合わせな!」


「はあぁぁぁぁ! 豪炎斧刃撃!」


 マリーダの戦斧から、炎が噴き出すかのように、斧が炎を纏っていた。


「ふう、・・・・紫電一閃!」

 

 クロウは、紫の雷を剣に宿らせた。


「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」


『ドガーーーン』『バシューーン』


「プギャぃァァァァァァァァ」


 二人の一撃が合わさり、見事に触手を切断した。穴の下では、タルボロの断末魔が聞こえた。


 よし、コレで・・・・って!


「ルドさん! 上がって来てるよ!」


「どうするですぅ!」


 穴から触手が這い上がって来ていた。


 まあ、倒した訳じゃ無いしな。やっぱりやるっきゃないな。


「マリーダ! コレを」

 

 マリーダにバックを投げて渡した。


「って、ルドのマジックバック?」


「それにポーションやら色々入ってるから、後は頼んだ」


「頼んだって・・・・ルド、アンタまさか!」


「そのまさか!」


 そう言うとオッサンは、穴に飛び込んだ。


「「「「ええぇぇぇぇ!!」」」」


 おっ?! 触手で何とかぶら下がってやがる。仕方がない。ここは伝家の宝刀! オッサンのマジ飛び蹴り!


「どぅりゃぁぁぁぁぁぁ!!」『バコーーーン』


「ピュギィ」


 穴の壁を蹴り、その勢いでタルボロの本体に蹴りをかました。あまりの凄まじい蹴りに、タルボロの体はくの字に折れ、落下していった。オッサンと一緒に・・・・。


「ルドーーー!!」


「「ルドさーーーん!!」」


「ルド・ロー・アスーー!!」


 クロウ・・・・フルネームで叫ぶな。


「みんなーー! 心配ないからなーー! 後は頼んだー!」


 落下していくなか、聞こえたみんなの声に、心配させまいと返す。


 さてと・・・・着地どうしよう。胡座をかきながら落下する俺・・・・何かシュールだな。


 考えている暇はあんまり無い。だって、地面が刻々と近づいている。風魔法でいけるか? 風・・・・上昇気流? 強力な上昇気流を起こせば、落下速度を減衰出来るか?


「アップドラフト!」


 ボワァーーとオッサンの体に、下からの強い風が当たる。


「あばばばばばばばばっ」


[注意]現在オッサンの顔は、バラエティーよく見る、スカイダイビングしている芸人みたいな顔になっています。

      

「あばばばばばば」


 速度が落ちてる。落ちてるけど・・・・。


「あぶぶばばばばばば」


『ヒューーー、ドサッ!』


「あ痛たたたっ」何とかなったな。意外とどうにかなるもんだな。


 落ちた場所は、地下とは思えない程広い、荒野であった。


 ここも懐かしいな。えーと、タルボロは・・・・ん? 


「プギィギィギィ」


 落下の衝撃でピクピクと動くタルボロ。少なくとも数百メートル以上から落ちている。かなりのダメージを負ったようだ。


「もしかして、タルボロって打撃に弱い?」


 前回はひたすら斬ってたから分からんかったけど、もしかしてそうなのか?


 ふむふむとタルボロを観察していたら。


『ドスーン! ドスーン! ドスーン!』と巨大な足音が響いてきた。


 どうやら、おいでなすったようだ。何がって? 決まってるだろ。迷宮の主だよ。


「さて、久しぶりのご対面だな」


『ドスーン、ドスーン、ドスーン』


 大きな足音が段々と、オッサンの方に向かって来ていた。かつて敗れた者に、リベンジしようとしているかの様に、足音は真っ直ぐに向かって来ていた。



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