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オッサン引退する?


 冒険者ギルド内は騒然としていた。


「おい、ルドさんが引退?!」

「マジか! 生きる伝説と言われたルドさんが?!」

「あんなオッサン、さっさと引退すればいいじゃんか」

「あん? テメェ新入りか? ルドさんを知らないなんてど素人もいいとこだ」

「んだとー」「あぁん? やるかぁ?」

「おう、やれやれ!」「お前等外でやれ!」



 何か騒がしくなってきたなぁ? みんなの前で言った以上は後には引けない。よし、もう決めた! 引退する! 絶対に引退するぞ!!


「ルド、ちょっと待て! 今引退されたらこの依頼はどうなる? お前の事を待ってる人がいるんだぞ! 助け求める彼等、彼女等がどうなってもいいと!」


 くっ、卑怯だぞギルマス! 


「ギルマス! 他にもSランクはいるんだ。そいつ等に頼めよ!」


「そのSランクパーティーが歯が立たない依頼を、お前にやってもらうんだ! お前以外にできる奴なんているか!」


「何じゃそりゃ! じゃあ俺は、Sランクより上のクラスだってのか!」


「簡単に言えばそうだな。Sランクより上は無いが、ルド枠として、ギルドは認定してる」


「変な枠を作るな!! 兎に角、引退するからな!!」


「くっ、決意は固いと言う訳か・・・なら仕方ない。この方法だけは取りたくなかったが・・・・」


 王都冒険者ギルドマスター、ロウゼン。元Sランク冒険者。さすがだ、スキ無い! 無手の状態で構えて、ジリジリと間合いを詰めてくる。


 一体何をする気だギルマス? と考えていた瞬間。構えたまま、素早く体制を低くとってくる。


 くっ、足を取って体制を崩すつも・・・・。


 ・・・・俺の眼前には、元Sランク冒険者でギルマス、ロウゼンの見事な土下座が目に入った。


「ルド、頼む。せめてこの依頼を達成してから引退してくれ頼む!!」


「うっ、ギルマス! 卑怯だぞそれは!!」


「卑怯でも何でもいいから、この依頼を!!」


 うぐぐっ、ここまでされたら仕方ない。今回は特別という事にしてこ、れを最後にし・・・・。


 ん? 何か違和感が・・・・。俺は体制を床スレスレまで低くして、ギルマスを見た。


「おい、ギルマス。ちゃんと土下座になってないぞ」


 俺は身長が高いので、上から見下ろす様に見ていた。しかし、体制を低くして見ると、ギルマスは床に頭も手も付いていなかった。よく見ると、十センチ程隙間が空いていた。


「・・・・・・・・ちっ」


「おい! 今舌打ちしただろ!」


 ギルマスは顔を上げ「してない」と、そっぽを向いて言った。


 ぐっ、このジジィ! 人の良心につけ込みやがって!


「ギルマスも、ルドもその辺にしてくれない? 仕事にならないわ」


「いやいや、仕事どころじゃないですってエルナさん!」


「リズの言うとうりですよ! ルドさんの引退ですよ! エルナさんはどうするんですか!」


「どうするも何もないでしょ?」


 何を言ってるの? とエルナは首を傾げた。


「ルドさんがいなくなったら、誰がエルナさんを嫁にもらってくれるんですか!」


「そうですよ! メーアの言うとうりです。このままだとエルナさんが行き遅れちゃいます!」


 え? 何故俺がエルナを嫁に貰うんだ? 


 エルナを見ると、机に突っ伏して、時よりピクピクと体を震るわせていた。


 えーと、リズ、メーア。取り敢えず・・・・逃げろ! エルナが復活する前に。


 エルナの後ろで二人はまだ、あーだこーだと述べていた。

その度に、エルナがピクピクと反応していた。


 ・・・・ヤバイな。エルナの怒りが頂点に達するも時間の問題だな。


「やっぱあの二人。できたたのか?」「確かに、怪しいと思ったんだよ」「なっ、エルナさんが?」「ルドさんかぁ、玉の輿じゃーん」「えぇー、ルドさん狙ってたのにぃ〜」

「エルナさんなんでぇ」「何だ? お前エルナさん狙いだったのか?」「うるせぇ!」「俺はリズちゃんだなぁ」

「俺は断然、メーアちゃん」

 

 おっ! 何か声の中に気になるのが・・・・『バァァァァン』


「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」


 エルナが、受付カウンターを両手で叩き、その勢いのまま立ち上がった。


 や、や、ヤバイ! エルナがお怒りだ!


「りぃぃぃーーずぅ、めぇぇーーあぁ」


「「ひゃいぃぃぃ」」


 二人はエルナの底冷えするような声に、悲鳴のような返事を返した。互いに体を抱きしめ合い、ガタガタと震えていた。

 

 コレはヤバイ! 俺は慌ててエルナを抑えた。


「リズ! メーア! 逃げろ!!」


「「はいぃぃぃぃ」」二人は一目散にカウンターから出てホールの方に逃げた。


「エルナ! 落ちつけ!」


「るぅぅぅどぉぉ、はぁなぁぁぁしてぇぇぇ」


 くっ、凄い力だ。羽交い締めにしているが、後ろから抑える俺を引き摺りながら、リズとメーアにゆっくりと向かって行く。


「おい、ギルマス! なんとかしろ!」


「無茶言うな! 怒ったエルナを止められる訳ないだろ!」


 なっ、あっもう、使えない! 


「エルナ! 落ちつけ! 兎に角落ちつけ! また奢ってやるぞ。なっ、だから落ちつけ!」


「フシュー、フシュー」


 おい、人間らしからぬ音が聞こえるぞ! 


「「エルナさんすいません。ごめんなさい。許して!」」


 二人は跪き許しをこうが、エルナは止まらない。


「エルナ! いいかげんに「失礼する!! ルド殿はおられるかぁ!!」



 バーーンと勢いよく開けられた扉から、見事に揺れる大きな二つの山が見えた。ギルドに居た男も女も、その動きに釘付けになる程見事なものだった。

 


 尚且つ、俺はその山の持ち主を知っていた。



「で、で、殿下ぁぁぁぁぁぁ?!」


 何故か其処には、逆光の中仁王立ちのクシャーナ殿下の姿があった。



 

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