表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

魔王になった男の話。

作者: 腐猫悪善

 

 鉛色の空の下、男の目の前には仲間だったものたちの肉塊があった。だが彼らはモンスターにやられたわけではなかった。男の手によって肉塊にされたのであった。何も男がそうしたかった訳ではない。ただ彼は自己防衛のためにやったのである。それを説明するには男と仲間の出会いまで遡らなければならない。


 男は平民であった。貧しい暮らしであり、両親はいつも働いていた記憶しかない。そんな男には幼い兄弟達がいた。彼は家計を助けるために15になると同時に冒険者になった。最初の頃は薬草採取や弱いモンスター討伐で稼いでいた。男はこの生活がずっと続くと思っていた。

 だが男には戦闘の才があった。一年、二年と戦う内にメキメキと実力をつけていった。男が冒険者になってから四年目、ついにAランクの冒険者になった。稼ぎが増え家族にも楽な暮らしをさせてあげることができた。そんなときだった。男は勇者に勧誘を受けたのだ。

 男は最初迷っていた。家族を置いて旅をできるのか。だが兄弟や両親の説得により男は旅に出ることに決めた。まぁ決定打だったのは弟たちの、お兄ちゃんカッコいい、だったが。


 そして男は勇者パーティーの一員となった。そこから男はパーツのために一生懸命働いた。男は剣士であり、また徒手空拳でも戦うことができた。それを生かして後衛の仲間に被害がでないように、またメインアタッカーでもある勇者の邪魔をしないように立ち回った。その結果パーティーは今まで以上にうまく旅を続けることができた。そして男に向けられる感情も変わってきた。勇者はただの冒険者から使えるやつ、戦士は戦いが上手い男、賢者は気の利く男、そして聖女からは好きな人となった。

 パーティーに入ってから二ヶ月、男は聖女から告白された。最初は断っていたが、聖女の猛アプローチ、また男が聖女のことを好いていたことから、男は聖女と付き合うことになる。それが悲劇を呼ぶとも知らずに⋅⋅⋅。


 男と聖女が付き合ってから半年、パーティーになってから八ヶ月がたった頃、事件は起きた。嫉妬に狂ったパーティーメンバーが男と聖女を襲ったのだ。

 キマイラの討伐依頼を受けている最中、何をとち狂ったのか勇者が男に斬りかかってきた。それに合わせて賢者が魔法を、戦士も斬りかかってくる。男は突然のことに動くことができず、攻撃を受けてしまう。勇者と戦士の剣撃、そして賢者の魔法を受けたことで、男は身動き一つ出来なくなってしまった。そんな男に止めを刺そうと三人は男に攻撃を加えようとした。そのとき、聖女が守るように男の前に立ちはだかった。聖女に攻撃が当たるその瞬間、時が止まった。

 男の意識だけが止まった時の中動いていた。そして男の目の前に黒いもやが現れた。

 黒いもやは自分のことを悪魔と名乗った。悪魔はいった。自分と契約すれば三人を倒せると。男は縋った。聖女を助けられるのならば、と。悪魔は聞き入れた。男の願いを。そして男にはある力が宿った。そして時は再び動き始める。


 時が動き始めた瞬間、男の力はすでに効果を発揮していた。聖女に攻撃が当たる前にその攻撃が全て放った本人達に何倍にもなって返っていったのだ。

 勇者や戦士は自分達の斬撃によって体が切り刻まれ、賢者は自分の放った魔法で砕け散る。あとに残ったのはおびただしい量の血と三人だった肉塊だった。


 聖女は攻撃に対して身構え目を閉じた。。だが何時までたっても攻撃がくる気配がない。恐る恐る目を開くと目の前には勇者だった者達の死体があった。そして自分の横には変貌した、愛した男の姿があった。人の体型をしているが、男の頭部には角が生えており、また男の皮膚は黒くなっており表面には赤い模様の様なものが走っている。男は聖女を救うために自分の体を闇へと堕としたのだ。男は聖女の方を向くと人間だった頃と変わらない微笑みを浮かべていた。その様子を見て聖女は、男がどんなに姿形が変わっていようと心は変わっていないと、そう感じた。そして何の躊躇いもなく男に抱きつく。男は戸惑いながらも、こんな姿になった自分を愛してくれる聖女を嬉しく思い抱き締め返した。そして手を繋いで二人は森の奥へと歩いていった。


 勇者達の死体は薬草を取りに来た冒険者によって発見されることになる。だがその場には三つしか死体がなく、男と聖女はいない。すぐさま捜索隊が組まれたが発見されることはなかった。

 また、同時期に世界中に激震が走る。新たな魔王が誕生したと。世界は新たなる魔王の対策に追われていた。

 そんなときだった。とある冒険者の証言が世界を別の意味で驚かせた。魔王が到底人類を脅かそうとしていないと。その魔王は悪魔であったが基本的には人の姿に似ており、そのそばには黒を基調としたドレスを着た聖女に似た女性がいたと。そしてその二人は世界の敵とは思えないほど穏やかで、悪魔等という要素を抜かして見てみるとただの夫婦の様にしか見えないと。そう語ったのだった。


 どうでしたか?もし評価が多く集まればセリフをいれたものを書きたいと思っております。(そんなこと関係なく書くかもしれないけど⋅⋅⋅)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ