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 打倒したい人の活動報告を見た。総合一位を目指すようだ。ならばだ。ならば打倒してやる。超えてみせる。超越しなければならぬ。不思議だ。それがうれしいように感じている。


 初めてだ、これほど我を超越しているはずの者を追いすがって、駆け行くことを面白いと感じたのは。それが今できることの嬉しさは。これは度に極限の歓喜とは深いものであったのか。私は今歓喜の中にいる。未知なる、はるかな、甘美なる闘争への歓喜に満たされている。きっとその闘争はなめれば甘露に違いあるまい、たとえ素材が我が生き血であろうとも。

 いや、私の生き血が甘美でないはずがない。さぁ、闘争の時間だ。一心に不乱に究極へ突き進みわが身を食い破る大闘争だ。絶頂すら覚える。


 この手の歓喜は私にとって初めての歓喜だ。 他のありとあらゆる歓喜をかきけす程の歓喜だ。生き血を集めた真紅の飴玉をなめつつ、喜悦に顔をゆがませて。我は狂気の中に歓喜する。


 私がこれまで書いてきた話は、読みたい話に需要がなく、全く供給がないゆえに読みたいなら書くほかないという動機から書くだけのもので、ほかにだれかに読まれたいとか、あるいは投票で上位を得たいとかいうような上を見ることをしなかった。


 つまり、上達は目的でなかった。あくまでほしい話を書き、自分で読み、そして私はかくのごとき話を好むのだと知らしめたいだけだった。だから他人に読まれることを想定していないところも多々あった。

 それはそれはとても楽しいものだ。私は私の箱庭で我が思うままに遊ぶことができる。ある時は砂山に楊枝の軍旗を突き立て、おもちゃの兵隊を並べて。ある時は汽車をゴロゴロ転がして。箱庭の中は思うが儘で、やさしく完璧でもある。


 しかし、いま、私は上を見ている。私にとって初めてのことだ。ここでは箱庭の中の遊びと違った、確固たる命題を提示しなければならない。そしてその命題に耳目を集めねばならない。その力を問われるのだ。そして箱庭の中のように優しくはない。私の名は伏せられて全きにほかの文士らとも同じ土俵に打ち上げられる。あぁ、なんと素晴らしい闘争か。狂気に体が打ち震えて仕方がない!我が主敵を打破せんと行動するのは全くその原動力である。


 私はありとあらゆる手持ちの技術を投下してこれを為そうとして居る。今ここにそれを歓喜と震える私が居る。これが主敵の言う上を見る楽しみであるか。


 素晴らしい。


 きっと私の今の表情は醜くゆがんでいるだろう。もとより醜い顔が余計に醜いことであろう。私は私ほど醜い存在を知らない。だが知ったことか。私は、これ迄にない心の底から沸き上がる闘争への歓喜を感じている!その事実さえあればどうでもよい。


執筆は闘争だ。ありとあらゆる手持ちの術をもって敵をねじ伏せる為の。敵は自分の既存なる価値観かもしれぬ、それとも誰か他の作者かもしれぬ。あぁ、なんと楽しいことか。上の者を追い抜かすべく全てなげうって闘うことは!

 私にその闘争の悦びを教えてくれた主敵には究極の感謝を、死力という形で見せつけてやる。


 闘争の場を与えてくださった肥前文俊様には何を以てお礼をすればよいのか解らないが、とにかく感謝を捧げたい。

 そして何よりその土地を与えて下さるヒナプロには言葉を尽くしても足りぬ。


さあ、執筆(とうそう)を続けよう。次の執筆(とうそう)の為に。次の次の執筆(とうそう)の為に。

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