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少年は英勇に憧れる  作者: なゆ
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プロローグ:この世界

初めまして、なゆです。

書き始めたばかりで誤字脱字や禁則処理など拙いものがありますが。頑張って書こうと思っているのでどうか温かい目でよろしくお願いします。

感想や誤字脱字報告ぜひお待ちしておりますのでよろしくお願いします!

 世界には様々な冒険譚がある。

 その中でも『英勇』の冒険譚を知らない人はいない。

 『英勇』すなわち、世の中のために行動し、何か偉業を成し遂げた者を英雄、どうすることもできない絶望に抗い、世界を救う偉業を成し遂げた者の事を勇者という。

 その二つの偉業を成し遂げた者の事を人々は『英勇』と呼んだ。


 この世に幾つか存在するダンジョン。

 ダンジョンがもたらす資源はとてつもなく、ダンジョンの周りを例外なく大きな街があった。

 ダンジョンを踏破すると踏破ボーナスと言うものがあり、踏破されたダンジョンはダンジョンとしての機能を失ってしまう代わりにどこかに新しいダンジョンが出来上がる。

 そして、今まで踏破されたダンジョンはただ一つ。それは英勇によって成されていた。


 「今日はもう帰ろう」

 薄暗い通路に少年はいた。

 黒色の髪に青色の目、そして腰には刃から柄まで全てが漆黒で出来た短剣とくすんだ色の短剣をぶらさげている。


 「ふぅ。ここは一体何なんだろう?」

 少年はそう言いながら帰路についた。


 「ただいま!」

 おかえり、と帰ってくる言葉はない。

 数年前まで一緒に暮らしていたおじいちゃんは既に亡くなっていた。

 おじいちゃんが残してくれたこの家といくつかの武器や道具のおかげで少年はなとか生きていく事ができていた。


 家に帰ると少年はまずお風呂場へと向かう。お風呂場と言っても井戸から汲み上げた水を貯めておく桶があるだけで、その水を使って身体についた血と汚れを落とす。

 狩りで汚れた身体を綺麗にすると次は今日取れた魔物の素材などを分別していく。


 「えーと、このお肉なんだっけ?」

 その肉はベリーボアと言う遠い昔に存在していたと言われる猪の肉だった。

 「そういえば今日は初めて見る魔物が多かったなぁ。階段を降りたからかな?」

 狩場の階段を降りるといつも新しい魔物が現れる。

 少年は今は存在しないはずの魔物の肉とは気づかずに調理場に向かう。


 調理と言っても料理は出来ないので焼くだけだ。

 肉はすぐ焼き上がり食べやすい大きさに切り、最後に塩を少し振って出来上がり。


 「!?なにこのお肉!うまい!」

 ベリーボアの肉はとても柔らかく、少し甘い。噛めば噛むほ味が出るのだが、口に入れた瞬間溶けるようになくなっていくので噛みつづけるのは難しいのだ。

 「食べた瞬間無くなる!味は美味しいけど…」

 少年は少し物足りなかったようで追加でイッカクの肉も焼き始めた。

 イッカクはうさぎに角が生えた魔物で駆け出しの冒険者でも一対一なら勝てる魔物だ。


 「ごちそうさまでした!」

 少年はそう言うと上機嫌で片付けを始める。


 「もう暗くなっちゃったし今日はもう寝ようかな」

 そう言って少年は一人床についた。



________________________

________________________



 「ふぁぁぁあ」

 少年の朝は早い。

 目が覚めると少年は顔を洗い、果物の入った籠から赤い果物を取り出し一口齧る。

 「これおいしい!」

 昨日狩場で初めて見つけた果物だ。

 「今日もとりにいこう!」

 赤い果物は林檎と言う果物でこれもまた既に存在しておらず、物語の中でしか出てこないようなものだった。


 軽い朝ご飯を済ませるといつもの日課をこなすべく少年は庭に向かう。

 「はっ!ふっ!」

 生きていくためには魔物を狩らなければならない。今まではおじいちゃんがどこからか食べ物などを調達してきていたがそんなおじいちゃんも五年前に死んでしまった。

 それ以降毎日続けてきた素振りと戦闘訓練。少年の動きは一切無駄のないものになっていた。ただの訓練では到底到達できるものではなく、幼かった少年がどれだけ過酷な五年間を過ごしてきたかがわかる。


 「ふぅ、ずっと続けているけど最近はなんかこう、自分が強くなっている!って感じが無くなってきた気がする…」

 少年はそう独りつぶやきながら剣を振り続ける。


 いつもの日課が終わると少年は家の掃除をし、昨日の残りの肉と井戸から汲み上げた水で昼食をとる。

 その後防具と武器を持っていつもの狩場へと向かう。


 「家にあったこの防具ももうそろそろだめかも。武器はずっと使っているのに切れ味が全く落ちないんだよね。なんでだろう?じいちゃんに聞いとけばよかったなぁ」

 防具は既に肩の留め具が片方壊れており他も傷がついており引き裂けそうだった。


 少年は狩場につくといつものように階段まで走り抜けていく。時々立ちふさがる魔物がいるが少年は右手に持った漆黒のナイフで一瞬で息の根を止める。

 魔物の死体はそのまま放置して構わずに突き進む。魔物の死体はなぜか帰る頃にはいつも無くなっているので気にしない。


 「今日はどんな魔物がいるんだろう?」

 少年は魔物の姿を想像しながら階段を駆け下りていく。


 少年が狩場に来てから数時間経った。

 「やっとついた…」

 階段を降りるに連れ入り口からどんどん遠くなっていくため新しい狩場にくるまで時間がかかるようになっていた。


 「ここはなんなんだろう?昔おじいちゃんから聞いた英勇の話にでてくるダンジョンっていうやつに似てるけど」

 少年はおじいちゃんが話してくれる英勇の冒険譚が好きだった。


 英勇は様々な偉業を成し遂げた、街に押し寄せてきた数千の魔物に独りで立ち向かったり、空を飛んだり、海を割ったり。そんな想像を絶するような話もあるが、その中でもダンジョンを攻略していく話が好きだった。


 ここはそんなダンジョンに似ている。狩場が階層ごとになっていて降りていくたびに新しく、強い魔物がでてくる。そして、五層降りるたびに特別強い魔物がでてくる。壁を傷つけてもすぐ傷は無くなってしまうし、魔物の残骸も時間が立つ地面や壁に吸収されるように消えてしまうが、外に持ち出すと消えない。


 物語に出てくるダンジョンと違うところは、ここの周りは人が一切いない。昔山の下まで降りてみたが、見渡す限り山と草原が広がるだけだった。そして、宝箱がない。ダンジョンには宝箱がありその中には様々な財宝や武具が収められているはずだがここには宝箱が存在しない。


 「まぁこのまま下り続ければわかるか!ダンジョンなら最下層にはコアがあるらしいし!」

 そう、ダンジョンの最下層に行くとダンジョンコアがある。そしてそれに触れるとダンジョンから恩恵を授かるらしい。英勇はダンジョンを踏破した時に何を得たのかは残してないが、巨万の富を得られると物語ではなっていた。


 「それにしてもここ何層あるんだろう?…っと!!」

 少年は巨大な蜂とクワガタが合体したような魔物の攻撃を避けながらつぶやいた。

 「この虫食べれるかなぁ。食べたくないけど」

 魔物が突き出してくる針を身体を捻って避けつつ、片方の羽を切り刻む。

 羽を失い飛行できなくなった魔物は地面に落ち、立ち上がる寸前、少年に首を切り落とされた。


 「新しい層に降りてみたけどなんだろここ、虫しかいないし。早く次の層に行こう」

 そう言いながら少年はまた駆け抜ける。


 少年は慢心していた。最初こそ弱く、敵から逃げることも多かったが、ここ最近は殆どの魔物を数回の攻撃で倒していた。その事が少年に隙きを生んでいた。


 ―ドゴォォォンッ

 「っ!?」

 それは突然やってきた。

 今まで聞いたことのないような音と共に地面が崩れる。

 もちろんその穴を開けた主がいる。そして少年は吹き飛ばされた。


 「なに!?何が起こったの!?」

 少年は吹き飛ばされ困惑していた。そして戦闘での混乱は命取りになることを知っている。

 混乱しながらも直ぐに立ち上がり周囲を見渡す、その瞬間少年は再度吹き飛ばされた。


 「ヤバイヤバイヤバイ!」

 敵がどこにいるかもわからずどんな敵なのかもわからない少年は一つの選択肢をとる。

 「逃げなきゃ!」

 少年は逃げ出した。今まで生きていくためにいっぱい逃げた。少年はダンジョンを攻略するために走り続けた。だから足には自信があった。

 少年は走る眼の前の脅威に背を向けて走る。

 だがそれは逃げる事を許さない。

 また大きな音が鳴り響く。

 何かが横切ったと思った一瞬。少年の方から血が吹き出た。


 「え?」

 そこには存在するはずの左腕がなかった。

 「いっ!!!!」

 声にならない悲鳴をあげて転げ回る。

 「にげ、逃げなきゃ…」

 痛みを抑えながら少年は後ろにいる化物から逃げようと立ち上がる。

 そして絶望する。

 立ち上がった少年は目の前にそれを見た。

 化物が二体。


 「はは、うそでしょ?おじいちゃん…」

 少年は意識を手放した。

 その瞬間それ同士がぶつかり合う。

 その衝撃で崩れるはずのない地面は崩れ少年は暗闇へと落ちていった。

 

次回は遂に主人公君の名前とチート能力を手に入れちゃいます。

今週中には上げます。


ここまでお読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!

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