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やがて神話の龍騎士  作者: 夜叢 雲水
第壱章 覚醒の兆し
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合否会議

 老人の声が会場全体に響き渡り俺は、意識を目の前に立つ試験官の男から外した。そして、目に入ったのは半壊状態の会場だった。


「げッ!! じぃーさん!!!」


「誰がじぃーさんじゃ!!!! 学園長と呼ばんか!!!!! このバカもの!!!」


「いやー悪い悪い学園長。 で、どうしたんですか?」


「どうしたじゃない。 誰がここまでやっていいと言ったんだ!!! 貴様あとで学園長室に来い!!!」


「わかったからそんな怒鳴らないでくれよ」


「フンッ。 わかればいいんじゃ」


 ものすごい剣幕で怒鳴っている学園長らしきじぃーさんとさっきまで闘っていた男に俺は完全に置いていきぼりだった。


 そして、学園長?がお話を終えてようやく俺に目を向けた。


「ワシはこの学園の学園長のオズワルド・イースじゃ。 君の名は、なんと申す?」


「はい、リアムです。 リアム・ウェルシュです。」


「うむ、よろしく。 今夜の宿は入学試験者に貸し出している寮かの?」


「はい、そのつもりです」


「それじゃあ、明日の朝に今日の合否を届けさせよう」


「え、貼り出されるんじゃないんですか?」


「ああ、当学園は合否を個別へ知らせるようにしているんじゃ」


「なるほど、わかりました。」


「これにて、入学試験を終わりとする!!」


 こうして俺の入学試験は終わった。

 そのあと特に何もすることがなかったので飯を食って汚れた身体を綺麗にして寝ることにした。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 時は、少し遡りリアムが宿となる寮へと向かっている頃




 教職員会議室内――




 ここには、今日行われた入学試験の合格と不合格の者を決めるために学園長を含め全教員達が集まっていた。


「それでは、これより会議を始める」


 学園長の言葉と共に会議が始まり教員達は試験を受けた者の合格点に届いていた者の結果が書かれた紙を机の上へと出した。


 大量にいる中からさらに絞るため一人一人協議にかけ実技試験会場に設置されていた記録の水晶から映像を見て判断する。


「やはり、首席合格者はシルヴィア様で決まりじゃないですか? 筆記試験、実技試験と両方が満点ですしね」


「そうじゃな、そのようにする。 異存がある者は挙手せよ」



「――――――――――」


「ないようなので次の者へ行く」


「次は東方から来た――――」


 こうして会議が進んで行き陽が完全に沈みきり夜が深まる頃ようやく最後の一人となった。


「はぁ〜……ようやく最後ですね」


 若い女性の教員がため息を吐く。


「しょうがねぇーだろ、希望者が大量にいるんだからよ。 毎年こんなもんだろーよ」


「そんな……」


 女性教員が絶望に染まっているところ学園長から催促の言葉が入った。


「早よ、せんか。お主であろう、アルフレッドよ」


「わかってるよ、最後はこいつだ――リアム・ウェルシュ。」


「え、その子ってあんたと試験会場破壊した子よね?」


「あ、ああ。 そうだ」


「して、アルフレッドお主から見てリアム・ウェルシュはどうであった?」


「筆記試験のほうはギリギリで合格点まで到達している。問題は実技試験のほうだ」


「早よ、申さんか。 そんなことはわかっておる」


「最初、奴は支給された木剣を持って実技試験会場までやってきた。 そして俺は、奴に俺にお前を示せと言った。すると木剣を置き『俺剣使えないんでこれで行きます』と言って素手で構えやがった。俺も最初は舐めた真似してんなと思ってだいぶ手加減していたんだが奴は見たことねぇー魔法の使い方をし始めたやがった。」


「それは、どんな魔法だったの?」


「俺は、見たとき自分の目を疑ったよ。奴の拳が燃えていやがった」


「普通、付与できるのは物にだけですよね学園長?」


「うむ、普通に付与するのであれば武器に属性を付与するのが一般的じゃが魔力コントロールを極めればできんことではなかろう」


「そういや、あいつずっと強化(ブースト)したままだったな」


「なるほどのう、できるかどうかは置いておいて原理としては理解した」


「え、学園長それってどういうことっすか? 僕には全然わからないっす」


「まぁさっきワシが言った魔力コントロールを極めればできると言ったのは、生身の状態でのことじゃ。つまりリアム・ウェルシュが使っていた魔法は強化(ブースト)の上から炎魔法を使っていたのであろう」


「でも、それって上級生クラスじゃないですか?」


「そんなこと言ったら他にもいたでしょ?」


「そうですけど、私が気になったとこはもう一つあります」


「ん? なんじゃ?」


「先輩がまとも攻撃を食らって吹っ飛んだところがありましたよね?」


「ああ、言い方はあれだがそうだな」


「それ、僕も気になりました。」


 と、他の教員達も同様に頷いてどういったことがあったのか当の本人である試験官の男――アルフレッドに視線が集まる。


「あれは、魔法じゃねぇよ。 魔力を感じなかった」


「おそらく、体術の一種じゃろう。 映像を見るに中々の身のこなし、そういう技があっても不思議ではない」


「なるほどなそれで――」


「まぁ技自体くらったのはお主が無警戒だったからとワシは思うとるがのう、アルフレッドよ」


「くッ」


「して、合否のほうはどうするかの?」


「合格でいいんじゃないんですか」


「今年は面白い子達が多いですし」


「我が国の姫、その側近、天候の創り出す者、希少魔法の鋼、空間を操る者、姿を消せる者、異能者、勇者の子息、東方の剣士、そして無手の体術使い中々に粒がそろっておるわい。 もちろん他の者達も優秀な者が多い」


「そうですね、今年も大変そうですね……」


「人ごとみたいだがお前も新入生になる奴らに教えることにならからな」


「わかっていますよ…」


「そろそろ終わりたいんじゃがいいかの?」


「す、すみません」


「以上をもって新入生の合否判定会を終了とする!」


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