新たなる挑戦
――数ある大陸にあるアカストラ王国のとある森のはずれ――
静かな森の中に今日も2人の声が響いていた。その声は小さな家が一つある場所からそう遠くないところから発せられていた。
「行くぞッ! 今日こそ一本とってやる! 」
「ああ。できるものやってみろ! 」
地を蹴り一直線に走り出し拳を前に突き出す。しかし、簡単に防がれる。それから拳の連打を繰り出すが全て防がれた。
「どうした? もう終わりか!」
「くッ! まだだ! 」
「はぁぁぁぁぁッ!!」
「ほう、強化したか。」
白い魔力が体から吹き出した。するとさっきよりも鋭い拳が繰り出される。
「これならどうだ!」
「面白い! さぁかかってこいよ。」
それから約3時間ぶっとうしで2人の男の拳の音が森の中に響き渡った。
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「はぁ…はぁ…くそッ」
「そろそろ終わりにするか。」
「俺は…まだ…やれる…!」
「よく見ろ、もう陽が傾いてる。もう終わりにするぞ。」
父の言葉で俺はようやくあたりが暗くなり始めていることに気づいた。
「本当だ。」
「おーい、さっさと帰るぞ。」
いつのまにか先を歩いている父に呼ばれ急いで俺も帰路につく。
その日は疲れていたので飯をたらふく食べ、風呂へ入り早めに眠った。
―次の日―
俺は起きると顔を洗うため外にある水場へと向かう。
すると一羽の鳥が空からこちらへと向かってきた。
「おお、手紙か。朝早くからご苦労だな」
鳥に別れを告げ2通の手紙を受け取る。そこには、俺の名前、リアム・ウェルシュと父の名前が書かれていた。
「父さーーーん! 手紙がきてるよーーー!」
「おう! わかった、こっちに持ってきてくれ。」
――もう起きてやがったか、あのオッサン
昨日の仕返しに寝起きに一発お見舞いしてやろうと思ったが起きていたので何もしないことにした。
「父さん、はいこれ。」
「おう。」
「そういえばお前今日、誕生日だったな。」
「え? そういえばそうだったな。」
「お前、もうちょっと反応しろよ。例えばな、わぁぁぁい今日は僕の誕生日だ。的な感じとかないのか?」
「いや、それはないだろう。」
「それもそうか。」
「手紙だけどな母さんからだったぞ。」
「へぇ、そうなのか。じゃあこれも母さんか。」
「それでな、俺母さんに会いに行くわ。」
「は?」
「いやな、お前今度入学試験あるだろう。だからここからいなくなるじゃんか? だから、母さんに会いに行こうと思って母さん寂しいって言ってるし。」
「でもまだ入学決まってないよ。」
「大丈夫だ!お前は剣は使えないが魔力と拳があるし、魔法だってまぁ使えるし大丈夫だ!」
「ああ、うん」
そこで父は俺にあること言い出した。
「まぁ、直接は見てやらなくなるが課題を出そう。お前が学園にいる間の目標。それは学園で頂点を極めて見ろ。それぐらいできなきゃ俺には勝てないぜ。」
「もちろん、試験まで修行はつけてやる。」
「面白い、その話乗った!!」
こうして俺は父から出された課題にのることにしたのだった。