遭遇
「はぁはぁ――ちょっと待って!」
「……ん? 何だ?」
「はぁはぁ……あなた…速すぎ…よ!」
二人はラディウスとコレットと別れた後ひたすら森をかけていた―――のだが姫様、シルヴィアが制止の声を挙げ急停止していた。
「奴の目的が分からん以上早く見つけないと最悪の結果になるかもしれないぞ」
「わかってるわ。でもこっちは魔力の流れを感じ取ってあの犯罪者の行方を探してるの!」
「わかったわかった」
そう言うリアムはシルヴィアの前で背を向けてしゃがみ込んだ。それを見るシルヴィアは目を丸くして見ていた。
「……なによ、それは」
「こっちの方がその魔力探知? ってのがしやすいだろ? 」
「…わかったわ。急ぎましょう、この間にもあの子がどうなっているか分かららないのだし。」
「ああ」
一つの問答が落ち着きシルヴィアは、リアムの背に乗り目的地を探ることになった。そして彼らは森の奥へ奥へと足を進めていった。
「…おい、まだ見つからないのか? 」
「…………………見つけたわっ!!」
森の奥へ進んでいた二人は魔力の流れが乱れているところを探し出すことに成功していた。
「…あのっ! 目的地がすぐそこなので降ろしていただけないかしら…」
「悪い」
シルヴィアを降ろしリアムが振り返るとそこには頰を赤らめていたシルヴィアがいた。
「…どうした?」
「いえ、なんでもないわ!それよりもあの建物を見て」
リアムがシルヴィアの指さす方に目をやると古びた家屋が建っていた。いかにも怪しそうで今にも崩れそうな感じだそう抱いた感想を口にしようとしたリアムだが一変して辺りに濃密な殺気が広がっていた。
「やべぇぞ! ここから一旦離れるぞ! おそらくだが俺たちのこともバレた!!」
「え! でもまだシアが!」
「なんの理由でこんなとこまで連れ去ったのかわからんがすぐにはどうしようってことはないだろ……考えられる理由はあるが…まさか!」
「はい、そのまさかデスヨ」
そこにいるはずのない第三者の声が聞こえ二人から冷や汗が流れた。そして後ろを向かずにリアムは反射的にシルヴィアを抱え声が聞こえるところから距離を取り正面を向いた。
「おやおや、初対面から嫌われマシタネ」
「…何者だ、お前」
「それは、まだ秘密というコトデ、それよりもお姫様のご友人をここまで連れ去った真の目的は………あなたデスヨ、お姫様。 あれはあなたを誘き寄せるためのエサというコトデス」
「姿を見せろ! 」
正体不明の声が突如聞こえその姿を一向に表さない第三者にリアムは苛立ちを含んだ声を発した。
「おっと、私としたことが。 そろそろ厄介な騎士が到着しソウダ、今回は失敗というコトデ、お姫様私たちはあなたの力を狙ってイマスヨ。フフフ、そうだお友達を助け出すには私が用意した余興を楽しんでからにしてくだサイネ、それでは失礼シマス。」
「一人で言いたいことベラベラ喋って消えやがった…」
「……ええ、そうね」
謎の人物の気配が消え再び静まり返った森だったが束の間激しい風が吹きまた森が騒がしくなった。
「今度はなんだ?」
リアムは周りを見渡しさっきの古びた家屋に目を向けるとその家屋が吹っ飛んだ。そしてそこから現れたのは……
「ガァァァァァァァァァァァァアアアアアア!!!!!!!!」
「なんだ!」
「くッ!」
そこから現れたのは異形の怪物だった。