約束
そこは焦げた匂いが充満し少年少女の悲鳴が鳴り響いていた。そして中央には、狂気の笑みを浮かべてた怪物が一人の少女を抱えて佇んでいた。
「ギャハハハ、もっと喰わせろ!!! その程度じゃねぇだろ!!!!!! 足りねぇ…足りねぇんだよ!!!!!!」
「くっ!」
「姫様、だめです。あなたの身に何かあれば私は…」
「でも! あの子は、私の親友なのよ!!」
「ですが相手が悪すぎます。A級指名手配犯の”魔喰い”のガルダですよ! ここは、一時撤退しましょう!」
「なんだなんだ! オハナシでもしてんのか? オレェサマも混ぜてくれよ!!!!!!」
怪物が地を蹴り獲物を狩りとるのが如く瞳に狂気宿し二人の少女に迫る。
「……ラディウス」
「おう!」
「「強化!」」
そこに二人の影がやってきて一方は剣で斬り裂き、一方は拳で打ち抜いた。
「ガハッ!!」
そのまま吹き飛ばして、怪物が抱えていた少女が手から離れた。
「あなたたちは…」
「大丈夫か? 姫さん?」
「おい、リアム! あいつ起き上がったぞ!! それにさっきと様子が違うぞ」
「ああ、明らかに何かが違う。あれはヤバいぞ。ひとまずここは引くぞ!」
怪物が起き上がりギロリと二人の影、リアムとラディウスを姿を捉えた。
「やりやがったなぁ、クソガキィ!!!!! ……今決めたぞお前らもオレェサマが喰うことに決めタァ!!!」
「…くそ。 やるしかねぇの――ぐはっ!!」
「リアム!! かはっ!!」
「ギャハハ! 大人しくしてろ今喰ってやるから――ッ!!!!!! ……おっと忘れてたぜ。こいつをもらってそのまま帰る予定だったな」
怪物が狂気と欲望に満ち溢れそれを満たそうした時怪物は突如その動きを停止させ何かを思い出したのか急に冷静になり目的の言葉を口にした。
「それじゃあ、こいつをもらって行くからな。アバヨ! 」
「あっ!!! 待ちなさい!! シアーーー!!!」
「姫様! 落ち着いて下さい!!」
「離してコレット!!!」
―――ゴンッ!!
「くそ、いてー。 ラディウス、大丈夫か?」
「あ、ああ。 どうやら剣が身代わりなってくれたみたいで大した怪我はしてない。」
リアムたちは怪物に吹き飛ばされ傷は受けたが急所に当たっておらずそれぞれ軽傷で済んでいた。そして、失意にある王女に目を向けそのままリアムは歩き出した。
「――ただ泣いてるだけか? それじゃあ連れていかれたやつは戻ってこねぇ。 お前が泣いている間にも時間は過ぎて行くんだ、後悔したってその時間は戻ってこない……」
「貴様! 姫様に向かっ――」
「いいの、コレット。私も彼の言う通りだと思う。こうしてる間にもシアが離れていってしまう。――助けに行かなきゃ。」
王女が自身を再び奮い上がらせて立ち上がりまっすぐリアムを見た。
「お願い。ウェルシュ君、私を…シアを助けて下さい。」
そう言葉にして王女は深々と頭を下げた。
「――ちゃんとそういうことできるんじゃねぇか、姫さん。 任せろ、約束だ!! 必ず助け出してみせる!」
『なぁ、知ってるか? リアム。騎士ってのはな約束したら絶対守らなきゃいけないんだぜ? 俺もいつか――』
「ラディウス」
「ん?」
「そこのメイドさんを保険室か手当出来るとこまで連れっててやれ。 血を流し過ぎてる、顔色悪いし。」
「なっ!」
「コレット。彼の言う通りにしなさい。」
「くっ! …はい。」
「それとラディウス。 騎士か先生達を呼んできてくれ。俺たちで行っても対処できるか正直怪しい。頼む。」
「わかった! 任せろ。」
こうして怪物を追うものと戦線を離脱するものと別れて各々目的地てあろう場所に走り出した。