風槍vs無手
―決闘場―
「何だと!!!!!!」
――ギィィィイン!!!
ノーテルがリアムに向けて振るった槍の一撃はリアムの腕によって止められていた。決闘場にいる観戦している者たちもノーテルと同様に驚愕していた。
「な、なんだあれ」
「素手で刃を止めただと?」
と驚愕の表情で見ている者とは違い冷静に観察している者もいた。ラディウスや姫、そのお付きとともに見ていた担任のアルフレッドだけはリアムがどうやって槍の刃を防いだのか理解していた。
「どうなっているんですか? 先生」
「私も気になります」
「しゃーねぇな。いいか? 魔法ってのは基本属性がある。それは誰にでも使用可能だ、しかし魔法は成長する。魔法を成長させれば必ずどれかの色に偏るし全部平等に伸ばそうとしても決めてが無くなる。そしてあれが無属性魔法のひとつの境地だよ。魔力を圧縮して腕に纏わせている。……あれをできるのは上級騎士クラスだぞ、一体どれだけの鍛錬を…」
だが、一方的に攻めているのはノーテルの方だった。リアムは、防ぐので手一杯で槍をかわしてノーテルの懐に入る隙はない。
槍の下段からの切り上げを脚で踏みつけるように防いだりと一向に戦況が変わらないその時だった。
「……強いな。だがここからは反撃させてもらうぞ!」
「フンッ! 何を言うかと思えば、そんな当たり前ことを!!」
リアムが攻撃に出て拳をノーテルに突き出したが真っ直ぐに突いた拳が横に流れ、そのまま空を切った。
「!!!」
「ふ、ふふはっはははは!!!!」
ノーテルの不敵な笑みをしながら高らかな笑い声を響かせる。そしてリアムの表情は驚きに染まっていた。
笑みを浮かべながらノーテルは続きの言葉を口にした。
「これが風槍と呼ばれる俺の力だ!!! 貴様がいくら攻撃をしても俺に攻撃が届くことはない!!!! ふっははははは!!!!」
「くッ!」
それからもリアムは連打を繰り出すがことごとく攻撃を晒されてしまう。一方でノーテルは相手を圧倒できて表情は喜びに染まっていた。……全くすぐに顔に出るやつだな。
「ふっははははは!!!! そろそろ飽きてきたし終わらせてやる!!」
「…ここまでか、仕方ないな」
「どうしたんだ!! 威勢がいいのは最初だけか!!!! 」
「強化……!」
するとリアムから白い光が溢れ出始める。そしてそれを見たノーテルはさっきとうって変わって驚きの表情へと変化していた。
「バ、バカな!!! しかしいくら強化と言っても俺の魔法の前では無意味だ!!!」
「何が風槍だ、俺の魔力を纏わせていない攻撃を槍の勢いと風魔法を合わせた者で強制的に外させただけだろうが」
「な、何が言いたいのだ貴様!!!!」
「つまりだ、お前の動体視力が捉えられない速さと重い一撃さえあればお前を倒せると言うことだ!!!!!!」
言葉を言い終わるとリアムはノーテルの視界から消えた。そして、目の前に現れて重い一撃を放った。
「い、いつの間に!!!!!」
「第一の拳……砕拳!!!!」
リアムの放った一撃は槍を貫きノーテルの腹に吸い込まれるように突きささった。
「ぐぼぉわ!!!!!」
そしてそのままぶっ飛んで行き壁へとめり込んだ。
「――確かにお前は強かった。だがそれだけだ…」
リアムが新入生がひとつだが歳の離れている上級生に勝ったと会場が盛り上がっている中リアムがぽつり呟いた。しかし、その声は誰の耳にも届くことはなかった。