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やがて神話の龍騎士  作者: 夜叢 雲水
第壱章 覚醒の兆し
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プロローグ

 ――これは本当にヤバい状況だ。





 古びた家の床を踏みしめ彼は瞳に写る巨大な怪物達を捉える。

 全身が硬直し、自身が呼吸しているのかわからなくなる。

 ただひたすらに脳が警報を鳴らし続けている。次の瞬間頰に熱い感覚が走る。






 ――熱い? いや、これは血だ。






  動かない身体を無理やり動こうとした時左側に強い衝撃が襲った。

 ふらつき、視界に鮮血が入る。恐らく血が流れているであろう身体の一部を見ると薄皮一枚で繋がって自身の腕があった。

 自身の血が紅色の海をつくり彼は自身の身体をそこに沈めた。






 ――もう、だめだ。





 段々と意識が薄れてゆき身体が冷たくなってゆくのを彼は感じていた。





 ――ああ、これが死ぬということなのか。





 彼は死への恐怖感じながら同時に悔しい気持ちが彼の心を支配していた。するとこの場には似合わない透き通るような少女の声が聞こえてきた。






「――して!」





「――なないで!」





「――なさい…」






 彼の耳には少女の声はほとんど聞こえていなかった。しかし、悲しんでいることは、伝わっていた。そして、彼は自身が怪物達に遭遇し死にかけている状況以前のことを思い出していた。

 生意気で乱暴な彼女が初めて自分に向かって頭を下げてきた。人のために自身のプライドを全て捨てて頭を下げた彼女に申し訳ない。なにもできずボロ雑巾のように地に横たわる自分が許せない。





 ――だから…






 ――強くなりたい…






 ――期待にこたえたい…






 ――全てを守れるようなカッコいい騎士になりたい…






  彼は今まで生きてきて自身の目標を持ちながらそれを表に出したことがなかった。そして、眼前の巨大な絶望にうちのめされ、初めて死への恐怖を味わった。

 それでも彼は心を折らずに死を抗い自身の感情を剥き出しにして己の全てをかけてただ一つの約束を果たそうとする。






  消えていた闘志が燃え上がり紅色の海に沈めていた身体を起こし、彼の渇望、願望が極限まで高まった瞬間に天から蒼い光が落ちてきた。

 蒼い光は龍の形へ変化し、彼の負傷していた身体を再生し、左肩に龍の紋章を刻み身体におさまった。

 眼に闘志を燃え上がらせながら怪物達を捉える。すると怪物達は不気味な笑みを浮かべた。





「俺が、絶対に助け出してみせる」









 彼――リアム・ウェルシュが今、龍に選ばれた。



















 





 






 

 

 

 


 

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