事件発生2
その日は意外とすぐに来ることとなった。
無線に連絡が入りモニターに情報がうつる。
「『ネイムレス対策課』に要請。現場に『名無し』を確認。至急現場に急行せよ。場所は東交差点。」
「お前ら仕事だ。場所は東交差点だ急げ!」天江さんが指示を飛ばす。
「おい、須原『バーストガール』、『クレイ』と鹿倉を乗せて現場に向かえ」
「わかりました」
ここにきての初めての現場に自然と力が入る。
「どうせたいしたことないわよ。それに『ストームウィンドウ』と『ライトくん』が向かったでしょ」
その言葉にあたりを見渡す、たしかに彼らはいない。
しかし、できるだけ現場に早く向かうのは鉄則だ。
「はやくいくぞ」 俺は3人を車に乗せ車をだした。
「あの、鹿倉さんそのケースはなんですか?」不自然に大きなケースが目につく。
「これかい仕事道具だよ。私にはこれがないと仕事ができないからね」
その時、本部の天江さんから無線が入った。
「こちら、天江。現場に片岡と『ウィンドウ』がついたそうだ、2人は現在監視位置に配備しお前らの
到着を待つ。容疑者は道路を爆発させたのち動きはなし、現場付近の一般市民はすでに退避完了。
片倉達の到着により一部を残して警察官も退避したとのことだ」
「こちら須原、了解です」
道路を爆破、人間技じゃないな。確かにそんなやつに俺含め人間なんて無力だろう。
「ほら、たいしたことないわよ。動きはないんでしょ、きっと間違えて壊しちゃっただけよ。
反省してるわ。きっと」
本当にそうだろうか。確かに動きはないらしいが、道路を爆破なんて過去の事件に比べると被害が
大きい『名無し』はやっぱり危険、それだけではすまないような嫌な予感がする。
「現場についたぞ」
道路の真ん中に『名無し』がたたずんでいた。
全身がオレンジに光りその周りに黒いチューブのようなものが巻き付いている。
無線で通信が入る
「こちら『ライトニングガイ』あいつおかしいぜさっきからピクリとも動かない」
「ちょっと私いってくるわ」
そう言い残すと『バーストガール』は飛び出していった。
「あ、ちょ、おい。こちら須原、現在『バーストガール』が接触を試みる」
まあ、得体の知れない『名無し』に関わるのはごめんだ。
「ちょっと『ダイナム』何してんのよ」
どうやら知り合いらしい彼女が行って正解だったようだ。俺の不安も杞憂に終わりそうだ。
その時、突然『ダイナム』と呼ばれる『名無し』が叫んだ。
「姐さんですか、はやく離れてください。俺は罠です仲間に引き合わすための。
お、おれは・・仲間に・・迷惑を・・・かけたく」
そこまで叫ぶと彼の体のは光が強くなる。
「ちょ、ちょっとどうしたのよ」
光を放つ体が内側から膨らんでいく。
驚きださっきの2倍ほどまで膨れあがった。これも『名無し』の能力なのだろうか、、
「な、なんなのこれ!?」
彼女の反応を見る限り違うらしい。
「ぐがーーーーー」
「こちら須原。天江さん容疑者、抵抗をはじめました」
「こちら天江。了解した。取り押さえろ」
取り押さえるといったって、無理だろ。だが自分にできることをしよう。
「『バーストガール』やつのことを知っているんだろ、何かないのか」
「こんなことはありえないわ。『ダイナム』はダイナマイトのように爆発させるだけで、こんな姿みたことも」
くそ、どうしたらいいんだお手上げだ。
「俺に任せてください」
無線で『ライトニングガイ』から通信が入る。そして目の前に何かが落ちてくる、
ロボットだろうか『名無し』ではない、明らかに機械だ。
「おまえ片岡なのか?」
「いや俺は『ライトニングガイ』だ」
そういうと『ライトニングガイ』は地面をすべるように向かっていった。
「天江さん、あれなんなんですかロボットですか?」
「あれはな前に言ってたあいつの両親の研究であり遺品だ人を『名無し』に近づける
ものだそうだ」
こんなものがここには配備されているのか、他の部署では聞いたことがないぞ。
『ダイナム』が地面に手をつけると爆発がおこり煙がまいあがり瓦礫が『ライトニングガイ』に
飛んでいく、それを縫うように躱し手の平を『ダイナム』に向けるすると手から閃光があがった。
電気だ。
電気が絶縁体の空気を裂くということは相当な高電圧だ、常人なら即死だ。
電気が『ダイナム』を打つと爆発をおこした。
さっきの、爆発より明らかに大きい。
「ダメです、あいつ全身が信管みたいで炎とか電気あてると爆発します。」
爆発に巻き上げられた瓦礫が飛んでくる。
「危ない!」とっさに近くにいた『クレイ』を庇う。すると突然、突風が吹き荒れる。
何が起こったのかわからなかったが助かった。
ふと空を見上げると空を飛ぶ影がある『ストームウィンドウ』だどうやら彼が助けてくれたらしい。
目の前では、『ライトニングガイ』と『バーストガール』が爆炎を見つめている。人影がみえた。
『ダイナム』だ特に傷ついたようには見えない、やはりここは引くべきか、しかしそれでは町に被害が及ぶ、逃げるわけにはいかない。
「と、とりあえず『クレイ』は車の後ろに隠れてて」
いくら『名無し』とはいえ12歳の少年を巻き込むわけにはいかない。
再び、『ダイナム』をみるがさっきと何か違うような気がする。違和感がある。
「どうすんだよ、これ!攻撃したら爆発するし、さっ、」
前の2人は距離を取りつつ爆発と瓦礫を回避している。道路はめちゃめちゃだ。
「そうか、大きさだ!少し小さくなっている」
違和感の正体だ電気に打たれる前と後違いは体の大きさだ。
「じゃあ、俺の雷で打ち続ければいいんですね!」
「まて、さっきの一発であの爆発だそれを何度もはむりだ」
「じゃあどうすんだよ!」
それを今から考えるんだよ。しかし、早く考えないと突っ込みかねない。
「私に任せてくれないか。私なら安全に爆発させられる」
口を開いたのは鹿倉さんだった。しかしその姿もまた俺の知ってる人の姿ではなかった。
背中に乗せた2つのタンク、中身は液体のようだ。そのタンクをつけたスーツとその手の上についた噴射口。まるで消防車のホース口のようだ。
「私はシャボン玉を操れる硬さ大きさは自由もちろん簡単には壊れません。ただ遅い、少し時間を稼いで
くれれば捕まえられます。そのなかで爆発させてください」
そういうと噴射口からたくさんのシャボン玉が噴き出す。確かに漂うかのようなスピードだ。
これではさすがにつく頃には道路は壊滅だ。それに爆風に流される。
「『ストームウィンドウ』さん風で流せませんか?シャボン玉」
彼は答えることはなかったが、風が吹き荒れる。
シャボン玉は『ストームウィンドウ』の風に流され爆風に逆らい宙を漂う。
「これ以上は無理です」シャボン玉は『ダイナム』の上に浮いている。
「これここからどうするんですか?」鹿倉さんにといかける。
「い、いやどうするんですかね?あそこまで来てくれれば囲めるんですが、、」
「「「う、ウヴァアアアァ」」」
こんなことをしてる間にも『ダイナム』は2人に攻撃を続ける。
「あそこまで運ぶっていったってそんなの無理だろ」
その時、視線の端に何かがうつった。土人形いや『クレイ』だ。
「あ、危ないって」
そんな俺の言葉を無視して『クレイ』は前に出た。
ゆっくりと横に体を揺らしながらゆっくりと進む。そして急に立ち止まり右手をゆっくりとあげる。
すると『ダイナム』の下の地面のみが持ち上がる。
「届いた!」
シャボン玉をじゃなくて地面を近づける人間にはできない発想だ。
それに空中なら周りに爆発させる物もない。
「それではいきます」
漂うシャボン玉が集まりだし『ダイナム』を囲むようにたくさんのシャボン玉が1つまた1つとくっつき大きな1つのシャボン玉になった。
「囲んだ!でもこれ浮いてるのはいいんだけどどうやって爆発させるんですか」
「任せてください」シャボン玉の一部に穴が開く。おかしいどう考えてもありえない。
電気を放つスーツこれは頑張ればまだ理解ができる、しかしこんなことがありえるのか?
人間の技術を超えている。
でも鹿倉さんはどうみたって人間だよな、それとも『名無し』なのか?
しかし、今はそんなことばかり考えてもいられない。
「やれ『ライトニングガイ』!」
ライトニングガイの手が光を放ち、シャボン玉の穴に吸い込まれ、シャボン玉の穴はとじた。
「ぼんっっ」シャボン玉の中が煙に包まれる。なんであれで壊れないのだろうか。
シャボン玉がとけ煙が晴れる。『ダイナム』の姿はどこにもなかった。全身爆発してしまったのだろうか。
その後、道路は封鎖され、
彼を知っていた『バーストガール』は事情聴取を受けることとなった。
様々な疑問を事件と俺の心に残しこの一連の事件は解決した。