第一章 七話「セントラント魔法城下町の攻防」
壊滅的打撃を受けたセントラント魔法城下町。女王の力を持っても、多くの魔物の進行を抑えるのは困難だった。
その中、地中から出てきたのはデスタイアント。上級変異魔物を前に対抗策に悩むアスラオスとシオン。
そして、一つの対抗策を導きだす。
「グギャアアアアアアアア!!!」
デスタイアントの咆哮が響き渡る。
「アスラオス、あれ…」
シオンがアスラオスの頭の中に話しかける。
「あぁ、デスタイアントだ」
「どうするの?」
「倒すしか無いだろっ!」
アスラオスは高く跳躍し、サーベルを抜く。
「はぁ!」
アスラオスはサーベルでデスタイアントの触手を切断する。
「よし、これで残りの触手も…」
アスラオスが他の触手を狙おうとした時。切断されたデスタイアントの触手の断面から骨が伸び、身が再生し、切断されたはずの触手が復活した。
「そんな… 嘘だろ…」
アスラオスが唖然としている時、触手がアスラオスの横腹を殴る。
アスラオスは吐血し、遠くへ吹き飛ばされた。
「今度はこっちよ!」
シオンがD51をデスタイアントと平行の位置につける。D51の車体に複数の魔法陣が生成され、中規模の魔弾を連射する。
魔弾がデスタイアントに着弾する。魔弾の数が多いため、土煙がデスタイアントに姿を隠す。
「こ、この魔弾の数なら…」
シオンがそう呟いた時。土煙を抜けて一本の触手がD51に接近する。
「な!?」
シオンは高速で接近する触手に対応出来なかった。
「シオン!危ない!!」
アスラオスがD51に近付く触手を間一髪で切断する。触手から溢れる血がアスラオスのサーベルを赤く染め上げる。
「ちっ、また再生してる…」
アスラオスはサーベルについた血を振り払う。
「ねぇアスラオス」
シオンがアスラオスに話しかける。
「再生するなら、再生される前に倒せないの?」
「でも、俺はそんなに高火力の魔法は習得出来てないぞ?」
「私がなんとかする。アスラオスはデスタイアントの注意を引き付けて」
アスラオスはそう言われると、サーベルに魔力を込めてデスタイアントに突っ込んだ。一方シオンは、D51の正面をデスタイアントに向け、大規模魔法の準備を始めた。
「せめて… ギリギリまでは持ちこたえないと…!」
アスラオスはサーベルに魔力をさらに込め、魔法を行使する。
「サイレントブレイク…」
アスラオスとデスタイアントの周辺に霧が発生する。そして静かに、素早いサーベルの一撃が連続してデスタイアントの触手に突き刺さる。
「この深手なら再生は…」
サイレントブレイク。隠蔽魔法と連撃魔法を掛け合わせた、アスラオスの創作魔法。高威力かつ連撃。そして相手の視界をも奪うアスラオスの必殺魔法を持ってすら、まだ敵わない。
デスタイアントの触手はまたしても素早く再生。数秒しか妨害出来なかった。
「くそっ、こうなったら…」
アスラオスはサーベルを体正面に構え、唱える。
「エンゲージ…」
アスラオスの目が紅くなり、身体中から魔力が溢れる。溢れる魔力は、サーベルごとアスラオスの身体を包み込んだ。
アスラオスはデスタイアントに向け一歩を踏み出す。そのサーベルの刃は、紅く輝いていた。
皆さん、おはようございます、こんにちは、こんばんは。
今回は戦闘回です。これからも、いろんな要素を入れていこうと思います。
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