騒音
白馬に乗った王子様、なんて洒落たものは望まない。
私の頭だってそこまでお花畑じゃない。
重々承知だ、私だって、現実問題恋人のする行為の存在は知っている。
それをネタにして話したことだってある。
それでも、恋愛の理想像はある、女性だ、それくらいあったっていいじゃないか。
大好きな人と、大好きな人の大好きなものの話を聞きながらのんびり過ごす。それが一番良かった。
だから、それいじょう、さきにすすめるな。
待って
喉が死んだみたいに音を発さない
整理させて
願うのに目の前のトモダチは興味深そうにつっこんでいく。
同じ文章なのに、余りに痛みの違う
「――が、まさかヤるなんてね」
友人の、伝えた言葉の重みが、こんなに違うのか
目の前でペラペラ言われたら、私もいえなくなってしまう。
目の前で同じ文章を言われたら、私がそういえなくなるだろ。
だから黙れ、黙れ、黙ってくれ、頼むから!
怒りと苛立ちを全部困惑で誤魔化して、目の前では
「突然の事実の告白に困惑した人間」
に徹した
下手に口を出せば、自分の心が踏みにじられる
下手に怒れば、空気の読めない嫌な奴と罵られる
それがわかっていたから。
苦しい、悲しい、全部に蓋をした、それを全部思考停止の中に盛り込んだ。
そうして、私は、この場をやり過ごすほか、なかった。