翌日のお礼とプロローグの終わり
『壊し過ぎ』。
それが、フドウの今回の実地の成績の総括だった。
大穴が開いた外壁。
切り裂かれた床とカウンター。
崩落した天井。
瓦礫と化した内装。
粉々になった証拠品。
9割9分までフドウの仕業では無かったが、それについて弁明する気も気力も彼には無かった。
「……疲れた」
翌日になっても、朝からぐったりと机に突っ伏しているフドウである。
こんな状態になっても、朝一番に教室に出てきているあたり、大概生真面目であると我ながら思う。
昨日の気怠い放課後のままの、蟠った空気を入れ替えることもせずぐだぐたとしていると、不意に教室の扉が乱暴に開いた。
「居るではないか、戦闘科。なんだこのだらけた空気は!? 換気くらいしろ、せっかくの朝だ!」
あああ今日も朝からテンション高い、と、フドウが思ったのは無理もない事であろう。
『おとうさま』ーーヴァーナの気遣いとヨルムの処置があってか、脳みそを揺らされたにもかかわらず、昨日の今日で後遺症もなく元気いっぱいのリルローズに、フドウは一度はあげた顔を再度机に埋めた。
がら、とアルミサッシの窓枠ががたつく音がする。
さあと入り込んでくる上澄みのような朝の空気に、幾分気持ちが引き締まった。
しかし、まだ顔を上げるのは面倒くさい。
何言われるのか分かんないし。
フドウの逡巡を察したのか、机の前まで来て、そこで何事かためらう空気があった。
しかしやがて、意を決したように、風を切って振り下ろされた手が、机に何かを置いた。
こん、と言う軽い、何処か懐かしい音。
フドウが顔を上げると、目の前まで来ていたリルローズが勢いよく飛び退いた。
「勘違いするなよ! 昨日は厄介を掛けてしまったからその詫びだ! お前にだ! あの痴漢には間違ってもやるなよ?! いいな?!」
一息に言って、フドウの返答も待たずにリルローズは部屋を飛び出していった。
ーー目の前に、青い、ヒモともリボンともつかない飾りをつけられた小さな包みが一つ。
広げてみると、小ぶりな、歪なクッキーが7枚。
「……甘苦」
1枚、口に放り込んで。
残りの6枚をフドウは崩さぬようにそうっと鞄の中にしまった。
毎日更新の弾がつきました。
一応こんな感じの話しになりますので、感想等ありましたらよろしくお願いします。
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