表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/36

5話 校内でバーベキューをやっているのは誰?

 現在は夏休みで今日は土曜日です。

 土曜日にもかかわらず校内には部活動や二者面談・三者面談のため、学校にきている生徒や保護者が結構います。

 本話は3件中継でお送りします。



 *



 こちらは音楽室の1カメです。

 音楽室には10人くらいの部員がいるため、現在は部活中だと思われます。

 この部屋の1つのイスの上に金管楽器のホルンが、もう1つのイスにはソプラノサックスが置いてあること以外は部員は全員いるようです。


「んー……。なんか、美味しそうな匂いがするね」

「あーん、おなかすいたー!」

「私もー」

「校内で美味しそうな匂いを放っているのは誰ですかねぇ?」


と部員達が少し水分を取りながら会話しています。

 時には水分補給もいいですが、部員達は話している余裕があるのでしょうか?

 吹奏楽コンクールの日が近づいているはずですのに……。

 以上、1カメでした。

 2カメに渡します。



 *



 こちらは3年5組教室の2カメです。

 こちらは現在、三者面談中でして、そこには制服に黒いストラップを女子生徒とその女子生徒の母親、1人の先生らしき女性がいます。

 その女性は理科の先生みたいで通常は白衣を着ていますが、今日は着ていない模様です。

 机の上には大学や短期大学、専門学校のパンフレットはもちろんのこと、就職志望者のための求人票が置いてあります。

 そのうちの数冊は生徒さんが持参してきたものであろうパンフレットが彼女の前に置かれています。


「えーと……紫苑さんの高校卒業後の進路はどうされますか?」


と先生はその親子に問いかけました。


「紫苑は進学だもんね」

「うん。私は進学を希望します。第1志望は○○大学の教育学部で第2志望○△短期大学の……」


 紫苑さん親子が答えます。

 紫苑さんが志望学校を言っているのを被せるように、


「あの先生、なんか、美味しそうな匂いがしてきますが……」


と紫苑さんの母親が先生に言いました。


「美味しそうな匂い?」


 紫苑さんと先生は首を傾げながら言いました。

 以上、2カメでした。

 3カメに渡します。



 *



 こちらは中庭の3カメです。

 ここにいるだけで汗だくになっていますが、水分を取りながら頑張ってカメラを回しています。

 その美味しそうな匂いを放っているのは誰か? と思っている人がいらっしゃると思うので、答えますね。

 それは先生達です。


「わあー! 美味しそう!」

「ハイ。うらら先生、今田先生」


と柴山先生が皿に適当に盛りつけています。


「ワーイ、ありがとう。柴山先生!」

 今田先生とうらら先生は柴山先生が盛りつけた皿を受け取り、食べ始めました。

 何気に呑気な先生達ですね。

 以上、3カメでした。

 1カメに渡します。



 *



 再び1カメの音楽室です。


「誰だよ!? 生徒に黙って呑気にバーベキューをやってるのは!?」

「先生達じゃないの?」


 その時、音楽室に吹奏楽部の顧問の先生である福山先生が入ってきました。


「福山先生、さっきからバーベキューらしきものをやってるのは誰ですか?」

「実はね……。先生達がやってるんだよ」

「やっぱり……」

「やっぱりな……」


 その通りです。

 呆れ模様の部員達でした。

 以上、1カメでした。

 再度、2カメに渡します。



 *



 再び2カメの教室です。

 少し時間をおいた間に面談が進んだ模様です。

 最終的には紫苑さんは進学する方向で決まりました。

 ところが、


「もう! バーベキューをやってるのは誰ですか!?」


と紫苑さんの母親が怒ったように言いました。


「実は私達、教職員がやっています」


と先生が照れくさそうに言いました。


「なにょーっ!?」


 紫苑さんと彼女の母親が教室中に響き渡るような声を出しました。


「というわけで、三者面談を終わりにします」

「先生、今日はありがとうございました」


 1組の親子が教室から出て、先生は書類や学校のパンフレットなどを片付けていましたので、おそらく今日の面談は終わったのでしょう。


「私も中庭に行ってバーベキューを食べに行こう!」


 そして、彼女は教室から出ました。

 以上、2カメでした。

 また1カメに渡します。



 *



 またまた1カメの音楽室です。


「えっ、バーベキューは先生達の分しかないの?」

「先生、おなかペコペコだよ」


と音楽室では部員達からのブーイングが飛び交っています。


「すみません! 面談終わりました!」


 その時、先ほど教室にいた紫苑さんが音楽室に戻ってきました。


「おっ、夏川は面談だったんだね!」

「ハイ。ところで、今日はソプラノは使いますか?」

「んー……一応準備しておいて」

「分かりました」


 一番最初の方にイスの上にホルンとソプラノサックスを置いていったため、楽器は少し冷えています。

 紫苑さんはホルンを構え、少し音を出して温めます。

 そこで、紫苑さんのクラスメイトの女子生徒が、


「紫苑、聞いてよ! 教室からも気づいたかもしれないけど、先生達がバーベキューをやってるんだって!」

「私も春原先生から聞いたよ。バーベキューをやってるのは本当だったんだ」

「教室からも分かったかぁ」

「そりゃ、ここにいても分かるもんね」


と話していました。

 福山先生が、

「ハイ、話はおしまい! さて、何回かコンクールの曲と学校祭の曲を合わせて、今日は終わりね」

「ハーイ」

「あっ、夏川は音出しは大丈夫?」

「ハイ、ホルンは大丈夫ですが、ソプラノはまだできてません」

「じゃあ、コンクールの曲を始めるよ! ソプラノの方はあとででもいいや」

「ハイ!」


 今回の吹奏楽コンクールの曲は約5分くらいの長さなので、合奏はすぐに終わった模様です。

 一方、学校祭の曲は紫苑さんのソプラノサックスの準備の関係上、少々時間がかかりましたが、やる曲はすべて通し練習ができたみたいです。


「今日はおしまい! みんな、お疲れ様ね! 気をつけて帰ってね!」

「ハーイ、お疲れ様でした!」


 部員達は楽器を片付け、音楽室から出て行ったあと……。


「私も急いで中庭に行かなくちゃ!」


と言い、福山先生は急いで音楽室から中庭へ移動し始めました。

 以上、1カメでした。

 3カメに渡します。



 *



 こちらは中庭の3カメです。

 あのあと参加する先生がおり、今のところは10人程度です。

 しかし、バーベキューの材料はまだたくさん残っています。


「他の先生の分も焼く?」


と柴山先生がうらら先生達に問いかけました。


「他の先生の分? うーん……そうだね……。伊澤先生とかかな……。」

「あっ、春原先生と福山先生がきたよ!」

「本当だ! オーイ、春原先生、福山先生!」

「ハーイ! 遅くなってすみません。さっきまで三者面談やら部活やらだったので」

「そうなんだ。ハイ、春原先生、福山先生」


 柴山先生が彼女らに適当に盛りつけられたお皿を渡しました。

 焼きたてのお肉や野菜が湯気を立てていますね。

 とても美味しそうです。


「ありがとうございます」


 彼女らはそれを受け取り、食べ始めました。

 そして、その後に伊澤先生や他数人の教師達が中庭に集まり、彼らは楽しい時間を過ごしたのでありました。

 以上、3カメがお伝えしました。



 *



 ありがとうございました。

 1から3カメさん、お疲れさまでした。

 これを持ちまして3件中継は終了です。

 今回はベルモンドの出番はなく平和な1日でしたね。

 これから先、まだベルモンドが絡む事件が起きるかは分かりません。

 これからも平和な日々が送れることを願いましょう……。

2014/10/12 本投稿

2015/08/12 改稿

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

その他の作品はこちらから(シリーズ一覧に飛びます。)

cont_access.php?citi_cont_id=424034385&size=200
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ