エピローグ〜すべての終わりを告げる時……〜
【作者より】
2016/06/05
最終話②である「2.『悪魔バージョン』 悪魔な彼女と勇者の彼らがすべてを終わらせる」の削除に伴い、1話分繰り上げています。
ブックマークのしおりがおかしくなっていますので、ご了承ください。
ここは保健室。
そこには4人の男女がいた。
さて、彼らはどうやってここまで運ばれてきたのだろうか?
ベッドには2人おり、1人は女性、もう1人は男性だった。
彼の枕元には眼鏡が置いてあった。
他の2人はイスをいくつか置かれたものに横になっている男性と、ソファーに横になっている女性である。
彼らは制服やスーツとかではなく、黒系の服を身に纏っており、怪我したところはすでに手当てがされていた。
「ん……。ここは? なんか、寒い……」
ベッドにいた女性が目を覚ましたようだ。
彼女はふと、隣のベッドを目を細めて見た。
よく見たら、男性のようだ。
「あ、冬井戸先生……」
「あれ、誰?」
「先生、眼鏡かけてください! 眼鏡」
「あっ、すまないな」
冬井戸は眼鏡をかけると、
「あれ、夏川? なんで、夏川が保健室にいるんだ?」
「それは私が訊きたいです!」
*
一方、ソファーに横になっていた女性は……。
「ここはどこ?」
先ほどの女性と同じことを言っていた。
彼女は起き上がり、辺りを見回すと……。
「うわぁっ!」
そこには意外な人物がいた。
「冬井戸先生、夏川、秋山先生! どうしてこんなところに?」
「そのセリフ、そのまま返しますよ」
「私もです」
「俺も」
他の3人は揃って同じセリフを言っていた。
なぜ、この4人だったのかは永遠の謎ではあるが……。
*
時は流れ……。
ついに、卒業式の日となった。
クラスメイトと会えるのも泣いても笑っても今日で最後……。
教室には左胸にコサージュをつけた33人の3年5組の生徒達がいた。
*
卒業式が始まった。
「これから、平成27年度卒業証書授与式を始めます。卒業生入場」
カノンの音楽に合わせて3年生が入場していく……。
そして、順調に式が進み……。
「卒業証書授与。1組……」
1組から順番に生徒達の名前を呼んでいく。
5組は最後なので、泣き出す人も続出した。
「5組……。以上、男子95名、女子80名、計175名」
*
無事に卒業式を終え、生徒達は卒業証書や卒業アルバムを受け取った。
「この3年間、いろいろあったよね」
「特に今年1年間は楽しかったね」
「うん! でもみんなと分かれたくないよぉ……」
と彼女らは卒業アルバムを見ながら3年間を振り返っている。
その時、教室のドアが開くと袴姿の春原と背広姿の秋山が入ってきた。
「みんな、改めて卒業おめでとう! この1年間はもちろん、3年間はどうだったかな? 私からみんなに写真をプレゼントするね!」
と言い、彼女は1人ずつ名前を呼んで写真が入った封筒を手渡していった。
生徒達は思わず驚いたり、それを受け取り泣き出したりしていた。
「先生、行事のたびに写真を撮っていたのはこのためだったんですね……」
「その通りだよ。夏川」
「実は私達からも先生にプレゼントがあります」
3人の女子生徒が教壇にいる春原と秋山のところに向かった。
彼女らの手には花束とプレゼント、そして、色紙を持っていた。
「春原先生、秋山先生、1年間ありがとうございました!」
「みんな、ありがとう……」
「ありがとうな」
生徒達から花束などを受け取った春原は涙をこぼし、秋山は彼女らに微笑みかけたのであった。
これが最後のホームルームだった。
こうして、彼女らはこの高校を卒業していった……。
たくさんの思い出を胸に……。
次回は『作者あとがき』です。
あと1話だけお付き合いください!
2015/05/06 本投稿
2015/08/15 改稿
2016/06/05 前書き追記




