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不思議な事件が起こる学校で【原作版】  作者: 楠木 翡翠
10章 1月・2月 2ヶ月の経緯〜平和な遠足、予餞会はラストバトル?〜
33/36

27話 俺と彼女の秘密作戦会議

【作者より】


前話から更新されている3話分はキャラクター視点 で執筆しております。


本話はロレンス視点です。

 俺とベルがテラスにきた時、ネオンとラントがコーヒーを飲んでいたらしかった。

 きっと、その時に彼女らは何か話しながらそれを飲んでいたに違いない。


「もしかして、男性の前では言えない秘密でも話していたんじゃないのか?」

「俗に言うガールズトークというものか?」


とベルはおそらく嫌味で、俺は少しからかい混じりの意味を込めてネオンに問いかけてみた。

 彼女は絶対に内心、焦っていただろう。

 外見では涼しい顔をしているが、実は中身はおっちょこちょいだから、人は見かけによらないなと思う。

 むしろ、それが面白い。


「ちょっとね……。2人はコーヒーは飲む?」

「あぁ」

「是非お願いする」


 俺達は彼女にコーヒーを淹れるよう頼んだ。

 彼女が給湯室に行った時、俺は何年か前のことではあるが、はじめて一緒にそれを飲んだ時を思い出していた。



~回想~


「ハイ。コーヒーを淹れてきたわ」

「あぁ。ありがとう」

「そういえば、ネオンはコーヒーに砂糖とミルクを入れないんだ?」

「え、えぇ。私は甘いコーヒーは好きじゃないの」

「そうなんだ。でも、眠れなくなっても知らないぞ?」

「分かっているわ」


~回想、終わり~



 彼女は給湯室から出、テラスに向かって歩を進めていく。

 彼女がそこに着くとテーブルに全員のカップにコーヒーを淹れていく。

 彼女は相変わらず砂糖とミルクを入れないブラックコーヒーを愛飲する。

 それは昔も今もそして、これからも分からないであろう『永遠の謎』である。

 俺はふと何かを思い出したかのように、彼女に話しかけていた。


「なぁ、ネオン」

「何?」

「お茶が終わったら、ちょっと散歩に出かけないか?」

「たまにはいいわね」


 彼女は喜んでOKしてくれ、脚を組んでいたらしく、すぐに立てるような体制を取ってくれているようだ。

 その時、ベルとラントがそんな俺達を見て不思議そうな表情を浮かべていた。

 俺が彼女のことが……ってことになって誤解を受けてしまう。


「オイ、行くぞ!」

「えっ!? もう行くの?(……。今のロレンス? それとも違う人?)」


 俺は思わず彼女の手を掴んでしまった。

 次の瞬間、彼女の細くて長い指が俺の手首に巻きつき、その場をあとにした。



 *



 数分後……。

 彼女の黒のヒールと俺のブーツで必死に走り、無事に外に出ることができた。

「な、なんで、走るのよ?」

「す、すまない……。ベル達が怪しい目で見てたから。足にマメできてないか?」

「今のところは痛くないから大丈夫よ」


 そんなやり取りのあと、俺達はゆっくりと散歩を始めた。



 *



 散歩を始め、数秒が経たないうちに、彼女は突然、歌を歌い始めたが、俺もつられて1フレーズずつ歌った。

 最後まで歌いきった時にベンチが現れ、そこに俺達は距離を置いて座る。


「ねぇ、ロレンス。このお散歩には何か目的があるのかしら?」

「え、も、目的? うん、目的はある。ネオンはベルに反発とかしたいと思ったことはあるかい?」


 彼女はストレートに俺に問いかける。

 俺はあまりにも突然すぎたため、少ししどろもどろになってしまった。


「何回かは思ったことがあるわ。ということは……。ベル達を敵に回すということ?」

「その通りだ」


 その時、俺は彼女に少しずつ近づいていく。

 今の俺の心境は彼女と……じゃない、俺は彼女を味方につけ、ベル達を敵に回す。

 そのことに是非協力してもらいたいということを彼女に話した。


「ふーん」


 彼女は興味なさそうだ。

 はぁ、どうすれば……と思ったやさき、強風が吹き、彼女の言葉を妨げてしまった。

 その口の動きからして、


『面白そうね! 協力するわ』


と言っているようだった。

 あとから実際に訊いてみたところ、本当に彼女は言っていた。


「では、秘密作戦会議だ!」

「そうね。始めましょう!」


 俺達はしばらくの間、ベンチに座りっぱなしで話し込んでいた。



 *



 数10分後……。

 俺達が決めた秘密作戦は……。

 1つ目はベル達の飲み物に睡眠薬の入れる。

 2つ目はこれはいけないだろうと思うが、彼らの武器を盗む。

 3つ目は戦闘中に俺達が過去に使ってきた武器を使う。

などと、くだらないが、いろいろな案が出てきた。


「なんだか、面白くなってきたぞ……」

「そうね。確か……この高校の学校関係者がいなくなるのは午後である5、6限目の予餞会(よせんかい)の時間ね……。場所は教室棟や第1体育館はいけないと思うから第2体育館は誰にも見つからないし安全だと思うわ」

「そうだな……。流石(さすが)だなネオンは……」


 といういきさつで俺達の秘密作戦会議を兼ねた散歩は終了した。

 ベル達がいるところに戻る時、俺はまた、彼女の手を掴んでしまったが、彼女も遠慮なく、手を掴んでくれた。



 *



 彼らのいるところに無事に到着したらすでにコーヒーカップとかは片付けられていた。


「あっ、ネオン達が帰ってきた! おかえり」


 よかった……。

 ラントはいつも通りだ。


「ただいま」

「結構、長い散歩だったんだな」


 一方のベルは少し刺々しい言い方だったので、やはり変な目で見られたのか……。


「ちょっと話し込んじゃったのよ。ねぇ、ロレンス」


 ネオンは冷静さを装っていたが、内心焦っていたと思われる口調だ。


「あぁ、まぁな……」


 その通り。

 話し込んでしまったのは事実だ。

 俺も彼女と同様に冷静さを装った。



 *



 数分後……。


「うふふ……」


 突然、ネオンが笑い出した。

 先ほどとは違い、まるで、すべての人間を敵に回したような冷酷な笑みを浮かべていた。

 その時に、彼女を囲むように漆黒の魔法陣が現れ、黒のドレスを身に纏い、手にはバトンらしきものを持っていた。


「ネオン、どうしたの?」

「ロレンスに変なことされて怒っているのか?」


 ラントとベルが心配そうに言うが、ベルのは余計だ。

 俺は何もしていない。

 よって、無罪さ……。

 今はそれどころではない!

 俺は本当に冷静になって、


「(まず、目つきと服装が違う……。)漆黒の魔法陣とバトン……。今、彼女は暴走している」


と彼らに告げた。


「暴走?」

「そうだ」

「誰が暴走していると言うのかしら……? いいわ。この私がすべてを変えてあげましょう……」


 ご覧の通りに彼女はバトルの前に暴走を始めてしまった。

 その原因を作ったのは誰だか知らないが、俺には関係ないとは思うのだが……。

2015/05/03 本投稿

2015/08/14 改稿

2016/06/05 パターン2削除

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