26話 温厚主義の彼女と冷酷主義の私
【作者より】
前話から更新されている3話分はキャラクター視点で執筆しております。
本話はネオン視点です。
うざったい……。
なぜ、私がうざったく感じている原因は突然、私の前に現れた女性であるラントがいるから。
全くベルは一体全体どういう趣味をしているのだろうか?
私はそれが1番知りたかった。
私は今、給湯室におり、2人分のコーヒーを淹れる。
「もっと、彼女より冷静な人間がいるはずなのに……」
私はできる限り本音は漏らしたくはないけど、こればかりは少し呆れていたため、ついに漏らしてしまった。
私とラントの性格が正反対なのになぁ……。
*
給湯室から出て、私はラントが待っているテラスに行き、コーヒーと一応準備しておいた砂糖とミルクを彼女に差し出す。
私も自分の分を手に取る。
「ねぇ、ネオン?」
ラントは長い茶髪を風によって揺らされながら、砂糖とミルクを入れ、スプーンでかき混ぜながら私に問いかけた。
「何?」
私も彼女ほどではないが、ある程度伸ばした黒髪を風に揺らされながら、ブラックコーヒーを1口飲む。
私は彼女と違って、砂糖やミルクが入った甘いコーヒーは好きではない。
よって、このほろ苦さが好きなのだ。
「あなた、冷酷主義?」
え、えっ?
なんですか、レイコクシュギって?
何、それは美味しいものなのかしら?
本当にはじめて話した時に感じたけど、彼女は突然何を言い出すか分からないわね。
私は口に含んだコーヒーを危うく吹き出しそうになりかけた。
「わ、私からも訊くけど、貴女は温厚主義なのかしら?」
きっと、そちらもオンコウシュギって何? ってなるかと思っていたんだけど……。
「うーん……」
アレ? 彼女は至って冷静だった。
私は改めて、
「なぜ、私が冷酷主義なのか教えてくれないかしら?」
と問いかけた。
「なんかね、ネオンはクール過ぎというか、怖いんだもん」
「率直な意見をありがとう。よく周りから言われたりしているわ。少し前には気取っているんでは? と言われたこともあったし……」
「ふーん……。そのことに自覚してる?」
「え、えぇ。では私からは貴女のことを。簡単に言うけど、貴女は今時の女性ね」
「なるほど。私もよく言われるから、自覚してるよ」
*
そんなこんなで2人で話していたら、ロレンスとベルが私達のところにやってきた。
「2人で何を話していたんだ?」
「もしかして、男性の前では言えない秘密でも話していたんじゃないのか?」
「俗に言うガールズトークというものか?」
彼らは私に問いかけてくる。
ベルの男性の前では言えない秘密って言うのが、嫌味で言っているのかは分からないけど……。
「ちょっとね……。2人はコーヒーは飲む?」
「あぁ」
「是非お願いする」
私は席を離れ、給湯室に追加分のコーヒーを淹れる。
その間に、私は少し歌を歌っていた。
その時、あるフレーズに何かが引っかかったような気がした。
私達はそんな運命だったのかな……?
誰かによって操られているのかな……?
とそんなことを思っていた自分がいた。
ふと気づくと、かすかにではあるけど話し声が聞こえてきた。
「なんか、歌が聞こえてくる」
「多分、ネオンだろうな……。あの歌を歌ってるからさ」
「へぇー……。ところで、ネオンはコーヒーに砂糖とミルクを入れてなかったけど、苦くなかったんかなぁ……?」
「俺も彼女にはじめて会った時からすでにブラックコーヒーを飲んでいたから、気にしなかったけど」
「確かに。甘いコーヒーは好きじゃないとか言ってたぞ」
「そうなんだ」
あっ……。
やっぱり歌は聞かれていたみたい。
それから、出会った時の話かな?
私は少し安心したような気がした。
20歳になったのに大人げないなと思っている私。
最初は私は彼女がうざったがっていたけど、今までのは独断的な考えだったのかは分からない。
肝心な彼女は私がどう思えてきたかは分からないけどね……。
2015/04/28 本投稿
2015/08/14 改稿




