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不思議な事件が起こる学校で【原作版】  作者: 楠木 翡翠
10章 1月・2月 2ヶ月の経緯〜平和な遠足、予餞会はラストバトル?〜
31/36

25話 彼女らを召還しました

【作者より】


ここから更新される3話分はキャラクター視点で執筆しております。


本話はベルモンド(ベル)視点です。

 今までは自由登校期間のため、静かだった1階にある3年生の教室に賑やかな声が戻ってきた。

 3年生のどのクラスの生徒達は少しわくわくしている様子だ。

 なぜなら、今日は彼らにとって高校生活最後の行事である予餞会(よせんかい)の日であるからだ。



 *



 さて、朝のショートホームルーム前の1階の1番奥の教室である3年5組を覗いてみるとしよう。

 このクラスは女子生徒がざっと30人くらいおり、男子生徒が2人しかいない。

 よって、ハーレムだ。

 えっ、間違っている?

 ハーレムは女性がたくさんいる中で1人だけ男性ということ?

 間違っているのか私には分からないが……。

 さて、話を進めるとしよう。


「ねぇねぇ、今年の予餞会は何やるんだろうね?」

「どんなことやるのかな?」

「何やるか分からないから結構、わくわくするよね」

「そうだね!」

「去年、一昨年の予餞会は楽しかったから今年も楽しい企画なんじゃないんかな」

「みんなで予想してみない?」

「1、2年生が全校生徒の前で合唱する!」

「今年の学校祭の前夜祭企画の『先生着せかえ人形』の第2弾とか?」

「あー……。そういうのあったね。好きな先生を選んでコスプレさせたりするの」

「懐かしいよね。今田先生とうらら先生のコスプレは可愛かったな……」

「なんか予想し始めたらキリがないよね」

「だよね」


と他の女子生徒のグループが反応するあるいは廊下に響いて「うるさい!」と言われそうなくらいの声のボリュームで話していた。



 *



 校内にチャイムが鳴り響いた。

 そのチャイムは彼女らにとってはどこか懐かしく、切なく感じられただろうと私は思っている。

 教室に白衣を着た女性が入ってきた。

 先ほどまでしゃべっていた生徒達はそれを察したかのようにそれぞれの席に着く。


「起立!」


 1人の女子生徒が号令をし、全員で着席。


「さて、今日はみんなが楽しみに待っていた予餞会だよ! 在校生がみんなのためにいろんな準備をしてきたから楽しみながら見守ってね!」

「ハーイ!」

「先生、今年の予餞会は何やるの?」

「それは始まるまで秘密だよ」

「うん。楽しみにしてる!」


 このクラスの生徒達といい先生といい意外とテンションが高い。

 このクラスはいつもこんな雰囲気なのか?

 まぁ、元気なのには越したわけではないが。



 *



 私はどこにいるのだろうかと思った方が多いと思うので、先に答えておく。

 私は3年5組の教室付近にいる。

 この教室の中にターゲットが2人いるからな……。

 いつもの被害を受けている女子生徒かと思う方はご名答。

 私の本当のターゲットはその女性教師ですよ?



 *



 そうこうしている間に朝のショートホームルームが終わったらしい。

 私は彼女に気づかれないように体育館に向かう通路に行く。

 彼女は何も変化を感じさせないような表情である部屋に向かって歩を進める。

 彼女は生物準備室という部屋に到着した。

 生物準備室? 私自身も今頃思い出したが、理科の先生であるのは確かだ。

 教師という職業なのだから授業をしないと意味がない。



 *



 数分後……。

 彼女は生物準備室から姿を消し、廊下を歩いていた。

 彼女が持っているものは『化学』の教科書、プリントがたくさん入ったクリアファイル2冊と筆記用具。

 あれ、見失ってしまった。

 彼女はどこの教室で授業をするんだろうか?

 ちなみに、私は彼女の追っかけやらストーカーやらと思っている方がいると思われるが、実際にはスパイとかではない。

 よって、これが私からの予言さ……。



 *



 さて、場面を変えて3年生の教室。

 どのクラスの生徒達も自由登校期間のことを話したり、今まで通ってきた校舎や職員室に行き、時間が空いている先生と写真を撮ったりといろいろないい意味で忙しそうだ。

 先ほどの女子生徒も職員室にいる。


「今田先生、一緒に写真を撮りましょう♪」

「おっ、今田先生にきたね! ねぇねぇ、夏川。私も一緒にいい?」

「ハイ。いいですよ! うらら先生も一緒に3人で撮りましょう! あと、私と1人ずつもほしいですね!」

「僕が撮りますか?」

「おっ、大島先生。ナイスタイミングだね!」

「そうだね!」

「このデジカメでお願いします。ここのシルバーのところがシャッターで、ここのプラスのところを押すとズームされますし……」

「分かりました。では撮りますね!」


 彼女は数枚ずつ2人の先生と写真を撮り、


「ありがとうございました」


とお礼を言い、また誰か違う先生を捕まえようとする。

 そこの女子生徒の貴女(あなた)をこの私が召還するまであと少しですよ?

 純粋な女子生徒でいられるのはあと少しですからね……。


 一方の見失ってしまっていた女性教師は、1年1組の教室で授業をしていた。

 その日のこのクラスの授業内容は最外殻電子、価電子、元素の周期律、元素の周期表についてだった。

 女性教師が今日のまとめをしているため、あと少しで授業が終わる。

 次の瞬間、チャイムが鳴った。

 しかし、彼女はすぐに姿を現さなかった。

 教室からは話し声が聞こえてきた。


「先生、元素って凄いですね」

「そうでしょ? 凄いでしょ! これがきっかけで化学に興味を持ってくれたら嬉しいな!」

「そうじゃなくても、いつも60点台ですが……」

「これで今回の期末テストが赤点及びいつもより平均点が下がらないといいんだけどな……」

「結果はどうなるかは分からないけど、今回の1年生最後の期末テスト、頑張ります!」

「えーっ!? 本当に頑張って! 問題集をベースに作るからさ!」


と話していた。

 試験って実際にどのような問題で出題されるか分からないのが現状だ。

 生徒達には学年最後のテストなのだから頑張ってもらいたいところだ。

 ようやく、彼女が教室から出てくる気配を感じた私は懐中時計を取り出し、時間を止める準備を始めた。

 時間を止めたとしても、周りの動きが止まるだけであって、女性教師と女子生徒は普通に動き回ることができる。

 進み始めたらさっきまで一緒にいた彼女らが私によって誘拐されたり、洗脳されたりしていなくなる現象が起こる。

 もし、気になった方は最初の話を読んでみていただけたら分かると思う。

 これが私からの試練(ゲーム)さ……。



 *



 カチャッ……。

 これで周りの動きを気にせずに彼女らを召還する準備が整った。



 *



 女性教師が生物準備室に着いた時にはすでに女子生徒がそこにきていた。


「先生、一緒に写真を撮りましょう!」

「珍しいね。夏川が自分から写真を撮ろうって言ったのは」

「だって、もう卒業したら会えないかもしれないじゃないですか」

「なるほど。そうだよね、一緒に撮ろうか」

「ハイ! ありがとうございます!」


 2人とも、全く気づかないようである。

 私は洗脳用の拳銃を構えた。



 *



 たーんっ!

 あっ、間違えた……。

 どちらにせよ2人ともターゲットだからな……。


「うっ……」

「先生? 先生!」


 女子生徒がデジタルカメラを机の上に置き、女性教師を揺する。

 さて、次は貴女の番ですよ?


「さては……!」


 ハイ。その通りですよ。

 たーんっ!

 ようやく、2人のターゲットを確保した。


「ちょっとベル。今回はなんの用件かしら? というか、こちらの人は誰?」


 制服姿のネオンが機嫌悪そうに言う。


「あれー? ベル、このお姉さんは誰?」

「お姉さん!? 私、20歳なのに!?」

「わたしより年下なんだ」

「まぁ……!」


 これはやばいぞ……。


「いや、今回はちょっと……。白衣の女性はラントで、制服の女性はネオン……」


 今更だが、最悪なことをした。

 早くも険悪ムードになってしまっている。

 あとからネオンにアレによって気を失うくらい踏みつけられそう……。

 それと今気づいたが、彼女らの身長はほぼ同じくらいではあるが、ネオンの方が少し高いような気がするのは気のせいだろうか?

 女性だからヒールとか履くから少し高くはなるとは思う。


 っていうかネオンの場合は(かかと)が高いヒールを履くし……。


 期待できるのかは保証できないが、そんな彼女らの活躍(?)に期待するとしよう……。

2015/04/26 本投稿

2015/08/14 改稿

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