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不思議な事件が起こる学校で【原作版】  作者: 楠木 翡翠
10章 1月・2月 2ヶ月の経緯〜平和な遠足、予餞会はラストバトル?〜
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23話 某海が広がる夢の国de楽しい遠足♪

 3学期が始まり、約2週間が経過した。

 本日は待ちに待った某海が広がっている夢の国での遠足の日となった。


 現在の時刻は6時30分。

 1月ということもあり、この時期は空が真っ暗ではないが暗く、寒い。

 昇降口付近にはたくさんの生徒達がバスが到着するのを待っている。


「ふぁー……。おはよう……」

「おはよう……。眠いね……」

「なんで、遠足ごときでこんなに朝が早いの……?」

「確か、去年の修学旅行の時もそうだったよね」

「うん」

「なんで、この高校の修学旅行と遠足は早く学校にこなきゃならないんだろう」

「それに寒いし……」

「さぁ、分からない」


 今日の彼女らの服装は制服ではなく、なぜか私服である。

 学校行事で私服ということ自体謎ではあるが……。



 *



 一方、少し離れたところに彼女らと同様に私服姿の1年生が眠そうにしゃべりながらバスを待っている様子が見受けられる。



 *



 この高校は1月に2年生が2泊3日の修学旅行に行っている最終日に遠足が行われている。

 そのため、1年生と3年生は2日間授業を受けて、2年生が戻ってくる修学旅行最終日に彼女らは某夢の国か某海が広がっている夢の国の遠足に行く。

 毎年寒い思いをしながらバスを待ち、そこに行き、1日を楽しんで過ごすということがお決まりとなっているみたいだ。



 *



 数分後……。

 みんなで寒い中待った甲斐があり、バスが到着した。

 彼女らはぞろぞろとクラスごとにバスに乗り込み、友人同士で座っていく。

 その後、春原と秋山がキョロキョロしながらバスに乗り込んでくる。


「ここかな?」

「違うかな?」


と言いながら乗り込む2人。


「せいかーい!」


と元気よく答える彼女らの生徒達。


「正解だって」

「よかった。他のクラスじゃなくて。」

「おはようございます。朝から生徒さんは眠そうですが、元気ですよ」


とバスガイドさんがにっこりと挨拶(あいさつ)してきた。


「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」

「こちらこそ。よろしくお願いします」


 バスガイドさんがマイクを手に取り、簡単に挨拶をする。

 そのあと、マイクは春原に回ってきた。


「ハーイ! みんな、改めましておはよう! 今日は待ちに待った遠足だよ。残りあと1ヶ月の友達や恋人って、みんなにはいるのかなぁ……とまぁ、楽しい思い出を作ろう!」

「いくら楽しいからって時間は15時、よって、午後3時までで厳守だからな」

「ハーイ!」

「というわけで、ショートは終わりね」



 *



 ショートホームルームが終わり、すぐに眠りにつく生徒がいれば、乗り物酔いなのか少し顔色が悪い生徒もいる。

 彼女らは危険ではない程度に某海が広がっている夢の国に到着までは思い行くまま自由に過ごした。



 *



 約2時間後……。

 何回かの休憩を挟んで、ようやく、某海が広がっている夢の国に到着した。

 ここから15時まで、アトラクションに乗ったり、お土産を買ったりと、彼女らは楽しい時間を過ごす。



 *



 さて、ここからは崇史と紫苑のラブラブな時間と3年生の先生達のゆったりトークをお送りする。

 他のクラスの生徒達が敷地内に散らばり始めたやさき、4組である崇史は入口のチケット売り場の近くで紫苑を待っていた。

 何分か経過した時に紫苑がパタパタと駆けつけてきた。


「ごめーん……。待った?」


と紫苑が息を切らせながら彼に訊く。


「全然。クラスごとだから仕方ないよ」

「でも、4組はいいな。可愛いガールフレンドをおいてつかつかと敷地内に入ることができるもんね」

「俺は5組の方がいいよ。だって、ゆっくり敷地内に入ることができるだろ?」

「そうだけど……」

「よし、紫苑、今日はなんの日か分かるか?」

「遠足だけど」

「ここのアトラクションを全部制覇するぞ!」

「……。う、うん」


 いつもよりテンションの高い崇史を見て、紫苑は少しひいていた。

 そして、


「今日は私の周りの人、いつもよりテンション高いな……」


と誰にも聞こえないくらいの小声で言った。


「紫苑、今、なんか言ったか?」

「ううん。なんでもないし、言ってない」


 紫苑は崇史の後を追いかけた。



 *



 一方の先生達は敷地内にあるカフェテリアにいた。


「今頃、生徒達は楽しんでるんだろうな……」

「ですよね」

「私達も何かのアトラクションに乗りに行きましょう? せっかくきてるんですし、ここにいたらもったいないですよ!」

「でも、お肌が乾燥しそう……」

「うらら先生なら大丈夫だよ」

「今田先生、さっき、なんか言った?」

「別に」


 うららと今田が話していると、


「ん?」

「おやおや?」

「1組のカップルがきたぞ!」

「誰と誰だろう?」


 そのカフェテリアに1組のカップルらしき2人が入ってきた。



 *



 紫苑達はアトラクションに乗りまくっていた。

 一部はメンテナンス中や混んでいるため諦めたものがあるが、順調に回っている。

 全アトラクションのうち大体3分の1くらい乗ったあたりで2人は近くにあるカフェテリアで昼食を取ろうとした。


「んー……。お腹空いたぁ」

「あそこのカフェテリアで昼食を取るか?」

「うん! 私のクラスの人、いるかな?」

「そういえば誰にも会ってないよな」


 2人は何も知らずにそこに入っていった。



 *



 いざ、彼女らがそこに入ると、


「……」


 2人はもちろんのこと、先生達も沈黙していた。


「な……」

「なんで、先生達がいるんですか!?」


 最初に沈黙を破ったのは崇史だった。

 それに続けて紫苑。


「先生達も同じセリフだよ!」

「なんでここに?」

「私達は昼食を食べに……」

「たまたまあったここにきました」

「なるほど」

「じゃあ、ここで写真を撮っちゃおうかな?」


 楽しそうに自分の鞄からデジタルカメラを取り出している春原に対して、紫苑と崇史は後ろを向き、


「ねぇ、紫苑。春原先生って写真撮るのが好きなの?」

「うん。いつも行事の度に写真を撮ってるよ。先月なんかはサンタさんのコスプレをして通知票を配ったり、強制的にクリスマスパーティーをしたりしたんだから」

「ふーん、大変だね。終業式のあとの5組の教室はなんかやけに騒がしかったからさ……」


と小声で話していた。

 彼女らは春原達の方を向き、


「……。いいですよ……(正直に「結構です」って言ったら怒られそう……)」


と心の中に本音を隠し、答えた。


「じゃあ、撮るよぉ!」


 カシャッ!

 カメラの写真を見てみると……。

 昼食を選んでいる彼女らの写真や、紫苑が選んだランチに手を伸ばそうとしている春原(注・ちなみに撮ったのは福山)などと色々な写真が撮られた。



 *



 紫苑達が先生達と分かれたあと……。

 2人疲れ切った表情でポップコーンを食べながら歩いていた。


「昼食を取るだけで疲れたな……」

「うん……。まさか、クラスメイトじゃなくて先生達にばったりと会うなんて……」

「びっくりだよな」

「だよね」

「さて、お土産とかを買いながら残りアトラクションを回るか!」

「うん!」


 数時間が経過してあっという間に15時になってしまった。

 生徒達はぞろぞろとバスに戻ってきている。

 紫苑達も自分のクラスのバスのところで分かれた。

 楽しい時間は過ぎ、帰りのバスの中はみんな疲れてしまっているせいか眠りについていた。


 高校卒業まであと1ヶ月……。

2015/04/11 本投稿

2015/08/14 改稿

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