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不思議な事件が起こる学校で【原作版】  作者: 楠木 翡翠
第8章 11月 学校祭で起きた悲劇~化学と音楽とバトルの化学反応~
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18話 すべてを救うために…… #1

 3年5組にはミサ達5人がおり、1つの教室を挟んで3年3組には3人の男女の姿があった。


「さっき、別の教室を見に行ったけど、敵が増えていたわ……」

「て、敵が?」

「ええ。ミサさんの他に見覚えがない4人」

「なにょーっ!?」

「なんだって!?」

「ベル、今の聞いたか? 今の敵の人数は5人だぞ」

「分かっている……。まぁ、ロレンス、落ち着いてくれ。それとネオンは目をちょっと瞑ってろ」

「えっ!? なぜ、私!?」

「いいから」

「私は少しなら魔術を使うことができるけど……」

「知ってる」

「ロレンス……」

「敵が魔術を使えると見越して、だから、今から教えてやる」


 目を瞑っているネオンにベルモンドは彼女の首筋にチョーカーらしきものをつけ始めた。

 そして彼女に教えたものは、


「You don't need to open next door.覚えたか?」

「ん? もう1度お願いするわ」

「You don't need to open next door.」

「大丈夫。覚えたわ」



 *



 3年5組にいるミサ達は、


「ん? ねぇ、ミサ。さっき誰か人がいなかった?」

「どんな人?」

「うーんと……。なんか黒いスーツを着た、黒髪で片目の女性よ」

「黒髪で片目の女性? あっ! ひょっとして……」

「……!」


 ミサとティアが話している時にはカノンは何か引っかかる点を見つけた。


「ひょっとして……?」

「ネオンさんだったりして……」

「ネオン……?」

「カノン、彼女のことを知っているの?」

「ハイ……」


 カノンはティアの問いかけに小声で答えた。



 *



 一方の彼らは、


「ネオン、実際に使ってみろ」

「分かったわ……。You don't need to open next door!」


 彼女を囲むようにして魔法陣と扉が出てきた。

 そして、次の瞬間……。


「ギャーッ!」


 男性陣はどこかへぶっ飛ばされ、扉が閉まった。


「あれっ?」


 彼女はきょとんとしている。


「ベル~、ロレンス~、どこ?」

「ネオン……ここだ……」

「廊下……」


 声が響いて聞こえたため、彼らは廊下にいたのであった。



 *



 ガラッ。

 教室のドアが開き、ネオンは何事もなかったかのように廊下に出ようとした。


「いないなぁ……」

「ネオン……ヒールの(かかと)が……」

「俺達をそれで殺す気か?」


 ベルモンドとロレンスは上を見上げながら言う。


「えっ! ごめんなさい! まさかこんなところにいるとは思ってなかったわ」


 彼女は2人にペコペコと謝った。



 *



 一方のミサは、


「カノンちゃん、よく聞いてね?」

「ハイ」

「ネオンさんは……」

「ネオンは……?」


 カノンはミサを促した。

 ミサは彼女らには知らない衝撃的な事実を話すことになる。


「実はね、彼女はスパイなの」

「えっ!? あのネオンが……?」

「そうなの。カノンちゃんが知っている彼女の姿は仮の姿……。実際の彼女の姿は敵なの」

「敵?」

「そうよ」


 ミサがカノン達に告げた。

 カノン以外のメンバーは凍りついたような表情をしていたのであった。



 *



 ようやく今回の戦いが始まろうとしている。


「さて、キザ怪盗! 今回の組み合わせは私達は決めるわよ!」

「それならこちらで決めさせていただいたわ」

「なんで、貴女(あなた)が言う必要があるの?」

「それは私の仕事だからよ」


 ミサとネオンがなにやら言い合いをしている。


「オイ、ネオン! そういうことをする前に早く組み合わせを発表しろ!」


 ベルモンドとロレンスにつっこまれてしまったため、彼女らは言い合いを止めた。


「ハイ。では発表します。カノンさんとフィオナさんは私と、ティアさんとエリアスさんはロレンスと、ミサさんはベルとという組み合わせでお願いします」

「了解!」

「ハーイ!」



 *



 カノン達は2年4組に、他のメンバーは隣の教室である2年5組にいる。


「カノン、武器はどうするのか?」

「フィオナこそどうするの?」

「何、コソコソしているの? 早くしなさい」


 ネオンはイライラしているようだ。


「ハイ!」

「分かればいいわ」


 こうして2対1の戦いが始まった……。


「行くぞ、カノン!」

「うん!」


 彼女らは手に拳銃を構えたが、ネオンの鋭い連射が2人を襲う。


「キャーッ!」

「さっ、早くかかってきなさいよ」

「可愛くない女だな!」

「ネオン……」


 カノンはついに泣き出してしまった。

 フィオナはイライラしているようで、ネオンは涼しい顔でズバズバと言い放っている。


「泣いたって無駄よ。オマージュ!」


 ネオンは脅すように魔術を使った。


「うっ……」

「フィオナ!」


 フィオナはその場で倒れ込んでしまった。


「ついに貴女と1対1ね……。貴女の相棒が倒れてしまったわ……。このバトルを終わりしてもいいかしら?」

「いいえ、続ける!」

「そう」

「そこのクールに気取っている可愛くない人!」


 いつの間にか、フィオナは立ち上がっていた。


「何? 気取ってるって失礼に当たるわよ?」

「知るか。さあ、カノン、魔術を使うんだ!」

「分かった!」

「……(まぁ、所詮、こちらが有利だけどね……)」


 ネオンとカノンによる魔術バトルが始まった。

 その時、フィオナは撃ったりしているが、ほとんど避けられている。


「さあ、行くわよ! オマージュ!」

「セレーノ!(これはフィオナに向けられた魔術……)」


 カノンは守りの魔術である『セレーノ』を使ったが、彼女は自分を守ることができず、その場で倒れた。


「どうやら守ることができなかったみたいね……。2人とも、これでもくらってなさい! You don't need to open next door!」


 ネオンは微笑を浮かべ、こう言い放った。

 彼女の魔術の強さは計り知れないものだった。


「……。カノン、どういう意味の魔術?」

「私にも分からない……」


 2人が話している間に、


「キャーッ!」


 彼女らはネオンの魔術により、どこかへ飛ばされた。



 *



 2人は廊下にいた。


「カノンちゃん、フィオナ、大丈夫?」


 ミサが2人に声をかけた。


「ハイ」

「大丈夫です」


 2人はそう答えるが、明らかに失神しそうな雰囲気ではあるが……。

 カノンはミサに、


「ちょっと、2人だけにさせてもらってもいいですか?」


と申し訳なさそうに言った。


「いいよ」


とミサは答え、その場を後にした。



 *



 ミサがいなくなったのを見計らって、カノンは口を開いた。


「ねぇ、フィオナ……。これが彼女(ネオン)の本当の姿なんだね……」

「そう。ここは現在の世界だからな……」

「なんでだろう。前に私がいる次元で会ったときはソフトな目つきだったの。だけど、さっきは脅すようなって言ったら失礼かもしれないけど、鋭い目つきだった」

「カノン、彼女の本当の姿を受け入れてあげるべきだと私は思う」

「うん……」



 *



 一方、教室にいるネオンは……。

 彼女はカノンとフィオナの会話を静かに聞いていた。

 私も彼女らみたいに受け入れなきゃいけないのかなと思いながら過去の記憶を少し思い出してしまったようだ……。

 彼女は幼い頃、ちょっとした不祥事で左目を失明。

 最初は眼帯をしていたが、それをうまくごまかすために、左目を長い前髪で隠した。

 その時、彼女の人格にも狂いが生じ始めた。

 前のように純粋な彼女から今の冷酷彼女に……。


「2人とも……ごめんなさい……」


 彼女は綺麗に涙をこぼした。

 両目から溢れた涙は床を濡らしていく。

 その時、彼女は涙を拭くため、ハンカチーフを右のポケットから取り出し、涙を拭き取った。

 彼女の両目が現れ、それはそれはなかなかの美少女だ。



 *



 カラッ。

 教室のドアが静かに開き、ネオンが姿を現した。


「ネオン?」

「カノン、どうした?」


 彼女らの視界に入ってきたのは、両目で見つめるネオンがいた。

 すっと見つめるその美貌に彼女らはきょとんとしている。


「負けを認めるわ……」

「ひょっとして……」

「ひょっとして……? フィオナ、どうしたの?」

「彼女は強がりだったんじゃないのか?」

「べ、別に。強がってないけど……」

「ねぇ、ネオン。ネオンは純粋の方が可愛いよ」

「そう」


 こうして1回戦は終わった。



 *



 3年2組の教室には、ティアとエリアス、ロレンスの3人がいる。


「ティアさん、武器の方はどうします?」

「そうね……」

「2人とも、どうした? こそこそしちゃって……」


 ロレンスがからかうような口調で言う。


「べ、別に、愛に向いて語ってるわけではないわよ!」

「そうですよ!」

「では開始する!」

「エリアス、行くよ!」

「ハイ! ティアさん!」


 このようないきさつで2回戦が始まった。


「さあ、行くわよ!」

「さあ、行くぞ!」


 ティアとエリアスは武器を構えた。


「2人とも、手加減しないからな!」


 ロレンスは短槍を握った。


「フロンティア!」


 ティアが魔術を使った。

 この『フロンティア』という魔術は敵の攻撃を不利にするものである。


「な、なんでだ……。今度はお前だぞ!」


 彼は今度はエリアスに向かって短槍を投げた。

 エリアスはなにやら楽器を取り出した。

 出てきたのは金管楽器のトロンボーン。


「ロレンス、これでもくらえ!」

「ちょっと、エリアス? それは楽器じゃないのかしら?」

「分かってますよ! これは武器として開発されたトロンボーンですから!」

「未来の世界は凄いわね……」


 エリアスはチューニング菅に弾倉を詰め込み息をいっぱい吹き込んだ。(注・よい子は真似をしないこと。チューニング菅とは金管楽器の音程の高さを調節するものである。)



 *



 パパパパパパパパーッ!

 エリアスの息で操作しているトロンボーンの吹き込み式拳銃は凄い威力である。

 ティアが放つ魔術も同様だ。


「こいつら凄いぞ……。イテッ、何をする!」


 ロレンスが後ろを振り向くと、ティアが鞭で彼の頬を往復ビンタしている。

 今の彼女は暴走している。

 もともとは蒼い(あおい)髪と紫の瞳をしているが、現在は蒼い髪はそのままに紅い(あかい)瞳をしていた。

 彼女の手にはいかにも怪しげな球体を持っている……。


「うふふ……。これでもくらってなさい」



 *



 教室にいる3人以外は廊下でその様子を見守っている。


「カノンちゃん、ティアはどうしたの?」

「ミサさん、これはよくあることですよ」

「ふーん……。だけど、エリアスが可哀想」

「そうですね……」


 ミサとカノンが話していたのであった。



 *



 3年2組の教室は……。


「ティアさん……な、何やってるんですか?」


 エリアスが教室の隅っこで怯えている。


「堕天使の宴、発動!」

「ギャーッ!」

「さあ、私と踊るのね……。いいわ、壊れるまで踊りましょう。うふふ……」

「テ、ティアさんとエ、エリアスさん……。降参します!」

「分かった」

「ならいいわ」


 さっきまで暴走していたティアが正規を取り戻した。

 ギャップの恐ろしさを感じさせられた2回戦であった。


2015/03/09 本投稿

2015/08/14 改稿

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