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不思議な事件が起こる学校で【原作版】  作者: 楠木 翡翠
第8章 11月 学校祭で起きた悲劇~化学と音楽とバトルの化学反応~
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16話 続出する洗脳者

 その次の日である木曜日の朝のショートホームルーム前……。


「秋山先生がなんか、おかしいの」

「えっ!? あの秋山先生が!?」

「うん。昨日、私は化学室にいたんだけど……」

「ひょっとして……」

「うん。そのひょっとしてだよ……」


 それから紫苑は事情を説明した。


「マジか……」

「……」


 彼女は黙ったままコクリと頷いた。



 *



 同じ頃、生物準備室では、


「なんか、昨日の放課後に銃声らしきものが聞こえたんですが……」

「誰なんでしょうかね?」

「もしかして、ベルモンドあたりじゃないですか?」

「ですよね……」


 その時、春原が生物準備室に入ってきた。


「おはようございます」

「あっ、春原先生、おはようございます」



 *



 そして、朝のショートホームルームの時間になった。

 春原はぼんやりしながら教室に入ってきた。


「どうしたの、先生?」

「ほえっ? ん、どうもしないよ」

「教室に入ってきた時からずっとぼんやりしてるけど……」

「うん、大丈夫だよ。えーっと、今日の連絡事項は5限目と6限目のロングホームルームに学校祭の出し物について話し合うから、最低1人1つ考えておいてね」

「ハーイ!」

「先生、出し物はなんでもいいの?」

「この33人でできるものならなんでもいいよ! 5限目までまだまだ時間があるからじっくり考えてみてね」

「分かった!」



 *



 やや時間流れ、5限目が始まった。


「ハイ、みんなは学校祭でやりたいものは考えたかな?」

「ハイハイハーイ! うち、コスプレカフェがやりたい!」

「いいねぇ! 私も賛成!」

「私もやりたい!」

「定番になっちゃうけど、お化け屋敷は?」

「俺はメイド喫茶!」

「男子もメイド服を着るの?」

「マジありえない!」

「じゃあ、SMカフェは?」

「何やるんだし?」

「だったら、軽食屋」

「それは去年やった!」


 女子生徒は自分がやりたい定番の出し物をあげていく。

 男子生徒はそれに負けじと案を出すが、女子生徒にブーイングされる。

 そんな中、一部の女子生徒達が、


「高校最後の学校祭なんだから、みんなで1つのものをやりたいよね?」

「例えば?」

「例えば、演劇とかかな……」


 紫苑はもとから考えていたものを、春原はついさっき考えついた何かを言おうした。


「じゃあ、シアターカフェは?」


 2人はそれはタイミングよく言ったが、考えが被ってしまったせいか2人は焦った顔になっている。


「シアターカフェ!?」


 春原と紫苑以外の生徒達はきょとんとした顔をしている。


「なら、説明は夏川に任せる!」

「えっ!? 私ですか!?」

「うん。多分、内容は同じだと思うからおねがーい!」

「うーんと、私達クラス全員で映画を撮って、来店してくれた人に飲み物やちょっとしたお菓子とかを出して、それを見てもらう。簡単に言えば映画館みたいなものかな」

「説明お疲れ様! 私も同じ内容だったよ。男子の案はバッサリだったけど、これならコスプレカフェと演劇がやりたいという意見が纏まったと思うんだけど……。この案に賛成の人!」

「楽しそう! 私、賛成!」

「私も!」

「俺も賛成!」

「じゃあ、決定? 他にやりたいものはない?」

「ないでーす!」

「意義なーし!」


 こうして紫苑達のクラスである3年5組の学校祭の出し物は『シアターカフェ』に決定した。



 *



 さて、続いての議題は映画の脚本やキャスティングなど、何を準備すればいいかを話合わなければならない。


「じゃあ、脚本やキャスティングはあとにして、飲み物やお菓子ははどうする?」

「それと金額はいくらにするかどうするかだよね」

「うーん……」

「お手軽料金がいいよね」


 生徒達はいろいろと考えていた。

 他の生徒達や地域の人々や卒業生、受験前の中学生でも楽しめる内容や何回でも見たい方のために割引などといろいろな意見が出てきていた。



 *



 ベルモンドとロレンスの2人は3年5組の教室付近にいる。

 彼らは教師に変装し、一瞬見たら秋山と今の時期に珍しい新人教師。



 *



 何も知らないその教室の人間達は、


「脚本とキャスティングはどうする?」


 今度の議題は脚本とキャスティングの話し合い。

 来客してくれた人に提供する飲み物とお菓子の仮の値段は300円となっている。

 何回か見た人の割引は保留と書かれていた。


「何かのドラマのパロディでもやる?」

「やっぱり、オリジナル作品がいいよね」

「うん」

「せっかくだから面白いのを作ろうぜ!」

「そうだね!」



 *



 廊下にいる2人は、


「そろそろ時間を止めるが……。いいか、ロレンス?」

「ご自由に。ただし、この教室だけは間違えても止めるなよ」

「分かった……。3、2、1……」


 懐中時計がカチャッと音を立て、他のクラスの時は止まった。


「いよいよ、楽しいお遊びの時間だな……」



 *



 ガラッ。

 教室のドアが勢いよく開いた。

 女子生徒らは2人に近づく。


「あーっ、冬井戸(ふゆいど)先生だ!」

「久しぶり!」

「秋山先生もいるよ!」

「本当だ!」

「噂だけど、秋山先生と冬井戸先生、仲がいいらしいよ?」

「マジで?」

「噂は本当だったんだ!」


 彼女らはまだ彼らがベルモンド達だということは知らない。

 紫苑と春原は賢くも非難する準備と始めていた。

 冬井戸と秋山は後ろを向き、なにやら話している。


「この教室も一旦、時間を止めて彼女らを洗脳させる。ロレンスは廊下側から4列目の4番目の席にいる彼女を狙ってほしい」

「分かった」


 その席にいるのは紫苑だ。

 どうやら彼らは春原以外のこの教室にいる生徒達を狙っているようだ。



 *



 カチャッ。

 再び懐中時計が止まり、他のクラスの生徒や職員の動きが止まった。

 しかし、1人の女子生徒と2人の教師らしき人物だけは動きを止めていなかった。

 ちなみに、女子生徒は紫苑。

 教師らしき人物はベルモンドとロレンスである。


「な、なんで? 私だけ動いてるの……?」

「それは貴女(あなた)に話があるからだ」

「話? また私を洗脳させる気?」

「よくお分かりで」

「私はイヤ!」


 紫苑はその場から立ち去ろうとが、その時にロレンスが彼女に近づいてきた。


「ちょっと待て! どうしても君が必要なんだ!」

「イヤ! 近づかないで!」


 彼女は少しずつ後ろに下がって行くが、ふと気づいたら壁に寄りかかっていた。

 彼もじりじりと近づき、右手を壁につけた。

 そして、左手で彼女の顎を上げ、


「もう貴女の運命は終わりのようだな、お嬢さん?」


冷笑(れいしょう)を浮かべながら言った。


「イヤーッ!」


 校内に彼女の悲鳴が響いたが、他のクラスや学年、職員は時間が止まっているため、誰も助けてくれなかった。



 *



 数秒後……。


「さあ、手伝ってくれるだろうな?」

「手伝ってほしいなら……仕方がないわ……」


 もう彼女は完璧に操られている。


「しばらくこのままでいろ! 合図を出すから!」

「……。制服(これ)を脱いだら……」

「ネオン、安心しろ! 俺達がいるじゃないか!」

「だから! 恥ずかしいじゃない……! このデリカシーなしが!!」

「あっ、すまない」

「……」

「ところでベル、今回は私がいる必要がないんじゃない?」

「そう言うと思った。ここで調べてきてほしいことがある。」

「何かしら?」

「この学校の全校生徒の人数を調べてきてほしい」

「了解」


 紫苑、いや、ネオンが誰かのノートから1枚ちぎり、ペンを持って教室から出て行った。



 *



 教室では、時間静止中の生徒達や先生達に彼らは、


「もう少しで楽しいお遊びの時間だ……」

「ああ……」


 生徒や職員を洗脳させていった。



 *



 一方、ネオンは職員室付近にいた。


「あった」


 そこには出席ボードが掲げられている。

 たとえ、そのボードがなくて職員室に入ったとしてもそこにいる職員は時間静止中のため全く怪しまれない。

 彼女は一通りメモを取り、


「これで終わりね」


 彼女は一瞬微笑み、教室に戻った。



 *



 その頃教室では……。


「よし、このクラスは終わった。あとはネオンが戻ってくるのを待つだけだ……」

「そうだな……」


 2人はネオンが帰ってくるのを待つ。



 *



 数秒後……。


「ベル、ロレンス、生徒数のデータを調べてきたわ」

「ほう……。生徒数は約600人くらいで、職員数まで調べてある。合計は約650人くらいか……」


 ベルモンドは彼女が調べてきたデータを眺めていた。



 *



 さらに数分後……。


「これから、時間を進める」

「いいわよ」

「そこはベルに任せる」

「ところで、ネオンにお願いがある。あそこの空いている席に着いてほしい」

「了解」


 彼女は紫苑がもといた席に着いた。



 *



 カチャッ。

 懐中時計が時を進め始めた。


「なんだろう……?」

「……」

「どうしたの?」

「……」


 春原が生徒達に問いかける。

 しかし、彼女らは無視をしているようだ。


「みんな、無視……。もしかして……!」

「そのもしかしてよ……」


 突然、声が鳴る。

 よく通る女性の声だ。


「夏川、それはいったい……?」

「さあね……」


 彼女は左手で指を鳴らすと同時に、教室のドアが開いた。

 ベルモンドとロレンスが入ってきた。


「貴方達はこのクラスの生徒に何をしたの!?」

「先生、実に面白い質問だ」

「ふっ、それは……」


 ロレンスとベルモンドは1人の女子生徒に何かサインを出した。

 彼女もそれに応えるようにサインを出し、3人は教室の一角でなにやら話し合いを始める。



 *



「鍵、解除……」


 3人の声が響き、そして、制服や背広を脱ぎ捨てた。


「もう、貴女には一緒に戦う仲間がいなくなった……」

「残念ね。戦闘仲間がいないものね」

「私達の挑戦を受けますか、ミサさん?」


 ロレンス、ネオン、ベルモンドの順番に真顔50%嫌味50%言う3人。


「……。私、まだ変身すらしてないんだけど……」


 ミサ、いや、春原がおどおどしながら言った。


 誰もいなくなってしまった戦闘仲間……。

 彼女はどうなるのか……?

2015/03/01 本投稿

2015/08/14 改稿

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