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不思議な事件が起こる学校で【原作版】  作者: 楠木 翡翠
第8章 11月 学校祭で起きた悲劇~化学と音楽とバトルの化学反応~
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15話 洗脳の予兆

 職員室には何人かの先生が次の日の授業の準備をしている。


「では、校内の施錠に行ってきますので、鍵を持って行きますね」


 先ほど放送していた人物であり、今日の先生側の日直は秋山である。

 彼が鍵をチャリンとポケットの中に入れた時、隣にいたうららが一旦手を止めた。


「えっ、もうそんな時間? 秋山先生、行ってらっしゃ……。って、いないし!」


 うららが言い終わる前に秋山はすでに職員室からいなくなっていた。


「もう、秋山先生ったら……」



 *



 まず秋山が向かったのは教室棟。

 すべての教室に足を運び、施錠していく。

 昇降口は1番左のドア以外はすべて施錠する。

 1番左のドアはなぜ施錠しないのかと思っている読者が多くいるだろう。

 そのドアはオートロック式だからである。



 *



 次に向かったのは管理棟。

 彼は図書館の施錠を終え、音楽室付近を通るとどこかで聞き覚えのあるような曲が流れていた。

 そこには10人くらいの生徒と福山がおり、彼がそこに姿を現した瞬間、一旦、演奏を止めた。


「福山先生、音楽室の戸締まりをお願いします」

「ハーイ」


 2人は少しの間話していた。

 一方の生徒達は自主練習をしていた。



 *



 今度は階段を降り2階へ。

 彼は物理室と生物室、そして、化学室の施錠をしようとしていた。

 物理室も生物室もどちらも施錠されていた。

 残りは化学室だけだと思ったやさきだった。


「……(誰かに見られている……)」


 彼は一旦立ち止まり、辺りを見回し始めた。



 *



 一方、秋山が見えないところでは、


「今回のターゲットを見つけたぞ……」


 ベルモンドが天井から宙ぶらりんの状態で顔を覗かせていた。

 こんなところにいてよく落ちないなと変な関心を示してしまう。

 さて、今回のターゲットは誰だろうか?

 また紫苑が犠牲になるのだろうか?


「ハイ。今回も彼女だが、今は立ち止まっている彼だ」


 立ち止まっている彼ということは秋山のことではないか!?


「ええ。今回は彼らをどのようにしようかな……?」


 そのセリフはどこかで聞き覚えがある。

 よって、今回のターゲットは秋山と紫苑の2人である。

 そうこうしているうちに秋山は化学室に入っていった。


「さて、待ち伏せでもしよう」


 ベルモンドはそのままの体制で彼を待つことにした。



 *



 化学室に入った彼は春原に、


「春原先生、化学室の戸締まりをお願いね」

「ハーイ、分かったよ!」


 それから彼は春原に今までのことを話した。


「秋山先生、それは幻覚なんじゃないのかな?」

「幻覚? そうかなぁ……?」

「今日は早く帰った方がいいんじゃない?」

「そうだね。今日は早めに帰って様子をみてみる」


と……。



 *



 一方、ベルモンドは……。


「もう、そろそろか?」

と言い、1丁の拳銃を取り出した。

 ちなみに、彼が持っているものは洗脳用である。

 もしかして、迎え撃つということだろうか。


「ハイ、そうです」


 彼は拳銃に(たま)が入っているかの確認をしている。



 *



 化学室から出てきた秋山は、


「……。これって、本当に幻覚なのか……?」


 彼はまだ見られているような気がしてずっと悶絶しているようだ。

 実際には本当に見られているんですよ。

 彼は真上をよく見ると、


「……! ベルモンド……!」


 小声ではあったが、彼はベルモンドの存在に気づいたのである。



 *



 数秒後……。

 たーんっ!


「ギャーッ!」


 どこからか銃声と男性の悲鳴が管理棟に響き渡った。

 さあ、どこからでしょうか?

 分からないですよね……。

 その答えは後ほど……。



 *



 秋山が化学室から出たあとのこと……。


「ん? 今、悲鳴と銃声が聞こえなかった?」


 春原が怪訝そうに生徒達に問いかけた。


「確かに……。廊下から聞こえました」

「誰でしょうね?」

「なんだろうね?」


と化学室内ではざわめきが起こっているようだ。


「ちょっと、廊下の方を見てくる!」


と春原と紫苑は廊下に出た。

 そこには2人の男性がいた。

 1人は廊下に横たわっており、もう1人は拳銃を持った黒い帽子を被った男性がいたからだ。


「……!」


 彼女らは何も言えなかった。



 *



 あれから数分後……。


「さあ、ロレンス」

「ああ……ベル……」


 ベルモンドはロレンスと呼ばれた男性の耳元に何かを囁いた。

 そのやり取りは誰にも分からない。

 一方の目撃者である2人は……。


「ロレンスって……誰?」


 2人は秋山が洗脳されたことは知らない。


「えっ、洗脳?」


 先ほどの銃声と男性の悲鳴はベルモンドが秋山を撃った時のものである。

 ざっくりではあるが、理解していただけただろうか?


「……」


 2人はいまだに何も言えなかった。

 そして、彼女らは化学室の中に入った。



 *



 あれから彼女らは化学室に入り、その隣にある化学準備室に移動した。


「先生、放送室に行って放送した方がいいですか?」


と紫苑は春原に問いかけた。


「今はかなり危険な状況だから、この電話を使って」


 化学準備室の入口付近に電話がある。

 その電話は校内全部に放送することができる優れものである。


「えっ、これはどうやって使うんですか?」

「もう! 私が放送する!」

「もう、放送するのは遅い」

「えっ? 夏川、さっき、なんか言った?」

「いいえ、私は何も言ってませんよ」


 2人の男性がゆらりと現れた。


「誰?」

「鍵が開いているとは不用心だな……。なあ、ベル?」

「そうだな……ロレンス」

「そこの女性達、楽しいお遊びは明日以降だな……」

「……」


 春原と紫苑は何も言わず、お互いの顔を見合わせた。


 これからがベルモンドとロレンスいわく、楽しいお遊びの前振りであった。

2015/01/25 本投稿

2015/08/14 改稿

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