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不思議な事件が起こる学校で【原作版】  作者: 楠木 翡翠
第7章 10月 球技大会
17/36

13話 球技バトルは体育館の中で #1

 女子生徒誘拐事件が解決されたあとのお話である。

 10月15日。

 本日の天気は見渡す限り晴れ渡る青い空……。

 今日は待ちに待った球技大会。

 3年生にとっては合唱コンクールに続く最後の球技大会である。

 残る学校行事は2回の期末テストと学校祭、某夢の国での遠足、予餞会で高校生活は終わりを告げる。



 *



 そんな球技大会の日のショートホームルーム前……。

 3年生の教室が並ぶ1階はいつもより増して賑やかだ。


「今日は高校生活最後の球技大会だね! 頑張ろうね!」

「うん!」

「今日は気合いを入れて髪上げてきちゃった!」

「おだんごだ! 珍しいね!」

「今日のためにお風呂上がりに毎日練習したんだよ?」

「凄くきれいにできてる!」

「ありがとう♪」


 彼女らは気合いが入っているようだ。

 彼女らの目標は、


「総合優勝!」


と声を揃えて答える。


「そして、種目別優勝!」


と2人の男子生徒も元気よく答えた。


「それがいつもワイワイガヤガヤ愉快な春原クラスの今年度のモットーです!!」


と紫苑が簡単にクラスのモットーをまとめた。


「さすが、紫苑」

「なんかしっくりくるね!」

「えへへ、ありがとう」

「もう少しでチャイムが鳴るよー」

「急いで席に着かなきゃだね!」



 *



 その時、チャイムが鳴り、生徒達はバタバタと自分の席に着くと1人の女性教師が教室に入ってきた。

 朝のショートホームルームが始まった。


「さて、今日は球技大会だよ! 前回の合唱コンクールに続けて総合優勝目指して頑張るんだよ!」


 春原はいつもより燃えているようだ。

 本日の彼女は珍しく白衣を着ていない。


「よし、目標はバレーボール部に入っている人が多い4組ね! ちなみに、私、去年はみんなの担任じゃなかったから、他の先生からの情報ね!」

「せんせーい、うちらは3年生全クラスがライバルだよ?」

「むしろ、1年生も2年生もライバルだよ?」

「まぁ、それでもいいや! とにかく頑張ろう! 朝のショートホームルームは終わりね。みんなは体操着に着替えて校庭に集まってね! 校舎は全部カギ閉めちゃうから、貴重品は持ち歩くかロッカーにしまっておくかしてね!」

「ハーイ」


 生徒達は体育着に着替え始めようとするが、男子生徒達は男子トイレの方へ移動していた。



 *



 この高校の球技大会のシステムについて説明しよう。

 この行事は女子はバレーボール・バドミントン・卓球の3種目。

 男子はバスケットボール・サッカー・ソフトボール・卓球の4種目。

 クラス対抗でトーナメント式で競われる。

 そして、種目別と総合順位を各第3位まで決められるというシステムである。



 *



 生徒達は体操着に着替え終え、今現在、校庭に集まっている。

 最初に校長先生から長くありがたいお話を聞き、次に準備体操としてラジオ体操が行われる。



 *



 サッカー・ソフトボールに参加する男子生徒は校庭に残り、女子生徒と卓球・バスケットボールに参加する男子生徒は2つある体育館に移動し始めた。



 *



 ついに1回戦が始まった。

 女子の種目は第1体育館で行われていた。

 ただし、卓球に参加する女子生徒は第2体育館にいるため、別行動である。

 他のクラスの人や学年の生徒は同級生や先輩や後輩を見つけては応援に駆けつけている。


「1回戦の第5試合は3年5組対2年4組です。準備をお願いします」

「ハーイ!」

「よーし! うちらの出番だ!」

「後輩には負けないぞ!」

「せーの! 行くぞ、オーッ!」


 紫苑達6人は2年生相手に戦いに挑んだ。

 最初にサーブを打った紫苑は2年生のコートに向かってボールを入れる。

 必死に拾って繋いで行く後輩達。

 そして、紫苑達のコートに入り、繋いでいく……。



 *



 ついに、マッチポイントとなった。

 2年生がサーブを打つ。

 必死になって繋いでいきボールがコートに出た。

 ピピーッ! と終了の笛が体育館に響き渡った。


「ただ今終了した3年5組対2年4組の試合結果は10対8で3年5組が2回戦進出です!」


と体育委員らしき女子生徒が元気よくアナウンスする。

 紫苑達は、


「やったぁ!」

「うちら頑張った!」

「今のところ調子いいよね? ね?」

「そうだね!」

「2回戦もこの調子で頑張ろう!」

「うん!」


 彼女らはそれぞれ声をかけ合っている時、


「みんな、よく頑張ったね!」

「お疲れ」


と春原と秋山が彼女らに声をかけた。


「春原先生、秋山先生だ!」

「見ててくれたの?」

「そうじゃなきゃここにきてないよ」

「先生、ありがとうございます!」

「どういたしまして!」

「2回戦も頑張るんだぞ!」

「ハイ!」


 先生達は彼女らにエールを送り、第1体育館から姿を消した。



 *



 試合が終わってタオルで汗を拭きながら、次の試合まで何していようと考え始めた最中(さなか)……。


「紫苑ちゃーん。いつも一緒にいる彼のところに行かなくていいの?」

「あーっ! 忘れてた……。崇史(たかし)のことを忘れるところだった!」

「今までボーっとしてたもんね」

「うん、思い出させてくれてありがとうね。今から行ったら遅いかな?」

「大丈夫。今すぐに第2体育館に行けば間に合うと思うよ」

「ありがとう。あっちが終わったら戻ってくるね!」

「おうよ!」

「行ってらっしゃーい!」


 彼女は汗を拭いたタオルを手に持ち、走って第2体育館へ向かった。



 *



 第2体育館では1階は男子の種目であるバスケットボールが、2階は男女別で卓球が行われている。

 その時、運がよく同じ3年の男子生徒と崇史が試合をしている。

 今の得点は崇史が5点に対して相手は6点入っている。

 彼女は無駄に大きな声で応援すると1階でバスケットボールの試合をしている男子生徒に馬鹿にされてしまうと思い、大きく手をぶんぶんと振った。

 彼はその姿に気づき、大きく頷いたが、結果は残念ながら10対8で負けてしまった……。


「紫苑、せっかく応援にきてくれたのに負けちゃってごめんな……」

「ドンマイ! 崇史は頑張ったよ?」

「そうか、ありがとう。そういえば、紫苑は1回戦負け?」

「ううん。私は1回戦突破でこれから2回戦だよ!」

「おっ、2回戦か。頑張れよ!」

「応援しにきてね?」

「あぁ、どうせ暇だから一緒に行くよ」


 彼らは第2体育館を出て、第1体育館に移動した。



 *



 彼らが第1体育館に着くと、


「みんな、遅くなってごめんね」

「紫苑、結構ギリギリだったよ?」

「本当にごめんね」

「いいよ。頑張ろう!」

「紫苑、頑張れ!」

「ほら、例の彼氏が応援してるからそれに応えないとね」

「うん!」

「2回戦の第3試合は1年5組対3年5組です。準備をお願いします」

「行くぞ! オーッ!」


 彼女らは円陣を組んで2回戦に挑んだ。



 *



 2回戦の途中に男子生徒らしき人物が入ってきた。


「ん?」

「この人、誰?」

「うちの高校の生徒の割にはイケメンじゃない?」


 試合をしている彼女らはもちろんのこと、崇史のように応援に駆けつけた生徒達、その隣でバドミントンの試合をしている生徒達もポカンとしているようだ。


「ふっ、ボクは……」


 彼は体操着を脱ごうとしている。

 きっと、彼のことだから美しい肉体が……。と思った読者がいると思うが、ベルモンドかもしれないという可能性もある……。



 *



 バサッ!

 彼は体操着を脱ぎ捨てた。


「みなさん、お久しぶりです! 現在、球技大会の最中ですが、今日もやっちゃいますよ!」


 その正体はやはりベルモンドであった。

 その時、紫苑、春原、秋山は少しばかり呆れていた。

 3人は場所は限られているが、それぞれ別々に移動し始める。



 *



 春原はステージの隣にあるドアを開けた。

 そこにはパイプイスがいくつか置いてある。


「Please give your dream!」


 彼女はいろいろと変身する。

 今回は短縮バージョンである。


「変身終了! 私は謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサ!」


 彼女は黒いTシャツと白いスカート、長袖の無駄に長い白衣を着用し、拳銃を構え、撃つ仕草をした。


「えっ、何これ? こういうことってありなの? でも、10月って微妙な時期だし……。暑くなったら白衣を脱げばいいか」


 ミサは生徒達や先生達にバレないよう、少しずつ第1体育館の入口に向かった。



 *



 一方の紫苑は……。

 彼女はバトンを持ち、第1体育館の2階に移動していた。

 そこにはスポーツジムのようにトレーニングセットがいくつか置いてある。

 彼女はバトンを回し始めた。


「All my friend forever!」


 バトンはまっすぐ宙を回り身体もくるくると回る。

 こちらも短縮バージョンである。


「変身完了! ボクはニャンニャン刑事(でか)!」


 その人物は白髪で白いラフな服装で黒い手の甲まである手袋をつけており、上着を羽織っていた。


「ん? ボクに上着はなかったはずだが、やり合う前に脱ぐか」


 ニャンニャン刑事はその場から離れず、周りの様子をうかがっていた。



 *



 秋山は第2体育館の体育教科室で変身しようとしているようだ。

 彼は辺りを見回したが、誰もいなかった。


「All your start story.Please tell your history!」


 刀を取り出し、一瞬で脱衣。

 そして、それをしまう時は一瞬で着衣完了する。

 こちらは短縮バージョンとも通常バージョンとも言い難い。


「変身終了! オレはニャンニャン仮面(かめん)! 今日も元気に頑張るぞ!」


 彼はネコ耳と仮面をくっつけており、こちらも上着らしきものを着ている。


「なんだ、これ? あっ、分かったぞ! 暑くなったら脱げっていうことか!」


 彼は納得したように言い、第1体育館へ向かって歩を進め始めた。



 *



 第1体育館にミサ達が駆けつけ、ニャンニャン刑事はその2階から舞い降りてきた。

 ほとんどの生徒達や先生達は驚いており、一部の生徒達は彼女らの存在は知っていた。


「あっ、謎の中略ミサさん達だ!」

「本当だ!」

「ニャンニャン刑事さんもいるよ!」

「ニャンニャン刑事さんって先月は見てないよね?」

「うん」

「久しぶり! 今日もカッコいいぞ、ニャンニャン刑事さん!」

「本物だ……」

「本当に謎の中略ミサさん達っていたんだ……」

「噂では聞いていたんですが、本当だったんですね……」

「そうですね……」

「周囲のざわめきはさておいて、今回はたくさん生徒達や先生達がいますので、久しぶりに武器を使わずに戦いましょう。種目の方はどうしますか?」


とあちこちで生徒達や生徒達がざわめいている中でベルモンドはミサ達に話を振ってきた。


「私はバドミントンで」

「ボクはバレーボールで」

「オレは卓球で」

「そうですか……。みなさん、見事にバラバラですね。では最初に誰が相手ですか?」

「今から話し合うから待っていなさい!」

「分かりました」


 彼女らは3人で話し合いを始めた。



 *



 数分後……。


「決まったわ。最初に変態仮面と、次にニャンニャン刑事さんと、最後に私とやり合わない?」


 ミサはとても楽しそうに言い、コートに落ちていたバドミントンのラケットを拾った。


「ハイ、分かりました」

「じゃあ、まずは第2体育館に移動ね! もしよかったら、みんなも見にきてね!」


 ミサはふと微笑み、他の3人に告げ、その場にいた生徒達や先生達に宣伝した。

2015/01/03 本投稿

2015/08/13 改稿

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