11話 戦闘開始~すべてのものを取り戻すために……~
ベルモンドとネオンは2年生のある教室でミサとニャンニャン仮面がくるのを待っていた。
ネオンは先ほど紫苑が着ていた制服ではなく、黒のワンピースに着替え、黒髪で左目を隠している。
そして、右手には1丁の拳銃が握られている。
「ネオン、もうそろそろバトルが始まるな……」
「ええ……」
その時、近づいてくる足音。
ミサ達が彼等のところに確実に向かってきている。
そして、彼等はニヤリと笑った。
*
一方のミサ達は……。
「謎の中略ミサ~。本当に女子生徒を助けちゃうの?」
「それしか方法がないじゃない。彼女がどうなってもいいの?」
「……そうだな……」
突然、声が鳴った。
「待っていましたよ? 謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサさんとニャンニャン仮面さん」
「オイ、ベルモンド! よくもこんなことしたな!」
「よくもこんなことしたな! って言っているけど、どんなことかしら?」
「貴方達……。私達を敵に回すつもり?」
「別に……。私達は貴方達を敵に回すような行為をしてる訳ではないわ。今回のメインを早く始めましょう?」
「そうさせていただこうか、片目美女! よし、頑張るぞ~!」
「せいぜい頑張るんだな……」
*
ミサとネオンは2年1組の教室の中心に立っている。
「さて、1stステージの開始です」
「変態仮面は?」
「変態仮面って……笑ってしまうわ……」
「笑わないで!」
「すみません……。ニャンニャン仮面さんは次ですよ? さて、どちらが先攻に?」
笑いをこらえながら髪をかきあげるネオン。
「ど、どちらでも……」
ミサは少し怯えながら返事をする。
「では、私から先陣を切らせてもらうわ!」
ネオンは拳銃の銃口を天井に向けて1発撃った。
天井に穴が開き、上の1年1組の天井が見えている。
「……」
何も言えなかったミサであった。
*
女性同士の壮絶な戦いになっているようだ。
教室の柱はボキボキであり、イスや机もめちゃくちゃに。
床には空薬莢が大量に落ち、黒板は銃弾の跡がバトルを物語っている。
*
あれから数分後……。
「貴女、なかなかやるわね……」
「そっちこそ……」
「最終ステージで撃たれれば、貴女の運命は終わりを告げることになるわ……。それと、どこかの教室が貴女の墓場になるんじゃないのかしらね」
ネオンはこう言い放ち、ミサの前で高笑いをする。
「……」
ミサは再び何も言わず、首を傾げていた。
*
戦場はミサ達の隣の教室である2年2組に移る。
「さて、2ndステージの開始です」
「2ndステージっていうことは……さっきのは1stステージだったんだな」
「そうです」
「げっ、マジか……」
ニャンニャン仮面はあの時の戦いを思い出してしまっていた。
「うー、今回も完敗しそうだ……」
「へたれないで、変態仮面!」
「ベル、ニャンニャン仮面さんを思いっきり撃ってしまいなさい!」
「ああ、分かった。」
「さあ、どっちが先攻にする? オレは後攻がいいな!」
「なら、私は先攻ですね」
*
こちらも壮絶な戦いになった。
床には空薬莢が落ちており、黒板には斬った跡や撃った跡がついている。
斬られたり撃たれたりしてもう使い物にならないイスや机。
1stステージよりかなり酷い教室になりかけている。
*
数分後……。
「ベルモンド、よくやるなー!」
「貴方も最初の頃に比べてかなり戦力を上げましたね」
「へへっ、ほめられちゃった」
「それはお世辞だと思った方がいいと思いますよ?」
「へっ……?」
ベルモンドにそう言われてニャンニャン仮面は何も言わず、マヌケな顔をして動きを止めた。
*
そして、次の戦場は2年1組、2年2組と続いたが、また続き2年3組の教室に移る。
別に続けなくても教室はたくさんあるのになぜか同じ階で次の教室に続くのかは分からない。
「ついに、最終ステージの開始となりました」
「さて、どちらが墓場行きになるのでしょうか?」
「楽しみですね」
「そうですね」
ベルモンドとネオンは実況中継をしているようだ。
「キザ怪盗、何やってるのよ?」
「片目美女はこっちな!」
ミサ達の指名が入る。
「仕方ないわね……」
「ミサさんと、か……」
半諦めモードのベルモンド達であった。
*
最終ステージはバトル2件中継に切り替える。
まずはニャンニャン仮面とネオンから。
「オイ、片目美女! 撃つのが早すぎる!」
ニャンニャン仮面はネオンの拳銃から出る銃弾を刀で勢いよく弾く。
彼女のワンピースのスカート部分が彼の刀によって斬られた跡がある。
「ということは貴方はそれほど実力がないのね」
「何っ!?」
「実力のなさが伝わってくるわ……」
「ちくしょう、謎の中略ミサはこの早い連射によく耐えられたな……」
「もっと遊んであげましょうか、ニャンニャン仮面さん?」
「い、いや、結構です」
さっきまで彼の実力のなさに呆れていた彼女の目が一瞬のうちに輝き始めた。
彼女は冷ややかな笑みを浮かべ、
「これでもくらってなさい?」
と連射をしかけ始めた。
「うぎゃーっ!」
流石に連射はエンドレスである。
ニャンニャン仮面は彼女からの攻撃を防ぐことができなかったのであった。
*
続いて、もう片方のミサ達は……。
「今回は不利みたいね、キザ怪盗! 拳銃が1丁しかないもんね!」
「ミサさん、不利ではありませんよ?」
「……? なんで?」
「私が今回使っている拳銃は連射できるものなので」
「うわっ、キザってる……」
「キザってる……。って、どこがですか?」
ベルモンドはすっとぼけているようだ。
「あんたのすべてにじゃーっ!」
ミサは彼女の気持ち100%で無駄に感情を込めたような口調で言った。
そして、彼女等は連射を繰り返していった……。
*
バトル2件中継を終え……。
「うっ……」
ネオンはニャンニャン仮面の刀で腕を斬られた。
おそらく軽傷で済むくらい傷口は浅い。
「ネオン、大丈夫か!?」
「片目なのがいけないんだ! 謎の中略ミサ、今だ!」
「ええ!」
ミサはベルモンドに抱えられているネオンのところに歩み寄った。
彼女の手に持っているものは誰かが洗脳され、彼女がトドメを指す覚悟が決まったときに使われる謎の水溶液が入ったハートマークのシールが貼ってある試験管である。
「そんなことさせるものか! 片目だろうが関係ない! そうだろう、ネオン!」
「……。えぇ……」
ネオンはその言葉を最後に意識を失った。
「ネオン、しっかりしろ!」
「……」
ベルモンドは彼女をゆさゆさと揺するが、彼女は再び目を覚ますことはなかった。
*
ミサはベルモンドによって揺すられているネオンに謎の水溶液を垂らした。
彼女は徐々に洗脳が解かれていき、女子生徒に戻っていった。
「ん? 今まで私は何してたんだろう……? それに制服じゃない……」
「あぁ……。私のネオンが……」
「……? ネオンって誰……?」
「それはちょっとおいといて……。ところで、このバトンはあなたの?」
「バトンに名前が書いてあったけど、キミは紫苑さん?」
「ハイ。バトンは私のもので間違いありません。私を助けてくれてありがとうございました。謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサさんとニャンニャン仮面さん」
「どういたしまして」
「紫苑ちゃん。腕に傷があるね。」
「あっ……本当だ。絆創膏とかって持ってますか?」
「持ってるよ、どうぞ」
ミサは白衣のポケットから絆創膏を取り出すと、紫苑に手渡した。
「ありがとうございます」
こうして、彼女は2人の正義の味方によって助けられた。
2014/12/06 本投稿
2015/08/13 改稿




